第9節 感謝祭&生誕祭
「おはよう、ナハシュ。」
「ああ……おはようピエリス。」
「また、魘されてたよ?大丈夫……?お水飲む?」
「……そうだな。もらおうか。」
ナハシュは朝が苦手。
寒いのも好きじゃないし起きたときはちょっとぼんやりしていて、「喉が渇いた……」って言うの。
だからこうして私がお水を飲ませてあげるの。
一口分のお水を口に含んでそれを身体を少しだけ起こしたナハシュの口にゆっくり注いで、指を絡めながら上から覆うように体を重ねて、私の翼で包んであげて、あなたの身体を暖めてあげる。
口の中の水を全て注ぎ終えてもすぐには離さずに舌を絡めて長いキスを交わす。
いつもの朝の挨拶。
朝ごはんにはベーコンと玉ねぎのミルクスープにふわふわ柔らかな焼きたてのパンにトマトとレタスのサラダ。そしてあなたが大好きなチーズオムレツをひとつ。
テーブルに並べてコップに牛乳を注いで、身支度をしてるあなたの手を引いて温かい日差しが差し込む席へと誘う。
「朝ごはんできたよ!一緒に食べようナハシュ!」
「ああ、今日も美味そうに焼けているな。」
そう言うと赤い三日月のような瞳が柔らかく弧を描き、私もつられて笑顔になる。
「ほら、イチゴのジャムを買っておいたぞ。」
「ありがとうナハシュ!私このジャム大好きなの!」
少しだけ寒い朝の空気。だけど、私の心はとても暖かくて幸せな気持ちでいっぱい。
ナハシュと一緒に暮らすようになってしばらく経つけど、私とナハシュの関係は言葉で説明するならどんな言葉が当てはまるのだろう……?
少なくとも、だだの同居人……という関係ではないと思う……ナハシュは何も言わないけど、普通は一緒のベッドで眠ったりなんかしないし、あんな風にキスなんてしない……よね?
恋人…って思ってていいんだよね……?
できることなら……私はもっと……もっと深い関係になりたいな。
ナハシュのお嫁さんに……
「そろそろ時間だな……出掛けてくる。」
そう言って言葉少なめに呟いてあなたは長い尾を引きずりながら玄関の方へと歩いていく。
私はすぐにあなたの後を追いかけて玄関でお見送り。
ナハシュは昼間はお仕事の為に出掛けてしまう。
ナハシュがいない間私はお掃除をしたり、お洗濯をしたり、ご飯を作ったりしながらあなたの帰りを待つの。
ナハシュは……?ナハシュはいつもどんなお仕事をしてるのかな……?
前に聞いたときは確か魔物退治をしてるって言ってたっけ……
時々顔に赤い汚れをつけたまま帰ってきたこともあったけど、そういうときはお湯で絞ったタオルで綺麗に拭いてあげた。
魔物退治って大変なんだね……今日も怪我しないで帰って来てくれたらいいな。
「俺が帰るまでいい子にしてろよピエリス?」
「うん、待ってる。美味しいご飯を作って待ってるから。
怪我、しないでね……?」
私の頬に優しく触れて撫でてくれた。いつもそうして出掛ける前に玄関で言葉を交わして……今日もいつもと同じようにいってらっしゃいって唇にキスをしてあげるの。
いつの間にか足にはいつものようにナハシュの長い尻尾が絡んでいて、ちょっとキスをするつもりだったのに離れがたくて……いつも長いキスを交わしてしまう。
唇が離れたとき、あなたがドアノブに手をかけて扉を開けたとき、少しだけ寂しさを感じてしまう私は……何故こんなにも欲深なのだろう……
もっと……一緒にいたい……。
でも……ちゃんと見送らなきゃダメだよね。
「ナハシュ!」
私に呼び止められて振り返ったナハシュに少しだけ身体を浮かして赤いマフラーをぐるりと巻いてあげた。
ワインレッドの毛糸で編んだロングマフラー。
うん、やっぱりナハシュは赤が似合うね。
「ずっと編んでたの。少しずつ寒くなってきたでしょう?
ナハシュは寒いのが苦手だから、編んであげたかったの。」
あなたに贈りたかったの。
私に綺麗な服を買ってくれたあの日、帰りに立ち寄ったお店で買ってもらった赤い毛糸を、あなたがいない昼の間に毎日少しずつ少しずつ編んで、昨日ようやく完成させることができたの。
私が初めてあなたに贈る贈り物。
いつも優しくしてくれてありがとうってあなたに伝えたくて……
「ねぇ、ナハシュ……もう一回……いってらっしゃいのキスをしてもいい……?」
今日は感謝祭だから、お部屋をうんと綺麗にして美味しいお料理を作って待ってるねってナハシュと約束したの。
なにが食べたい?って聞いたらチキンのパイが食べたいって言われたから、寒がりなナハシュが身体の内側から温かくなれるようなお料理を作るね?
