第9節 感謝祭&生誕祭
この世に命を産み出すとはどのようなものなのでしょう……?
痛くて……苦しくて……もしかしたら命を落としてしまうのでしょうか……?
夜を迎える度に不安と恐怖を覚えた。
どんな痛みなのだろう……私はこの子を産むまでその痛みに耐えられるだろうか……
怖い……
「コレー……どうした……?眠れないのか……?」
「ベリル様……起きていらしたのですか……」
私のおなかをそっ……と優しく撫でて抱き寄せて……耳元で囁く。
「不安か……?」
「……はい……」
「大丈夫だ……俺が側にいる……」
胸の奥に甘く優しく染み込んでいく。
あなたにそう言われると不思議と不安が和らぐのです……
あなたの声が……温もりが……私に勇気を与えてくださる……
おなかに乗せられた手に自分の手をそっと重ねて……指を絡ませて強く握りしめる。
「ベリル様……私……頑張りますね……?」
この子に早く会いたい……ベリル様にこの子を抱いて貰いたい……
どんなに怖くても……あなたの為なら私は……頑張れます。
「無事にこの子が生まれたら素敵な名前をつけてあげてくださいね……?」
そう言って私は頬を寄せて目の前のあなたの唇へと口付けた。
大好きです。愛しています。
必ず……必ず元気なお子をあなたの元に届けて見せます。
だから……全て終わったらまた抱き締めてくださいね……?
+++++++++++++++++++++++
その日はいつもと変わらない朝を迎えた。
机に向かうあなたの姿をソファーに座って眺めながら時折激しく動くおなかを優しく撫でて……
そう……いつもと変わらない1日になる筈だった。
いつもと違う……時折来る小さな痛みを感じるまでは。
それが少しずつ少しずつ強い痛みに変わっていく。
少し息苦しくて胸騒ぎがする……ドクリ……ドクリ……と鼓動が激しくなっていく。
私……どうしたのかしら……こんな痛み今まで感じた事無かった……もしかしてこれが……予兆なのでしょうか……
痛みに耐えられず踞る。
額からじわりと汗が滲んで呼吸が乱れた。
「コレー……?どうした……?」
「ベリル……様……」
「顔色が悪い……どこか具合が悪いのか……?」
私の異変に気づいてくれたあなたが目の前にいる……それだけで不安と恐怖が和らいで……呼吸が少しだけ楽になった気がした。
背中を優しく撫でられながら抱き寄せられる。
大きな掌から伝わってくる優しい温もりが痛みを払い、私を抱き締める両腕が心を落ち着かせてくれた。
ああ……ベリル様が側にいてくれて良かった……
痛みが柔らぐと同時に私は言葉を口にする。
「ベリル様……お願いします……お医者様を……もしかしたら私……」
その言葉を口にした瞬間、全てを察したあなたは私をベッドへ横たえてそっと優しく頬を撫でて私の手を握りしめてくれた。
「わかった……ここで待っていろ……すぐに呼んでくる。
ゆっくり呼吸を整えてここで安静にしてるんだ……」
「……はい……」
じわりと涙が浮かんだ。
優しい言葉に……あなたの声に……恐怖が拭い去られて行く……
私も……怖がってばかりではいられませんよね……
ぎゅっ……と手を握り返して言葉の代わりに微笑みを返した。
大丈夫です……私は頑張れます。
私はこの子の母になるのだから。
「大きく息を吸って!呼吸を整えて!
次!もう一回いきむからね?
