第2章 ゴイムの虐殺
青年には情熱の炎が宿っていた。
その炎は、暗闇を灯す光
その炎は、神をも恐れぬ力
情熱の炎は、絶えず燃え続ける。
いつか、世界を革命する、その時まで
燃え続けるだろう。
たとえ、青年すらも焼き殺してしまってでも
【001】
「うわあああああっ!!!」
「ママ、ママ―!!!」
それは祭りの楽しげな喧噪から一変した。
美味しそうな煙は、鉛のような煙に
人々の笑顔は、悲鳴と絶望に
飛び交うは風船ではなく、銃声。
――――なんなんだ、これは!!
楽しい時間は、あいつらが来てから終わってしまった
俺たちのことを見て、「ゴイム」と呼ぶ、あいつらに
そう呼ぶのは、決まっている。旧教側の過激派だ。
ゴイム。
それは旧教側の人間が勝手に呼んだ侮蔑を込めた言葉
要は新教徒の人間、無神教徒の人間、旧教ではない人間のことを指す
まるで俺たちはお前らとは違うゴミのような。害虫のような
家畜を見る目のように、俺たちを見る。
自分たちの裁量だけで、決めつけて、こうやって楽しい営みをぶち壊す!!!
「やめろおおおおお!!!」夢中で走り出した。止めるために、走った。
罪のない人々に、剣を振り上げる連中を取り押さえた。
顔に一発ぶん殴って気絶させる
一人でも多く、助けるんだ。
誰かの助けなんて待ってられるか。待ったところで、誰も助けちゃくれない
そうさ。知っている、嫌って程経験して身に刻んだ。
泣き喚いたところで変わりはしない。
誰かじゃない、俺が、変えなきゃいけないんだ
「まっ待って、待って、ルフィール兄ちゃん……!」
「ドロップ!?」
逃げ惑う人々の波に逆らいながら、小さな体を懸命に動かしてこちらに向かってくるドロップが見えた。
「うわっ!」誰かに押されてドロップの体が傾いてしまった。支えきれずそのまま倒れこんでしまった
「ドロップ!」転んだドロップに駆け寄ろうとした、その瞬間
「!ドロップ、避けろ!!!!」
ドロップのすぐ後ろには、剣を持った奴が!!
「穢れた血の子よ!!!死ね!!!!」
振りかざされる剣
振り返るドロップに避ける時間はない
伸ばす俺の手は、……届かない!!
届け!!!あの剣をへし折れ!!!伸びろよ、俺の手!!!
このままじゃあ、ドロップがッ……ドロップが!!!!
ドロップの首元に迫る剣。
やめろ!!やめろ!!!その剣をどけろ!!
その剣で、ドロップを傷つけてみろ!!!お前を無残に、目にも当てられないくらいに殴ってやる!!殺してやる!!!!
「ドロップゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!」
伸ばした手は空を掴むことしかできなかったのと
「……どっせえええええええええええええい!!!」
力強い声が聞こえたのは、同時だった
「うわぁっぁぁぁぁっぁ!?」
奴はドロップの後ろではなく、上を飛んで行った。いや、正しく言うと飛ばされていった
ポーンとボールのように、そのまま遥か彼方まであいつは飛んで行ってしまった
「ホームランッ!……あんさん、怪我はない?」
「う、うん、平気」
次にドロップの後ろに居たのは、女の子だった
背はドロップより少し高めか。萌黄の色をした髪を横に結い、和装に身を包んだ子であった
「あんたは、」
「ん?ウチはハンナ。よろしゅう!」
「そっか、ハンナね。俺はルフィール。さっきは助けてくれてありがとうな」
「気にせんといて!ああいう奴見るとかっ飛ばしたくなんねん」
「にゃははは」とこの場にはそぐわない賑やかな笑い声を出す
そう、先ほど吹っ飛ばしたのは、このハンナって子だった。
自前の鎌の柄をバットに見立てて彼女の二倍近くある男を軽々と打ち上げたのだ。
溌剌とした、というかパワフルというか。すげー子もいるもんだ