鶏肉と玉ねぎとブロッコリーとマッシュルームそれからじゃがいもを食べやすい大きさに切って炒めて、ホワイトソースと混ぜて。
焼き上がったパイの上にそれを盛り付けて、パイ生地を上から被せて卵を塗って、もう一度オーブンで焼いて……。
今焼いておけばナハシュが帰ってくる頃には焼き上がるかな?
その間に別のお料理も作っておこうかな。
トマトとふわふわの卵のスープはどうだろう?
ナハシュは卵が大好きだから卵料理を用意してあげたいな。
あとはマッシュポテトも作ろうかな。
チキンクリームパイが焼き上がるまで時間は沢山あるもの。
沢山食べて貰いたいな。
私ここに来て前よりお料理が上手になったんだよ。
ナハシュに食べてもらいたくて沢山作ったらいろんなお料理が作れるようになったんだよ。
美味しいって食べてくれるあなたの顔を見るのが大好きなの。
++++++++++++++++++++++
カチャって扉が開く音がして玄関の方からナハシュの声が聞こえた気がして。
私思わずあなたの方へ飛んで行きそうになって、羽ばたかないように我慢して駆け寄って……
「お帰りなさい!」ってあなたの首に抱きついてそのままお帰りなさいのキスを贈るの。
ごめんね、勢いが強くてびっくりしちゃうよね……でも本当に嬉しいの。あなたが無事に帰ってきてくれて……。
「ただいま、ピエリス。」
そう言って優しく抱き締めてくれるあなたの腕が、足に絡みつくあなたの尻尾が大好き。
「今日は、怪我しなかった?」
「ああ、感謝祭だからな。いつもより早く切り上げてきた。」
両手で頬を撫でるように優しく触れてみる。
ナハシュの綺麗な黒い鱗……いつもより少し冷たい……。
今日はとっても寒かったんだね、早くお部屋に連れていって温かいごはん食べさせてあげなきゃ。
「寒かったでしょう?早くご飯にしよう?
あのね、ナハシュに言われたようにちゃんと待ってたよ!
お料理沢山作ってあなたの帰りを待ってたの!」
だからもっと抱き締めて欲しいな。いい子だって撫でて欲しいな。
ナハシュの声で……ナハシュの手で……いつもみたいに優しく触れて欲しいな。
「あっ……ナハシュ、喉乾いたでしょ?お水飲む?」
「ああ、貰おうか。」
ナハシュはコップから水を飲むのが好きじゃないって知ってるから、だからこうして飲ませてあげるの。
ナハシュの事が大好きだから……
渇くことがないように。喉を潤してあげたいの。
「ああ……おはようピエリス。」
「また、魘されてたよ?大丈夫……?お水飲む?」
「……そうだな。もらおうか。」
ナハシュは朝が苦手。
寒いのも好きじゃないし起きたときはちょっとぼんやりしていて、「喉が渇いた……」って言うの。
だからこうして私がお水を飲ませてあげるの。
一口分のお水を口に含んでそれを身体を少しだけ起こしたナハシュの口にゆっくり注いで、指を絡めながら上から覆うように体を重ねて、私の翼で包んであげて、あなたの身体を暖めてあげる。
口の中の水を全て注ぎ終えてもすぐには離さずに舌を絡めて長いキスを交わす。
いつもの朝の挨拶。
朝ごはんにはベーコンと玉ねぎのミルクスープにふわふわ柔らかな焼きたてのパンにトマトとレタスのサラダ。そしてあなたが大好きなチーズオムレツをひとつ。
テーブルに並べてコップに牛乳を注いで、身支度をしてるあなたの手を引いて温かい日差しが差し込む席へと誘う。
「朝ごはんできたよ!一緒に食べようナハシュ!」
「ああ、今日も美味そうに焼けているな。」
そう言うと赤い三日月のような瞳が柔らかく弧を描き、私もつられて笑顔になる。
「ほら、イチゴのジャムを買っておいたぞ。」
「ありがとうナハシュ!私このジャム大好きなの!」
少しだけ寒い朝の空気。だけど、私の心はとても暖かくて幸せな気持ちでいっぱい。
ナハシュと一緒に暮らすようになってしばらく経つけど、私とナハシュの関係は言葉で説明するならどんな言葉が当てはまるのだろう……?
少なくとも、だだの同居人……という関係ではないと思う……ナハシュは何も言わないけど、普通は一緒のベッドで眠ったりなんかしないし、あんな風にキスなんてしない……よね?
恋人…って思ってていいんだよね……?
できることなら……私はもっと……もっと深い関係になりたいな。
ナハシュのお嫁さんに……
「そろそろ時間だな……出掛けてくる。」
そう言って言葉少なめに呟いてあなたは長い尾を引きずりながら玄関の方へと歩いていく。
私はすぐにあなたの後を追いかけて玄関でお見送り。
ナハシュは昼間はお仕事の為に出掛けてしまう。
ナハシュがいない間私はお掃除をしたり、お洗濯をしたり、ご飯を作ったりしながらあなたの帰りを待つの。
ナハシュは……?ナハシュはいつもどんなお仕事をしてるのかな……?
