第18章 手を取り合って

あれからあっという間に月日は流れて、私のおなかはどんどん大きくなって、ついに出産の予定日まであとひと月となってしまった。

はじめは酷かった悪阻も徐々に落ち着いて、以前のようにとはいかないけれど食事もとれるようになった。

前よりも動きは緩慢になって大きくなったおなかのせいで足元が見えなくてちょっと怖い時もあるけど、この家の人達と……ベリル様が支えてくださったから平穏無事にこれまで過ごして来ることができたのです。

「大丈夫かコレー?」

「はい、大丈夫です。ありがとうございますベリル様。」


例え小さな段差でも、まだおなかが小さなうちからいつもこうして私を支えてくださるのです。

しっかりと手を繋いで、私の腰を支えながら……


「あまり無理はするなよコレー。」

「はい、ベリル様。」

少し張ってきたおなかに手を当ててそっと撫でる。

中で赤ちゃんが私のおなかを蹴って活発に動いている。

予定の日まであと一ヶ月……。

まだもう少しここにいてねって言いながらおなかを撫でる。

すると私の手に重なるように大きな手がそっと私のおなかに触れた。

愛しそうに私のおなかを撫でるベリル様の顔を見上げてみるとそこにはとても優しい微笑みを浮かべたお顔が見えた。

「あとひと月……だな。」

「そうですね…。」

「不安か?」

「はい、少しだけ……。」

愛しくて愛しくて……待ち遠しい気持ちとその一方で胸の奥に少しの不安……

無事に産めるだろうか……本当に私が母親になれるのだろうか……始めての事ばかりで戸惑っている私がこの子の母親になれるのだろうか……と……そんな事を考えて……。

「ベリル様……私は怖いのです……これからの事を考えると私は……」

私はこれから新しい命を産み出そうとしている。

それがどんなに苦しいものになるか。

こんな私が命を産み出す苦しみに耐えられるのだろうかと。

「いえ……申し訳ございませんベリル様……私は大丈夫です。
きっと元気な赤ちゃんを生んでみせますね?
私この子に沢山靴下を編んだんです…!おくるみもお義母様に教えて戴いて作ってみたんですよ!
私やればできるんです!今度だってきっと…」

大丈夫って言おうとしたけどそこで言葉を濁してしまった。

想像できない未知の体験……出産とはどのようなものだろう……
経験してきた人に話を聞いても……その先に幸せが待っているとしても……やっぱり怖いものは怖い。

「ベリル様……私頑張ります。
だから……不安に押し潰されそうになったら……こうして手を握って貰ってもいいですか……?

そしたら私ちゃんと頑張れますから。」
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