「ところで、あいつらなんなん?せっかくの祭り楽しんでたのに、台無し!最悪!」
「ああ。俺にもまだ詳しく分からないが、今から敵の中心見つけてぶん殴るところ」
パンっと拳をたたいた
「いいやん!ウチも一緒に行く!」
「勝気な女の子は嫌いじゃねえが、危険だから避難してな」
「むっさっきのパワー見たやろ?ウチをそこらのか弱い女の子一緒にしないでくれへん?」
「だからだよ」俺はハンナの肩をポン、とたたいた
「ハンナみたいな“力”ある子が、そこらのか弱い子たちを助けるんだ。お前なら余裕だろ?」
「せやけど」
「ドロップと一緒に街の人たちを守るんだ。」
ハンナなら、きっと奴らと互角に戦える。
こいつなら街の人たちを任せられる……今は一人でも守ることができる子が必要だ
「ハンナちゃん、行こう!僕達で街を守ろう!」
「む~……しゃーない!一大事やもん。任しとき!」
ドロップはハンナの手を取り共に走り出した。
あんな女の子でも頑張ってるんだから、俺もしっかりしなくちゃあな
「よし、俺も気合入れなくっちゃあな」
二人の後ろ姿を見送って、もう一度前を向く。
俺は戦うさ。たとえ神が相手でも
「……待て、ルフィール!」
進もうとした足が止まる
行かんとした腕を掴まれた
「なんだよ、アル。」
腕を掴んでいたのはアルフォートであった
深い翡翠色と俺の瞳がかち合う。
穏やかな色合いをしているくせに、こいつの目には揺るがない正義の意思を感じる
たとえ激流の中でも褪せることなく、なおも輝こうとするそれは
まさに宝石のようだ
「止めようっていうのか?」
だが、俺にだってあるぜ。
育ったこの街を守る意思と、この世界の歪を正そうとする正義の意思
お前に負けないくらい、熱い意思を俺だって持っている
アル。ここで引く俺じゃないって。
お前が一番わかっているはずだぜ
【ルフィール】
その炎は、暗闇を灯す光
その炎は、神をも恐れぬ力
情熱の炎は、絶えず燃え続ける。
いつか、世界を革命する、その時まで
燃え続けるだろう。
たとえ、青年すらも焼き殺してしまってでも
【001】
「うわあああああっ!!!」
「ママ、ママ―!!!」
それは祭りの楽しげな喧噪から一変した。
美味しそうな煙は、鉛のような煙に
人々の笑顔は、悲鳴と絶望に
飛び交うは風船ではなく、銃声。
――――なんなんだ、これは!!
楽しい時間は、あいつらが来てから終わってしまった
俺たちのことを見て、「ゴイム」と呼ぶ、あいつらに
そう呼ぶのは、決まっている。旧教側の過激派だ。
ゴイム。
それは旧教側の人間が勝手に呼んだ侮蔑を込めた言葉
要は新教徒の人間、無神教徒の人間、旧教ではない人間のことを指す
まるで俺たちはお前らとは違うゴミのような。害虫のような
家畜を見る目のように、俺たちを見る。
自分たちの裁量だけで、決めつけて、こうやって楽しい営みをぶち壊す!!!
「やめろおおおおお!!!」夢中で走り出した。止めるために、走った。
罪のない人々に、剣を振り上げる連中を取り押さえた。
顔に一発ぶん殴って気絶させる
一人でも多く、助けるんだ。
誰かの助けなんて待ってられるか。待ったところで、誰も助けちゃくれない
そうさ。知っている、嫌って程経験して身に刻んだ。
泣き喚いたところで変わりはしない。
誰かじゃない、俺が、変えなきゃいけないんだ
「まっ待って、待って、ルフィール兄ちゃん……!」
「ドロップ!?」
逃げ惑う人々の波に逆らいながら、小さな体を懸命に動かしてこちらに向かってくるドロップが見えた。
「うわっ!」誰かに押されてドロップの体が傾いてしまった。支えきれずそのまま倒れこんでしまった
「ドロップ!」転んだドロップに駆け寄ろうとした、その瞬間
「!ドロップ、避けろ!!!!」
ドロップのすぐ後ろには、剣を持った奴が!!
