第11節 芋煮ヶ原
そこで私は、私に語り掛けた声の主を見ようとして振り向いた。振り向くと七つの金の燭台が見えた。それらの燭台の中央に人の子に似たかがおられた。
その方は足元まで届く衣を纏い、金の帯を胸に締めておられた。その髪の毛は雪のように白い羊の毛に似て白く、眼は燃える炎のようであった。足は炉の中で精錬され磨かれた真鍮のように輝いていて、声は大水の轟のようであった。右の手には七つの星を持ち、口からは鋭い両刃の剣が出ており顔は力強く輝く太陽のようであった。
そしてその方を見た時、私はまるで死者のように足元に倒れた。その方は右の手を私の上に置いて、こう仰せになった。
恐れるな、私は最初の者でありm最後の者であり、生きている者である。私はいったん死んだが、見よ、代々限りなく生きている。そして死と陰府の鍵を持っている。
そこであなたが見た事、すなわち今ある事、更にこれから起ころうとしている事を書き記せ。あなたが私の右手に見た七つの星と七つの金の燭台に秘められた意味は次の通りである。七つの星は七つの教会の使い達であり、七つの燭台は七つの教会である。
【ヨハネの黙示録 第1章】
「芋煮ですからまずは主役の里芋の下ごしらえからしようか。まずは里芋についた泥を流水で丁寧に落として、それから皮を剥く前に乾いた布巾で拭いて皮の水気を取って……」
「ん、エテル?何でわざわざ水洗いした芋の皮を一度布巾で拭くんだ?そのまま切ればよくないか?」
「里芋はじゃがいもやサツマイモと違って水で濡れるとぬるぬると滑ってそのまま皮を剥くのは危ないんだよ、メド。あっ、ボウルにお塩を入れておいてくれないかな?この後ころころ~ってボウルの中で転がしてぬめりを取るんだ。そして、その後は水洗いして付いた塩を落としてから被るぐらいの水で三分ぐらい茹でて下ごしらえは終わりだよ」
「はあ……面倒っていうか手間かかるんだな、案外」
「ラシュクーレ、こんにゃくは包丁で切るのではなく手で千切るかスプーンで千切って下さいね。その方がお出汁が染み込んで美味しくなるんです。……エテル、ゴボウはササガキにして水に晒してありますわ。里芋と一緒にゴボウも先に茹でてしまってください。どっちも灰汁がでる野菜ですし、根菜ですから煮えるまで時間が掛かりますわ」
「こんにゃくはスプーン、か。エリカ、出汁はこんぶと鰹節の合わせでいいか?」
晩秋の乾いた青空に大鍋から白い湯気が出汁のいい香りと共に昇っていく。季節柄底冷えする日も増えてきたが芋煮会当日の空気は酷く穏やかだ。
「ふむ、やはり三人とも手際がいい。野営で慣れているのもあるだろうが、流石は私が育て上げた同志諸君だ」
「穏やかじゃない奴が隣にいる以外は穏やかなんだけどなあ」
「ところでアルフォート君、戦場において大切な事はなんだと思う?そう、それは情報だ。……というわけで君には敵陣視察を頼みたい」
「いや、俺もう赤軍抜けてるし。ってかお前自分でいけよ。お前も暇してるじゃねえか」
「……戦場で膝に矢を受けてしまってな」
「いや、お前こんがりウェルダンに燃えてただろうが最期。叡山みたいに」
「……アルフォート君、そこは企画の世界観に合わせたコメントをしてくれないか?」
「少なくとも頭に三角の白いの貼り付けた奴に宗教観云々言われたくねえよ!!」
++++++++++++++++++++
「……サフォー君、一つ聞いていいでしょうか」
「はい、ブランチュール教皇」
「この食品界のスラムのような物体は一体何なのでしょうか?」
「芋煮ですが」
「ディストピア飯の間違いでは?……君が作ったのですか?」
「まさか、俺が作れるわけないでしょう。その辺を歩いていた芋煮を普段食べていそうな庶民に作らせたものです」
「宇宙人が見様見真似で作ったの間違いでは?」
「まあ見てくれはあれですが普段こういった安っぽい……げふん、こういったリーズナブルな食事を食べていそうな者達に作らせましたから味の方はいいかもしれません。そんなに露骨にドン引きした顔しないで下さい、教皇。俺も一緒に味見をします、それならいいでしょう?」