ほら!頑張って!」
痛い…苦しい…腰が砕けてしまいそうな強い痛みに耐えながら私は必死に力を込めた。
呼吸を止めると同時に両の脚に力を送るようにいきむ。
声にならない叫びと励ます人の声が部屋中に響き渡る。
痛い……苦しい……あと何回頑張ればいいんだろう……
うまく息ができない……沢山息を吸わなきゃ……赤ちゃんに息を送ってあげなきゃ……
「もう一回!頑張って!赤ちゃん頭出てきてるよ!もう少しだから頑張って!!」
「んーーーー…!!!!!ぅっ……くっ……う”あああああああああっ!!!!!」
痛くて苦しくて涙が溢れて痛みに耐えきれなくて叫んだ。
痛い…!痛い…!もう少しなのに…痛くてうまく力が入らない…
朦朧とする意識の中で声が聞こえた。
この声……ベリル様の……声……?
「コレー……もう少しだ……大丈夫だ……俺が側にいる……もう一度……呼吸を整えるんだ……」
小さく頷き応えて呼吸を整える。
まだ……頑張れます……約束……したんだもの……
「頑張って!もう一度!!もう少しだよ!!!!」
「くっ…!!!!!ぅああああああああ!!!!!!!!!!」
するり……と抜けていくような感覚を覚えた。
その瞬間、それまで感じていた重い痛みは消え、代わりに聞こえてきたのは甲高く可愛いらしい産声。
この声……この声が私の赤ちゃんの声……
強く手を握られた気がしてそちらへ視線を向けると赤ちゃんを見つめるベリル様の横顔が見えた。
檸檬ちゃんが私に生まれたばかりの赤ちゃんの顔を見せてくれた。
「見て!可愛い女の子だよ…!コレーさん頑張ったね!お母さんになったんだよ!」
胸に抱いた赤ちゃんはとっても軽くて……温かくて……今まで嗅いだことのないような甘い香りがした……
私の腕に伝わってくる確かな命……
私と……ベリル様の間に生まれた小さな命がここに……
「……とっても……可愛い……ベリル様………私……頑張りましたよね……?ようやくこの子の……お母さんに……なれたんですよね……」
精一杯微笑みを浮かべて傍らに立つベリル様へ向けて言葉を口にした。
全身に痛みが残っても疲労で意識が朦朧としても私は伝えたかった……あなたにこの言葉を贈りたかった。
「ありがとう……ございます……ベリル……様……」
痛くて……苦しくて……もしかしたら命を落としてしまうのでしょうか……?
夜を迎える度に不安と恐怖を覚えた。
どんな痛みなのだろう……私はこの子を産むまでその痛みに耐えられるだろうか……
怖い……
「コレー……どうした……?眠れないのか……?」
「ベリル様……起きていらしたのですか……」
私のおなかをそっ……と優しく撫でて抱き寄せて……耳元で囁く。
「不安か……?」
「……はい……」
「大丈夫だ……俺が側にいる……」
胸の奥に甘く優しく染み込んでいく。
あなたにそう言われると不思議と不安が和らぐのです……
あなたの声が……温もりが……私に勇気を与えてくださる……
おなかに乗せられた手に自分の手をそっと重ねて……指を絡ませて強く握りしめる。
「ベリル様……私……頑張りますね……?」
この子に早く会いたい……ベリル様にこの子を抱いて貰いたい……
どんなに怖くても……あなたの為なら私は……頑張れます。
「無事にこの子が生まれたら素敵な名前をつけてあげてくださいね……?」
そう言って私は頬を寄せて目の前のあなたの唇へと口付けた。
大好きです。愛しています。
必ず……必ず元気なお子をあなたの元に届けて見せます。
だから……全て終わったらまた抱き締めてくださいね……?