「穢れた血の子よ!!!死ね!!!!」
振りかざされる剣
振り返るドロップに避ける時間はない
伸ばす俺の手は、……届かない!!
届け!!!あの剣をへし折れ!!!伸びろよ、俺の手!!!
このままじゃあ、ドロップがッ……ドロップが!!!!
ドロップの首元に迫る剣。
やめろ!!やめろ!!!その剣をどけろ!!
その剣で、ドロップを傷つけてみろ!!!お前を無残に、目にも当てられないくらいに殴ってやる!!殺してやる!!!!
「ドロップゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!」
伸ばした手は空を掴むことしかできなかったのと
「……どっせえええええええええええええい!!!」
力強い声が聞こえたのは、同時だった
「うわぁっぁぁぁぁっぁ!?」
奴はドロップの後ろではなく、上を飛んで行った。いや、正しく言うと飛ばされていった
ポーンとボールのように、そのまま遥か彼方まであいつは飛んで行ってしまった
「ホームランッ!……あんさん、怪我はない?」
「う、うん、平気」
次にドロップの後ろに居たのは、女の子だった
背はドロップより少し高めか。萌黄の色をした髪を横に結い、和装に身を包んだ子であった
「あんたは、」
「ん?ウチはハンナ。よろしゅう!」
「そっか、ハンナね。俺はルフィール。さっきは助けてくれてありがとうな」
「気にせんといて!ああいう奴見るとかっ飛ばしたくなんねん」
「にゃははは」とこの場にはそぐわない賑やかな笑い声を出す
そう、先ほど吹っ飛ばしたのは、このハンナって子だった。
自前の鎌の柄をバットに見立てて彼女の二倍近くある男を軽々と打ち上げたのだ。
溌剌とした、というかパワフルというか。すげー子もいるもんだ
「ところで、あいつらなんなん?せっかくの祭り楽しんでたのに、台無し!最悪!」
「ああ。俺にもまだ詳しく分からないが、今から敵の中心見つけてぶん殴るところ」
パンっと拳をたたいた
「いいやん!ウチも一緒に行く!」
「勝気な女の子は嫌いじゃねえが、危険だから避難してな」
「むっさっきのパワー見たやろ?ウチをそこらのか弱い女の子一緒にしないでくれへん?」
「だからだよ」俺はハンナの肩をポン、とたたいた
「ハンナみたいな“力”ある子が、そこらのか弱い子たちを助けるんだ。お前なら余裕だろ?」
「せやけど」
「ドロップと一緒に街の人たちを守るんだ。」
ハンナなら、きっと奴らと互角に戦える。
こいつなら街の人たちを任せられる……今は一人でも守ることができる子が必要だ
「ハンナちゃん、行こう!僕達で街を守ろう!」
「む~……しゃーない!一大事やもん。任しとき!」
ドロップはハンナの手を取り共に走り出した。
あんな女の子でも頑張ってるんだから、俺もしっかりしなくちゃあな
「よし、俺も気合入れなくっちゃあな」
二人の後ろ姿を見送って、もう一度前を向く。
俺は戦うさ。たとえ神が相手でも
「……待て、ルフィール!」
進もうとした足が止まる
行かんとした腕を掴まれた
「なんだよ、アル。」
腕を掴んでいたのはアルフォートであった
深い翡翠色と俺の瞳がかち合う。
穏やかな色合いをしているくせに、こいつの目には揺るがない正義の意思を感じる
たとえ激流の中でも褪せることなく、なおも輝こうとするそれは
まさに宝石のようだ
「止めようっていうのか?」
だが、俺にだってあるぜ。
育ったこの街を守る意思と、この世界の歪を正そうとする正義の意思
お前に負けないくらい、熱い意思を俺だって持っている
アル。ここで引く俺じゃないって。
お前が一番わかっているはずだぜ
【ルフィール】
