本編アフター 物語のその先
トクリトクリと鼓動を感じる。
この身に宿った命が『ここにいるよ』と言いたげに私のお腹を蹴っている。
私の声に応えるように…ポコリポコリ…
お腹が小さく揺れる度に私はどうしようもなく愛おしくなって。揺れるお腹を両手で包んで優しく優しく撫でてみる。
「うふふ。なんて元気なのかしら。」
あなたはどんな子なのかしら。旦那様のような星のようにキラキラ輝く美しい髪の赤ちゃんかしら。
それとも、私と同じ夜空のような黒髪の赤ちゃんかしら。
あなたに会うのがとても楽しみだわ。
「ミロクお母さん、赤ちゃんまた動いてるんですか?」
「ええ、そうよ。ほら、ここよ。時々蹴ってるのがわかるかしら?」
シャオちゃんの手をとってそっと私のお腹に当ててみる。今までよく蹴っていた場所にシャオちゃんの小さな手を当てるとポコン…ポコン…と赤ちゃんからの小さなお返事が返ってきた。
「あっ!!今ぽこっ!てなった!ここに赤ちゃんがいるのですね!?」
「そうよ。もう少ししたらシャオちゃんはお兄ちゃんになるのよ?
そうしたら一緒に遊んであげてね?」
「もちろんです!僕が赤ちゃんのお世話をお手伝いするのです!!」
緑色の瞳をキラキラと輝かせながらそう答えたシャオちゃんはもう一度私のお腹に触れると『早く一緒に遊ぼうね!』と言って優しくなでなでしてくれた。
「ミロク、身体の具合はどうだ?」
「旦那さま。ええ、心配なさらなくても大丈夫ですわ。赤ちゃんもとても元気で、今もほら。ずっと私のお腹を蹴っているんですよ?」
夫の手に優しく触れて小さな命が宿る場所へと導いていく。
大きな手が私のお腹に触れた時、ポコンポコンといつもよりも大きな衝撃が伝わって来て、思わずくすりと笑みが溢れた。
「まあ。きっとこの子はお父様の手をちゃんとわかっているのだわ。
旦那さまの手がとっても大きくて温かくて優しいから……きっと伝わっていますわ。」
「ああ……。そうだな、とても元気な子だ。」
そう言って優しく微笑みながら私のお腹を見つめる旦那さまは本当にとても優しいお顔をなさっていて……。
ふと……あの夜の言葉を思い出す。
『悲観しているわけではない。私はそういうものなのだろうと私は私という存在に納得しながら生きて来た。長い孤独な時に飽きた後は子育ての真似事をし、偽りの父親を演じながら。滑稽な話だ。自分の父も知らない存在が父を演じているのだから』
「……旦那様。」
「ん?どうした、ミロク。」
夫の手に自分の手を重ねるように両の手で優しく包んでいく。
あの時の夫の言葉を思い出す度に私にできることは無いだろうかと思いを巡らせていた。
過ぎた日々を戻すことはできないけれど…私に出来ることはきっとある。
「旦那様、赤ちゃんが生まれたらどうかこの子にお名前をくださいませ。
この子がこの世で最初にいただく贈り物を……どうか。」
「それはいいが……ミロクもこの子に贈りたい名があるのではないのか?」
「良いのです。私は旦那様からお名前を戴きたいのです。」
私は貴方と共に生きたいのです。
喜びも苦しみも哀しみも二人で分かち合いたい。
貴方の永劫とも言える長い時の中に、喜びの時を刻んで欲しいのです。
