日常交流
「はい!バルバラちゃん!うちの新メニューのフレンチトーストよ!食べてみて!!
それからピザトースト、ベーコンエッグにサンドイッチにワッフル。それからアイスティーにクリームソーダも……」
「ちょ…ちょっと待ってフラウラ!!いくらなんでもそんなに沢山食べれないわ!!
突然どうしちゃったのよ、貴方はお花屋さんでしょう??」
「喫茶店を開きたいの!!」
「き……喫茶店…?」
「そうなの!!ここを改築して喫茶店を開きたいの!!」
私の言葉に目を丸くする親友のバルバラ。今日もとっても甘くていい香り。
もしかしたらこの香りに誘われていつもの蜂鳥がやってくるかもしれないわね……。
そう、彼女のような甘い甘い香りがするシロップをたっぷりとかけたパンケーキとほろ苦くて優しい香りのコーヒーをお客様に振る舞うような素敵な喫茶店を……
「突然過ぎるわよなんでいきなり…それよりここは貴方の……お姉さん???のお店でしょう?勝手にそんな事決めちゃって大丈夫なの?」
「お店は私に任せるって言ってたから大丈夫でしょ!それに以前雇ったバイトの子にバケツひっくり返されたりお店の商品もめちゃくちゃにされちゃったから丁度いいんじゃないかと思って。ほら見て?壁にこーーんな大きな穴も空いちゃった。」
指差した先にあるのは大きな大きな壁の穴。そうね、女の子一人ぐらいなら通り抜けられるんじゃないかしら??
「穴が空いたなら……仕方ないわね??」
「でしょーー??それに姉さんの『自称占い師』なんて怪しい商売よりずっとずっと皆の為になると思うの!」
「それは……そうかもしれないわね????」
首を傾げながら答える彼女の方へ私はぐいっと身を乗り出して更に言葉を続けた。そう、やるなら今しかない!
「だからね!バルバラちゃん!私と一緒に喫茶店開いてほしいの!!」
「ええっ!!!???」
「従業員が欲しいの…!流石に私一人じゃ大変だもの!ね!いいでしょ?
勿論お給料だって出すしいつもみたいに具合が悪くなったらいつでも休んでもいいから!ね?お願い!
今まで貯蓄するだけだったお金を使ってこの花屋を喫茶店に改装しちゃうのよ!!新装オープンよ!!」
こうして私は半ば強引に親友を巻き込んで喫茶店を開いたの。
姉さんには内緒で。
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「もう、やんなっちゃうわねぇ!戦争なんてもう沢山!
怪しまれて拘束されちゃったじゃない!そのせいでずーーーっとお家に帰れなかったわ!」
「はははっ。それは災難でしたね。マダムフラワー。」
「ホントに災難よ!『怪しいやつめ!』って言われて荷物もカツラもこの付け羽根もぜーーーんぶチェックされたわ!身体の隅々まで全部よ!!もう!!信じらんない!!」
「まあまあ、無事に解放されて良かったじゃないですか。」
「ホントよぉ。お陰でフラウラのところにずーーーっと帰れなかったわ!何も無いって言ってるのにずっと拘束されちゃって。ほんっっっとに戦争なんて大嫌いよ!!ほら見てちょうだいよ?ずっと歩き通しで足が浮腫んじゃったわ!もうパンパンよ!!」
こんな調子でずっと喋り通しなのだ。
本当にこの人はよく喋る人だ。
占い師という仕事柄のせいなのだろうか、とにかく話題が尽きる気配がない。
彼女(?)の愚痴に対して「とりあえずヒールを履くのをやめてサンダルにしてみてはどうですか?」と返してみたが即座に却下されてしまった。
「分かってないわねー?女はお洒落の為なら多少無理しちゃうもんなのよ!そんなだからいつまでも独り身なのよラファ。」
「はははっ!すみません。」
「そろそろ家に着きそうね。アタシもう少ししたら降りるわね……ってアンタなに読んでるのよ?」
「ああ、これですか?この辺りに新しい喫茶店がオープンしたみたいなんですよ。是非とも足を運んでおきたいなと思いましてね?」
「へ~ぇ。喫茶店ねぇ。アンタそう言えば甘いものに目がなかったわね。」
「あっ。見えてきましたよ!あそこじゃないですかね?」
「馬鹿言うんじゃないわよ。あれはアタシんちよ。」
僕の手から奪い取った広告を眺めながらそう返したマダムだったが、数分後変わり果てた自宅の前で言葉を失うことになったのは言うまでもなかった。
「占いには出てませんでしたか?」
「ニヤニヤしながらこっち見ないでちょうだい!
アタシは自分の事は占えないのよ知ってるでしょラファ?ナニコレ??どういうことなの!?ちょっとフラウラーー!!」
扉を開けばカランカランとベルが鳴る。
一歩足を踏み入れればふわりと漂う甘く優しい紅茶の香り。
「自宅は花屋だった筈では?」
「花屋よ!うちは親の代からずっと花屋よ!なによこの紅茶!最高に美味しいじゃない!!」
「でしょー?バルバラちゃんが淹れた紅茶よ!とっても美味しいでしょ?姉さん!」
目の前で繰り広げられるコントのようなやりとりを他所に僕も席に着く。
簡素なメニュー表を眺めていると一羽の蜂鳥がやってきて僕の肩へと留まった。
「おや、君もお客さんなのかな?」
そう言って指を差し出せば肩からピョンと飛び移る。とても愛らしい人に馴れた蜂鳥だ。
「ご注文はお決まりですか?お客様。」
「ああ、じゃあ僕も紅茶を戴こうかな?」
「ふふっ。畏まりました。ほら、お客様のお邪魔しちゃだめよ?こっちにいらっしゃい?」
彼女が優しく呼び掛けると蜂鳥は僕の指先から彼女の肩へと飛び移る。
「どうぞごゆっくり。」
マダムは花屋を改装したことをまだ受け入れきれてないみたいだけど、僕はここのお店気に入っちゃったからまた足を運んでみようかな?って思ってるよね。
あの綺麗な黒髪の妖精さんに会いに……ね。