「私の今の気分を例えるなら一緒に廃村に悪魔祓いに行ったエクソシストが意味深な十字架を倒して、そのエクソシストが今朝血を吐いて死んだ。……といったものなのですが?」
「教皇」
「はい」
「……何故でしょう。匂いで若干の危険を感じるのは」
「だからディストピア飯って、私、さっき言いましたよね?」
「だ、だが食べないで評価を下すというのは―……実写版デビルマンに文句を言っていいものは実際に実写版デビルマンを見たものだけ―……にがっ!!!?くさっ!!!?えっ、きっっっっっつい!!?」
「この芋煮……例えるならヤバい親戚ですよ。極力、極力近付きたくない」
「汁がこうでも芋を食べれば中和されるのではそうすればこの舌の痺れもマシに……ごふっ……!!!?」
「根性で飲み込みなさいサフォー。キラキラ画面エフェクトはここでは出せませんよ」
「嘘だろこいつ……ユマ!瓊雲!!お前達は人の痛みが分からないのかッ!!!?」
「だって普段あたし料理しないもん!蝋梅のおばあちゃんが美味しい料理作ってくれるし……!」
「え~、でも私が料理をして爆発しなかっただけ奇跡だと思うんです~国で包丁持った事ありませんでしたし」
「旧教に怨みか何かあるのかお前達……これを人前に出す事に何か思う事はないのか!?良心の呵責はないのか!?」
「あれですね……芋の死骸に電流流したようなそんな味」
「なんで芋煮の中心にいるべきはずの旨味が苦みにかき消されるのだ……脇役にいなきゃいけない人間が主役を食うどころか大道具壊してまで主張するな!!!!」
「何故ミランダ君を呼んでこなかったんですか……黙示録の悪魔に何故助力を乞うたのですか……」
++++++++++++++++++++
「してアルフォート君、向こうの様子はどうだったかね?」
「俺今回こっち側でほんっっっっっとうによかった!!!!!!」
注:教皇側の芋煮はこのあとミランダさんが美味しく作り直しました。
≪アルフォート≫
その方は足元まで届く衣を纏い、金の帯を胸に締めておられた。その髪の毛は雪のように白い羊の毛に似て白く、眼は燃える炎のようであった。足は炉の中で精錬され磨かれた真鍮のように輝いていて、声は大水の轟のようであった。右の手には七つの星を持ち、口からは鋭い両刃の剣が出ており顔は力強く輝く太陽のようであった。
そしてその方を見た時、私はまるで死者のように足元に倒れた。その方は右の手を私の上に置いて、こう仰せになった。
恐れるな、私は最初の者でありm最後の者であり、生きている者である。私はいったん死んだが、見よ、代々限りなく生きている。そして死と陰府の鍵を持っている。
そこであなたが見た事、すなわち今ある事、更にこれから起ころうとしている事を書き記せ。あなたが私の右手に見た七つの星と七つの金の燭台に秘められた意味は次の通りである。七つの星は七つの教会の使い達であり、七つの燭台は七つの教会である。
【ヨハネの黙示録 第1章】
「芋煮ですからまずは主役の里芋の下ごしらえからしようか。まずは里芋についた泥を流水で丁寧に落として、それから皮を剥く前に乾いた布巾で拭いて皮の水気を取って……」
「ん、エテル?何でわざわざ水洗いした芋の皮を一度布巾で拭くんだ?そのまま切ればよくないか?」
「里芋はじゃがいもやサツマイモと違って水で濡れるとぬるぬると滑ってそのまま皮を剥くのは危ないんだよ、メド。あっ、ボウルにお塩を入れておいてくれないかな?この後ころころ~ってボウルの中で転がしてぬめりを取るんだ。そして、その後は水洗いして付いた塩を落としてから被るぐらいの水で三分ぐらい茹でて下ごしらえは終わりだよ」
「はあ……面倒っていうか手間かかるんだな、案外」
「ラシュクーレ、こんにゃくは包丁で切るのではなく手で千切るかスプーンで千切って下さいね。その方がお出汁が染み込んで美味しくなるんです。……エテル、ゴボウはササガキにして水に晒してありますわ。里芋と一緒にゴボウも先に茹でてしまってください。どっちも灰汁がでる野菜ですし、根菜ですから煮えるまで時間が掛かりますわ」
