日常交流
「本日よりこちらのギルドにお世話になることになりました!マーシャです!未熟者の魔導師ですがよろしくお願いいたします!」
「おぅ!元気があってなによりだ。よろしく頼むマーシャ。」
その日の私は活気に満ちていた。
独り立ちしてこの街へ来てようやく見つけた就職先。
師匠のもとを離れ、憧れの王都へやって来て格安の物件を見つけて契約を交わし、新生活を初めて間もない頃の事だ。
私は今日初めてルーベラさんのギルドを訪れた。
ギルド長のルーベラさんに挨拶をして、ここでの仕事についての説明を受けてそして今、ようやくギルドの一員として迎えられたところだった。
「んじゃ、早速仕事をしてもらおうか。
そうだな……まずはギルドの仕事を覚えてもらわないとな。」
「はい!なんでも申し付けてください!私全力で頑張りますので!!」
「元気があっていい事だ。
では君にこれから一緒に仕事をする相棒を紹介するとしよう。
少々変わったやつだがとてもいいやつだ。安心するといい。
グラート!グラートはいるか?」
そう言ってルーベラさんが酒場の方へと声をかければどこからか声が帰って来てこちらの方へ誰かが近づいてくるのが見えた。
酒場に集う人々の合間を縫うようにこちらへ近づいてくる男の人が一人。
どうやらこの人が私の相棒となる人のようだ……失礼にならないようにしないと……。
少々緊張しながら頭の中で挨拶を考えているといつの間にかその人はルーベラさんのもとへ辿り着いていたようで……
「おま…!こんな時にそんな格好……」とか「暑くて我慢できなかった。」とか……なにやらルーベラさんの焦りを滲ませた声が聞こえてくるが私はルーベラさんの紹介も待たずにこれから私の仕事の相棒となる人に対して挨拶を述べようと口を開いたのだ。
「あっ…!はじめまして…!私今日からここでお世話になりますマーシャと申し……ま……??えっ??」
顔をあげて挨拶した時は良かった。良かった、私とそんなに歳の差のない若い人だととても嬉しく思っていた。
しかし、どうにも違和感が拭えず視界を徐々に下に移していくと……どこまでもどこまでも肌色が広がっていたのだった。
ルーベラさんが咄嗟に一部だけ隠してくれたけれど、どう見ても下着を着ているようには見えない。むしろ布などどこにあるんです?
私には布のようなものは一つとして見えません。
思考が停止し、口をパクパクとさせる魚のようになってしまった私にルーベラさんは後頭部を掻いて、「あーー……」と言葉にならない声を洩らしつつ目の前の裸体の男性についての説明を始めたのだった。
「すまねぇなマーシャ。こいつの名前はグラートっつってな?
雪国の生まれらしいんだがその……とんでもねぇ暑がり男なんだ。」
「あ……暑がりさん……なんですか?」
「そうだ、暑がりなんだ。それ以外には何もない。
これは偶然裸だったわけじゃない。
これがこいつの普通なんだ。」
「普通……これが……普通……」
『常識』という言葉が音を立てて崩れた気がした。
しかしこれから先相棒として一緒に仕事をするならここはきちんと笑顔で挨拶をしなければ…!普通に…!普通に接するのよマーシャ!!
「あっ……あぁぁぁ……わわ…わかりました…!グラートさん……でしたよね?これからよろしくお願いしますねっ…!」
握手…!とりあえず握手しなきゃ!
下は絶対見ないように相手の顔だけ見るの!
「ああ……よろしく頼む。」
そう言って私の右手を握り返してくれたグラートさんはとても優しい笑みを浮かべてくれていた。
良かった、いい人そうでちょっと安心した……。
ほっと胸を撫で下ろした私の視界の端で、青い鱗のリザードの男性が黄色い桶で局部を隠している光景がちょっとだけ見えた気がするけど……私は唇をぎゅっと噛みしめてそれ以上表情に出てしまわないようにしなければと必死に我慢し続けるしかなかった。
笑ってはいけない……これがこの人の普通なのだから!