前に聞いたときは確か魔物退治をしてるって言ってたっけ……
時々顔に赤い汚れをつけたまま帰ってきたこともあったけど、そういうときはお湯で絞ったタオルで綺麗に拭いてあげた。
魔物退治って大変なんだね……今日も怪我しないで帰って来てくれたらいいな。
「俺が帰るまでいい子にしてろよピエリス?」
「うん、待ってる。美味しいご飯を作って待ってるから。
怪我、しないでね……?」
私の頬に優しく触れて撫でてくれた。いつもそうして出掛ける前に玄関で言葉を交わして……今日もいつもと同じようにいってらっしゃいって唇にキスをしてあげるの。
いつの間にか足にはいつものようにナハシュの長い尻尾が絡んでいて、ちょっとキスをするつもりだったのに離れがたくて……いつも長いキスを交わしてしまう。
唇が離れたとき、あなたがドアノブに手をかけて扉を開けたとき、少しだけ寂しさを感じてしまう私は……何故こんなにも欲深なのだろう……
もっと……一緒にいたい……。
でも……ちゃんと見送らなきゃダメだよね。
「ナハシュ!」
私に呼び止められて振り返ったナハシュに少しだけ身体を浮かして赤いマフラーをぐるりと巻いてあげた。
ワインレッドの毛糸で編んだロングマフラー。
うん、やっぱりナハシュは赤が似合うね。
「ずっと編んでたの。少しずつ寒くなってきたでしょう?
ナハシュは寒いのが苦手だから、編んであげたかったの。」
あなたに贈りたかったの。
私に綺麗な服を買ってくれたあの日、帰りに立ち寄ったお店で買ってもらった赤い毛糸を、あなたがいない昼の間に毎日少しずつ少しずつ編んで、昨日ようやく完成させることができたの。
私が初めてあなたに贈る贈り物。
いつも優しくしてくれてありがとうってあなたに伝えたくて……
「ねぇ、ナハシュ……もう一回……いってらっしゃいのキスをしてもいい……?」
今日は感謝祭だから、お部屋をうんと綺麗にして美味しいお料理を作って待ってるねってナハシュと約束したの。
なにが食べたい?って聞いたらチキンのパイが食べたいって言われたから、寒がりなナハシュが身体の内側から温かくなれるようなお料理を作るね?
鶏肉と玉ねぎとブロッコリーとマッシュルームそれからじゃがいもを食べやすい大きさに切って炒めて、ホワイトソースと混ぜて。
焼き上がったパイの上にそれを盛り付けて、パイ生地を上から被せて卵を塗って、もう一度オーブンで焼いて……。
今焼いておけばナハシュが帰ってくる頃には焼き上がるかな?
その間に別のお料理も作っておこうかな。
トマトとふわふわの卵のスープはどうだろう?
ナハシュは卵が大好きだから卵料理を用意してあげたいな。
あとはマッシュポテトも作ろうかな。
チキンクリームパイが焼き上がるまで時間は沢山あるもの。
沢山食べて貰いたいな。
私ここに来て前よりお料理が上手になったんだよ。
ナハシュに食べてもらいたくて沢山作ったらいろんなお料理が作れるようになったんだよ。
美味しいって食べてくれるあなたの顔を見るのが大好きなの。
++++++++++++++++++++++
カチャって扉が開く音がして玄関の方からナハシュの声が聞こえた気がして。
私思わずあなたの方へ飛んで行きそうになって、羽ばたかないように我慢して駆け寄って……
「お帰りなさい!」ってあなたの首に抱きついてそのままお帰りなさいのキスを贈るの。
ごめんね、勢いが強くてびっくりしちゃうよね……でも本当に嬉しいの。あなたが無事に帰ってきてくれて……。
「ただいま、ピエリス。」
そう言って優しく抱き締めてくれるあなたの腕が、足に絡みつくあなたの尻尾が大好き。
「今日は、怪我しなかった?」
「ああ、感謝祭だからな。いつもより早く切り上げてきた。」
両手で頬を撫でるように優しく触れてみる。
ナハシュの綺麗な黒い鱗……いつもより少し冷たい……。
今日はとっても寒かったんだね、早くお部屋に連れていって温かいごはん食べさせてあげなきゃ。
「寒かったでしょう?早くご飯にしよう?
あのね、ナハシュに言われたようにちゃんと待ってたよ!
お料理沢山作ってあなたの帰りを待ってたの!」
だからもっと抱き締めて欲しいな。いい子だって撫でて欲しいな。
ナハシュの声で……ナハシュの手で……いつもみたいに優しく触れて欲しいな。
「あっ……ナハシュ、喉乾いたでしょ?お水飲む?」
「ああ、貰おうか。」
ナハシュはコップから水を飲むのが好きじゃないって知ってるから、だからこうして飲ませてあげるの。
ナハシュの事が大好きだから……
渇くことがないように。喉を潤してあげたいの。