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その日はいつもと変わらない朝を迎えた。
机に向かうあなたの姿をソファーに座って眺めながら時折激しく動くおなかを優しく撫でて……
そう……いつもと変わらない1日になる筈だった。
いつもと違う……時折来る小さな痛みを感じるまでは。
それが少しずつ少しずつ強い痛みに変わっていく。
少し息苦しくて胸騒ぎがする……ドクリ……ドクリ……と鼓動が激しくなっていく。
私……どうしたのかしら……こんな痛み今まで感じた事無かった……もしかしてこれが……予兆なのでしょうか……
痛みに耐えられず踞る。
額からじわりと汗が滲んで呼吸が乱れた。
「コレー……?どうした……?」
「ベリル……様……」
「顔色が悪い……どこか具合が悪いのか……?」
私の異変に気づいてくれたあなたが目の前にいる……それだけで不安と恐怖が和らいで……呼吸が少しだけ楽になった気がした。
背中を優しく撫でられながら抱き寄せられる。
大きな掌から伝わってくる優しい温もりが痛みを払い、私を抱き締める両腕が心を落ち着かせてくれた。
ああ……ベリル様が側にいてくれて良かった……
痛みが柔らぐと同時に私は言葉を口にする。
「ベリル様……お願いします……お医者様を……もしかしたら私……」
その言葉を口にした瞬間、全てを察したあなたは私をベッドへ横たえてそっと優しく頬を撫でて私の手を握りしめてくれた。
「わかった……ここで待っていろ……すぐに呼んでくる。
ゆっくり呼吸を整えてここで安静にしてるんだ……」
「……はい……」
じわりと涙が浮かんだ。
優しい言葉に……あなたの声に……恐怖が拭い去られて行く……
私も……怖がってばかりではいられませんよね……
ぎゅっ……と手を握り返して言葉の代わりに微笑みを返した。
大丈夫です……私は頑張れます。
私はこの子の母になるのだから。
「大きく息を吸って!呼吸を整えて!
次!もう一回いきむからね?
ほら!頑張って!」
痛い…苦しい…腰が砕けてしまいそうな強い痛みに耐えながら私は必死に力を込めた。
呼吸を止めると同時に両の脚に力を送るようにいきむ。
声にならない叫びと励ます人の声が部屋中に響き渡る。
痛い……苦しい……あと何回頑張ればいいんだろう……
うまく息ができない……沢山息を吸わなきゃ……赤ちゃんに息を送ってあげなきゃ……
「もう一回!頑張って!赤ちゃん頭出てきてるよ!もう少しだから頑張って!!」
「んーーーー…!!!!!ぅっ……くっ……う”あああああああああっ!!!!!」
痛くて苦しくて涙が溢れて痛みに耐えきれなくて叫んだ。
痛い…!痛い…!もう少しなのに…痛くてうまく力が入らない…
朦朧とする意識の中で声が聞こえた。
この声……ベリル様の……声……?
「コレー……もう少しだ……大丈夫だ……俺が側にいる……もう一度……呼吸を整えるんだ……」
小さく頷き応えて呼吸を整える。
まだ……頑張れます……約束……したんだもの……
「頑張って!もう一度!!もう少しだよ!!!!」
「くっ…!!!!!ぅああああああああ!!!!!!!!!!」
するり……と抜けていくような感覚を覚えた。
その瞬間、それまで感じていた重い痛みは消え、代わりに聞こえてきたのは甲高く可愛いらしい産声。
この声……この声が私の赤ちゃんの声……
強く手を握られた気がしてそちらへ視線を向けると赤ちゃんを見つめるベリル様の横顔が見えた。
檸檬ちゃんが私に生まれたばかりの赤ちゃんの顔を見せてくれた。
「見て!可愛い女の子だよ…!コレーさん頑張ったね!お母さんになったんだよ!」
胸に抱いた赤ちゃんはとっても軽くて……温かくて……今まで嗅いだことのないような甘い香りがした……
私の腕に伝わってくる確かな命……
私と……ベリル様の間に生まれた小さな命がここに……
「……とっても……可愛い……ベリル様………私……頑張りましたよね……?ようやくこの子の……お母さんに……なれたんですよね……」
精一杯微笑みを浮かべて傍らに立つベリル様へ向けて言葉を口にした。
全身に痛みが残っても疲労で意識が朦朧としても私は伝えたかった……あなたにこの言葉を贈りたかった。
「ありがとう……ございます……ベリル……様……」