「おぅ!元気があってなによりだ。よろしく頼むマーシャ。」
その日の私は活気に満ちていた。
独り立ちしてこの街へ来てようやく見つけた就職先。
師匠のもとを離れ、憧れの王都へやって来て格安の物件を見つけて契約を交わし、新生活を初めて間もない頃の事だ。
私は今日初めてルーベラさんのギルドを訪れた。
ギルド長のルーベラさんに挨拶をして、ここでの仕事についての説明を受けてそして今、ようやくギルドの一員として迎えられたところだった。
「んじゃ、早速仕事をしてもらおうか。
そうだな……まずはギルドの仕事を覚えてもらわないとな。」
「はい!なんでも申し付けてください!私全力で頑張りますので!!」
「元気があっていい事だ。
では君にこれから一緒に仕事をする相棒を紹介するとしよう。
少々変わったやつだがとてもいいやつだ。安心するといい。
グラート!グラートはいるか?」
そう言ってルーベラさんが酒場の方へと声をかければどこからか声が帰って来てこちらの方へ誰かが近づいてくるのが見えた。
酒場に集う人々の合間を縫うようにこちらへ近づいてくる男の人が一人。
どうやらこの人が私の相棒となる人のようだ……失礼にならないようにしないと……。
少々緊張しながら頭の中で挨拶を考えているといつの間にかその人はルーベラさんのもとへ辿り着いていたようで……
「おま…!こんな時にそんな格好……」とか「暑くて我慢できなかった。」とか……なにやらルーベラさんの焦りを滲ませた声が聞こえてくるが私はルーベラさんの紹介も待たずにこれから私の仕事の相棒となる人に対して挨拶を述べようと口を開いたのだ。
「あっ…!はじめまして…!私今日からここでお世話になりますマーシャと申し……ま……??えっ??」
顔をあげて挨拶した時は良かった。良かった、私とそんなに歳の差のない若い人だととても嬉しく思っていた。
しかし、どうにも違和感が拭えず視界を徐々に下に移していくと……どこまでもどこまでも肌色が広がっていたのだった。
ルーベラさんが咄嗟に一部だけ隠してくれたけれど、どう見ても下着を着ているようには見えない。むしろ布などどこにあるんです?
私には布のようなものは一つとして見えません。
思考が停止し、口をパクパクとさせる魚のようになってしまった私にルーベラさんは後頭部を掻いて、「あーー……」と言葉にならない声を洩らしつつ目の前の裸体の男性についての説明を始めたのだった。
「すまねぇなマーシャ。こいつの名前はグラートっつってな?
雪国の生まれらしいんだがその……とんでもねぇ暑がり男なんだ。」
「あ……暑がりさん……なんですか?」
「そうだ、暑がりなんだ。それ以外には何もない。
これは偶然裸だったわけじゃない。
これがこいつの普通なんだ。」
「普通……これが……普通……」
『常識』という言葉が音を立てて崩れた気がした。
しかしこれから先相棒として一緒に仕事をするならここはきちんと笑顔で挨拶をしなければ…!普通に…!普通に接するのよマーシャ!!
「あっ……あぁぁぁ……わわ…わかりました…!グラートさん……でしたよね?これからよろしくお願いしますねっ…!」
握手…!とりあえず握手しなきゃ!
下は絶対見ないように相手の顔だけ見るの!
「ああ……よろしく頼む。」
そう言って私の右手を握り返してくれたグラートさんはとても優しい笑みを浮かべてくれていた。
良かった、いい人そうでちょっと安心した……。
ほっと胸を撫で下ろした私の視界の端で、青い鱗のリザードの男性が黄色い桶で局部を隠している光景がちょっとだけ見えた気がするけど……私は唇をぎゅっと噛みしめてそれ以上表情に出てしまわないようにしなければと必死に我慢し続けるしかなかった。
笑ってはいけない……これがこの人の普通なのだから!