「こんにゃくはスプーン、か。エリカ、出汁はこんぶと鰹節の合わせでいいか?」
晩秋の乾いた青空に大鍋から白い湯気が出汁のいい香りと共に昇っていく。季節柄底冷えする日も増えてきたが芋煮会当日の空気は酷く穏やかだ。
「ふむ、やはり三人とも手際がいい。野営で慣れているのもあるだろうが、流石は私が育て上げた同志諸君だ」
「穏やかじゃない奴が隣にいる以外は穏やかなんだけどなあ」
「ところでアルフォート君、戦場において大切な事はなんだと思う?そう、それは情報だ。……というわけで君には敵陣視察を頼みたい」
「いや、俺もう赤軍抜けてるし。ってかお前自分でいけよ。お前も暇してるじゃねえか」
「……戦場で膝に矢を受けてしまってな」
「いや、お前こんがりウェルダンに燃えてただろうが最期。叡山みたいに」
「……アルフォート君、そこは企画の世界観に合わせたコメントをしてくれないか?」
「少なくとも頭に三角の白いの貼り付けた奴に宗教観云々言われたくねえよ!!」
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「……サフォー君、一つ聞いていいでしょうか」
「はい、ブランチュール教皇」
「この食品界のスラムのような物体は一体何なのでしょうか?」
「芋煮ですが」
「ディストピア飯の間違いでは?……君が作ったのですか?」
「まさか、俺が作れるわけないでしょう。その辺を歩いていた芋煮を普段食べていそうな庶民に作らせたものです」
「宇宙人が見様見真似で作ったの間違いでは?」
「まあ見てくれはあれですが普段こういった安っぽい……げふん、こういったリーズナブルな食事を食べていそうな者達に作らせましたから味の方はいいかもしれません。そんなに露骨にドン引きした顔しないで下さい、教皇。俺も一緒に味見をします、それならいいでしょう?」
「私の今の気分を例えるなら一緒に廃村に悪魔祓いに行ったエクソシストが意味深な十字架を倒して、そのエクソシストが今朝血を吐いて死んだ。……といったものなのですが?」
「教皇」
「はい」
「……何故でしょう。匂いで若干の危険を感じるのは」
「だからディストピア飯って、私、さっき言いましたよね?」
「だ、だが食べないで評価を下すというのは―……実写版デビルマンに文句を言っていいものは実際に実写版デビルマンを見たものだけ―……にがっ!!!?くさっ!!!?えっ、きっっっっっつい!!?」
「この芋煮……例えるならヤバい親戚ですよ。極力、極力近付きたくない」
「汁がこうでも芋を食べれば中和されるのではそうすればこの舌の痺れもマシに……ごふっ……!!!?」
「根性で飲み込みなさいサフォー。キラキラ画面エフェクトはここでは出せませんよ」
「嘘だろこいつ……ユマ!瓊雲!!お前達は人の痛みが分からないのかッ!!!?」
「だって普段あたし料理しないもん!蝋梅のおばあちゃんが美味しい料理作ってくれるし……!」
「え~、でも私が料理をして爆発しなかっただけ奇跡だと思うんです~国で包丁持った事ありませんでしたし」
「旧教に怨みか何かあるのかお前達……これを人前に出す事に何か思う事はないのか!?良心の呵責はないのか!?」
「あれですね……芋の死骸に電流流したようなそんな味」
「なんで芋煮の中心にいるべきはずの旨味が苦みにかき消されるのだ……脇役にいなきゃいけない人間が主役を食うどころか大道具壊してまで主張するな!!!!」
「何故ミランダ君を呼んでこなかったんですか……黙示録の悪魔に何故助力を乞うたのですか……」
++++++++++++++++++++
「してアルフォート君、向こうの様子はどうだったかね?」
「俺今回こっち側でほんっっっっっとうによかった!!!!!!」
注:教皇側の芋煮はこのあとミランダさんが美味しく作り直しました。
≪アルフォート≫