朦朧とする意識のなかで何度も何度も励まされた。
ここにいる人たちが私の支えになってくれている。
繋いだ手を固く握りしめて私はここにいると教えてくれる。
アイオーン。私の最愛の旦那様……。
どんなに辛くても…苦しくても…私は貴方の為ならどんなことでも乗り越えられます。
意識を持ち直し、また大きく息を吸って息を止めながら力を込めた。
涙と汗でぐしゃぐしゃになっても髪が乱れても痛みと苦しみで意識が飛びそうになっても
私はまだ頑張れます。
私は貴方と一緒にこの子の母になるのだから。
偽りなんかじゃない。真似事なんかじゃない。
貴方の愛は、優しさは本物だもの。
貴方は血の繋がりがなくても父として沢山の子供たちに愛を教え、伝え、幸せへと導いてきた。
だから私も……子供たちに愛を与えられる善き母になりたい。
小さな産声が聞こえてくる。
とても力強くて可愛らしい赤ちゃんの声が。
あの子が……あの子達が私の中にいた赤ちゃんなのね……。
「おめでとう、よく頑張ったねミロク。ほら、元気な双子の赤ちゃんだよ。」
蝋梅さんが取り上げた赤ちゃんを抱き上げながら満身創痍の私を労ってくれた。
「見てごらん?あんたたち二人にそっくりだろう?ほら、こっちの子なんか目元がお父さんにそっくりだよ。」と皺でいっぱいの顔でにっこりと微笑んで私達の赤ちゃんの顔を見せてくださった。
「ええ……ええ……本当に……とっても可愛い……。ねぇ、旦那さま……アイオーン……よくやったって褒めてくださいますか?私も……ようやく母になれましたわ。」
止めどなく涙が溢れてくる。
幸せでいっぱいで……この気持ちを言葉にすることができない。
ただわかる事は。この幸せは貴方がくれた素敵な贈り物なのだと言うこと。
「ありがとう……愛していますアイオーン……。」
手と手を重ねて指を絡め額を合わせて感謝の言葉を口にする。繋いだ手が強く握り返される。
旦那さま。私は貴方の中にある長い人生の中の数多の輝きの一つになれたでしょうか?
いつか貴方が見せてくださった天の戸河のように輝く星のうちの一つになれたでしょうか。
貴方が教え導いた人々のように……私も……貴方の物語の一部になれたでしょうか?
この身に宿った命が『ここにいるよ』と言いたげに私のお腹を蹴っている。
私の声に応えるように…ポコリポコリ…
お腹が小さく揺れる度に私はどうしようもなく愛おしくなって。揺れるお腹を両手で包んで優しく優しく撫でてみる。
「うふふ。なんて元気なのかしら。」
あなたはどんな子なのかしら。旦那様のような星のようにキラキラ輝く美しい髪の赤ちゃんかしら。
それとも、私と同じ夜空のような黒髪の赤ちゃんかしら。
あなたに会うのがとても楽しみだわ。
「ミロクお母さん、赤ちゃんまた動いてるんですか?」
「ええ、そうよ。ほら、ここよ。時々蹴ってるのがわかるかしら?」
シャオちゃんの手をとってそっと私のお腹に当ててみる。今までよく蹴っていた場所にシャオちゃんの小さな手を当てるとポコン…ポコン…と赤ちゃんからの小さなお返事が返ってきた。
「あっ!!今ぽこっ!てなった!ここに赤ちゃんがいるのですね!?」
「そうよ。もう少ししたらシャオちゃんはお兄ちゃんになるのよ?
