日常交流
赤トンボが姿を見せるようになり秋の訪れを感じるようになった今日この頃。
シャオフーの育てていた朝顔も種が収穫できるようになり、カラカラに乾いた茶色の房を指で潰して黒く小さな種を小さな掌に乗せて『今日は四粒とれました!』とシャオフーは笑顔を浮かべた。
朝顔の種を小さな封筒にしまい、封をして『来年もまた朝顔を育てたい!』と言いながら机の引き出しにそれを大事に仕舞うのだった。
小さな尻尾をゆらゆらと揺らし今日の仕事を終えたシャオフーは再び外へ足を運ぶ。
すると畑の方からもんぺ姿のミロクが収穫した野菜を片手に歩いてくる姿が見えた。
「お手伝いしましょうか?」
と声をかければミロクは「それじゃあお願いしようかしら?」と言葉を返した。
トマトを水に浮かべて小さな両手でくるくると回しながら洗う。
少し前まではトマトは酸っぱくてあまり好きでは無かったのだが、最近は頑張って食べれるようになったのだ。
お師匠様が作ったものだから残さずに食べようと今年は頑張ったのだ。
綺麗に土を落としたトマトを天にかざして青空の中に浮かぶ鮮やかな赤を見つめてシャオフーは誇らしげに笑った。
「ミロクさん!今日も僕トマトを食べるから晩御飯にこれを出して欲しいです!」
「あら、凄い!もう苦手じゃなくなったの?シャオちゃん?」
「平気なのです!お師匠様のお野菜は食べれるのです!」
※ただしお師匠様の作った野菜に限る。
その言葉を聞くとミロクはふふっと笑みを浮かべて「偉いわね。」と軽く頭を撫でるのだった。
「今度シャンさんに自慢しちゃうのです!
今年はトマト食べれるようになりました!って!」
『じゃあ来年はピーマンに挑戦しましょう。』
そう返される光景が脳裏に浮かぶ。
きっと縁側で西瓜を齧って種を飛ばしながらお話を聞いてくださるんだろうなとミロクは思った。
『ああ、種を飲んでしまったのですか?明日臍から西瓜が生えてきてしまうかもしれませんね?』
……などと言うのかもしれない。
しかしシャオフーはそんなやりとりも楽しみながらシャンさんの隣で喋り続けるのだろう。
この子はシャンさんの家に遊びにいくのをいつも楽しみにしているのだから。
「そういえば今年はまだシャンさんのお家に遊びにいってませんね?
お野菜も沢山収穫できましたし、シャンさんに差し入れに行くのもいいかもしれませんね?
ほら、このとうもろこしなんて喜んでくださるかもしれませんよ?」
「うーん……でもシャンさんはお野菜あんまり好きじゃないと思うのです。
シャンさんはお肉が大好きって言ってたのです。」
「ならばお肉も買って焼き肉などいかがでしょう?
旦那様にお話してみましょうか?」
「焼き肉パーティーですか??じゃあ花火もしたいです!!」
「花火は……大丈夫でしょうか……?
一度旦那様に相談してみましょうね?
シャンさんのご迷惑になってはよろしくありませんし。」
差し入れの話だった筈が…話を進める度にやりたいことがどんどん追加されていく。
お野菜とお肉を持ち込んでバーベキューに花火とお酒と怪談話……
こんな大きな話になってしまって大丈夫だろうか?とミロクは苦笑いを浮かべた。
「ふふ……まんずめんこいなぁ。まだまだわらしこなんだなぁシャオちゃんは。」
「わらしこ??」
「あっ……いえ…!今のは忘れてください…!
さ、お家に早く戻りましょう!旦那様にお話しないと!」
まだまだ夏は去っていないらしい。
