第18章 手を取り合って
私は誰だ
酷く喧しい声が聞こえる。が、それは部屋の扉が閉じると共に静寂に変わった。ここまで、とても険しく長い道のりだったと思う。
さて、私はここへ来るまでの間に、何をした?足を動かしただけで、状況をただ眺め、この静寂へとたどり着くまでの間に、何かしたか?否、私は見ていただけだ。髪を捌いたあの日、私は大丈夫だと言い聞かせ、言うことを聞かずに飛び出したにも関わらず、私はまたしても、何もできていない。
「……馬鹿だ」
その場で項垂れた。額が机にコツリと当たるが、そんなことはどうだっていい。いかに己が未熟であり約立たずの人間だったかは、あの時に気づいていたはずだ。私が城を出た、あの時から……
短くなった髪に触れる。決意したあの日を思い出すと同時に、あの男……アルと別れたあの時の記憶が蘇る。私はきっと、あの男に好意を抱いている。が、今の私はあいつに合わせる顔があるだろうか?はじめから王女として私を見なかったあいつが、今更何を言ったって易々と引き下がるとは思えないが……私は、もうあいつと面を向かって話せる自信がなくなってしまった。
未だに信じ難い、私の存在そのものを否定されたかのような惨い話を聞かされた。私は王族の人間ではない、ならば私とは何だったのか?人の上に立てるような身分ではなかった?そんな話を今更聞かされて、信じられるはずが……と、思っていた。思っていたかった。だが、それもどうだっていいらしい。私は王女として、長く民の上に立ちすぎたのだから。
「利用……」
本当に、本当に私がわからない。私は、一体何なのだ?
その答えを知るためには、教皇……ブランチュールに訊ねる他ないのかもしれない。でも、もはや事実は答えにすらならないような気さえする。
泣くまい、決して泣くことはしまい。ルミナスにも言った、強き者は泣いてはならないと。
だからせめて、今は前を向いて。
「……時間だ」
私は、"王女"として立ち会おう。
(ルマンド)
酷く喧しい声が聞こえる。が、それは部屋の扉が閉じると共に静寂に変わった。ここまで、とても険しく長い道のりだったと思う。
さて、私はここへ来るまでの間に、何をした?足を動かしただけで、状況をただ眺め、この静寂へとたどり着くまでの間に、何かしたか?否、私は見ていただけだ。髪を捌いたあの日、私は大丈夫だと言い聞かせ、言うことを聞かずに飛び出したにも関わらず、私はまたしても、何もできていない。
「……馬鹿だ」
その場で項垂れた。額が机にコツリと当たるが、そんなことはどうだっていい。いかに己が未熟であり約立たずの人間だったかは、あの時に気づいていたはずだ。私が城を出た、あの時から……
短くなった髪に触れる。決意したあの日を思い出すと同時に、あの男……アルと別れたあの時の記憶が蘇る。私はきっと、あの男に好意を抱いている。が、今の私はあいつに合わせる顔があるだろうか?はじめから王女として私を見なかったあいつが、今更何を言ったって易々と引き下がるとは思えないが……私は、もうあいつと面を向かって話せる自信がなくなってしまった。
未だに信じ難い、私の存在そのものを否定されたかのような惨い話を聞かされた。私は王族の人間ではない、ならば私とは何だったのか?人の上に立てるような身分ではなかった?そんな話を今更聞かされて、信じられるはずが……と、思っていた。思っていたかった。だが、それもどうだっていいらしい。私は王女として、長く民の上に立ちすぎたのだから。
「利用……」
本当に、本当に私がわからない。私は、一体何なのだ?
その答えを知るためには、教皇……ブランチュールに訊ねる他ないのかもしれない。でも、もはや事実は答えにすらならないような気さえする。
泣くまい、決して泣くことはしまい。ルミナスにも言った、強き者は泣いてはならないと。
だからせめて、今は前を向いて。
「……時間だ」
私は、"王女"として立ち会おう。
(ルマンド)