そうしたら一緒に遊んであげてね?」
「もちろんです!僕が赤ちゃんのお世話をお手伝いするのです!!」
緑色の瞳をキラキラと輝かせながらそう答えたシャオちゃんはもう一度私のお腹に触れると『早く一緒に遊ぼうね!』と言って優しくなでなでしてくれた。
「ミロク、身体の具合はどうだ?」
「旦那さま。ええ、心配なさらなくても大丈夫ですわ。赤ちゃんもとても元気で、今もほら。ずっと私のお腹を蹴っているんですよ?」
夫の手に優しく触れて小さな命が宿る場所へと導いていく。
大きな手が私のお腹に触れた時、ポコンポコンといつもよりも大きな衝撃が伝わって来て、思わずくすりと笑みが溢れた。
「まあ。きっとこの子はお父様の手をちゃんとわかっているのだわ。
旦那さまの手がとっても大きくて温かくて優しいから……きっと伝わっていますわ。」
「ああ……。そうだな、とても元気な子だ。」
そう言って優しく微笑みながら私のお腹を見つめる旦那さまは本当にとても優しいお顔をなさっていて……。
ふと……あの夜の言葉を思い出す。
『悲観しているわけではない。私はそういうものなのだろうと私は私という存在に納得しながら生きて来た。長い孤独な時に飽きた後は子育ての真似事をし、偽りの父親を演じながら。滑稽な話だ。自分の父も知らない存在が父を演じているのだから』
「……旦那様。」
「ん?どうした、ミロク。」
夫の手に自分の手を重ねるように両の手で優しく包んでいく。
あの時の夫の言葉を思い出す度に私にできることは無いだろうかと思いを巡らせていた。
過ぎた日々を戻すことはできないけれど…私に出来ることはきっとある。
「旦那様、赤ちゃんが生まれたらどうかこの子にお名前をくださいませ。
この子がこの世で最初にいただく贈り物を……どうか。」
「それはいいが……ミロクもこの子に贈りたい名があるのではないのか?」
「良いのです。私は旦那様からお名前を戴きたいのです。」
私は貴方と共に生きたいのです。
喜びも苦しみも哀しみも二人で分かち合いたい。
貴方の永劫とも言える長い時の中に、喜びの時を刻んで欲しいのです。
朦朧とする意識のなかで何度も何度も励まされた。
ここにいる人たちが私の支えになってくれている。
繋いだ手を固く握りしめて私はここにいると教えてくれる。
アイオーン。私の最愛の旦那様……。
どんなに辛くても…苦しくても…私は貴方の為ならどんなことでも乗り越えられます。
意識を持ち直し、また大きく息を吸って息を止めながら力を込めた。
涙と汗でぐしゃぐしゃになっても髪が乱れても痛みと苦しみで意識が飛びそうになっても
私はまだ頑張れます。
私は貴方と一緒にこの子の母になるのだから。
偽りなんかじゃない。真似事なんかじゃない。
貴方の愛は、優しさは本物だもの。
貴方は血の繋がりがなくても父として沢山の子供たちに愛を教え、伝え、幸せへと導いてきた。
だから私も……子供たちに愛を与えられる善き母になりたい。
小さな産声が聞こえてくる。
とても力強くて可愛らしい赤ちゃんの声が。
あの子が……あの子達が私の中にいた赤ちゃんなのね……。
「おめでとう、よく頑張ったねミロク。ほら、元気な双子の赤ちゃんだよ。」
蝋梅さんが取り上げた赤ちゃんを抱き上げながら満身創痍の私を労ってくれた。
「見てごらん?あんたたち二人にそっくりだろう?ほら、こっちの子なんか目元がお父さんにそっくりだよ。」と皺でいっぱいの顔でにっこりと微笑んで私達の赤ちゃんの顔を見せてくださった。
「ええ……ええ……本当に……とっても可愛い……。ねぇ、旦那さま……アイオーン……よくやったって褒めてくださいますか?私も……ようやく母になれましたわ。」
止めどなく涙が溢れてくる。
幸せでいっぱいで……この気持ちを言葉にすることができない。
ただわかる事は。この幸せは貴方がくれた素敵な贈り物なのだと言うこと。
「ありがとう……愛していますアイオーン……。」
手と手を重ねて指を絡め額を合わせて感謝の言葉を口にする。繋いだ手が強く握り返される。
旦那さま。私は貴方の中にある長い人生の中の数多の輝きの一つになれたでしょうか?
いつか貴方が見せてくださった天の戸河のように輝く星のうちの一つになれたでしょうか。
貴方が教え導いた人々のように……私も……貴方の物語の一部になれたでしょうか?
