第15章 極北の地
トントンと叩く音が一定の間隔を刻みながら誰もいなくなったギルドの中に響き渡る。
この前のお客さんが踏み抜いてしまった大きな穴。それを直してるのは天青さん。
ふって柔らかく笑ったと思えばちょっと苦い顔をしながら釘を打ち付けてたり…嫌なことでも思い出した?
声をかけるタイミングが掴めなくて床の修理をする後ろ姿をずっと見てたら、天青さんが作業の手を止めてゆっくりと立ち上がって背伸びをひとつして……今なら声をかけてもいいかな?
邪魔にならないように少し離れたところから声をかければ、「おう」と軽く返事をしながらこちらへ振り返る。
「リザさんの手伝いしてたのか?」
「はい……!明日はクリスマスですから!料理の仕込みを手伝っていたんです。天青さん!私、お料理上手になったんですよ……!」
私何言ってるんだろ、何かお話したいなって思ってるのに……お料理のことなんてこの人は私の練習をいつも見てくれてたもの。
わざわざ言うまでの事じゃないのに、こんな事しか言えない…。
違うの、私はもっと天青さんとお話がしたいの。
自分の事じゃなくて……天青さんのことが知りたい。
「知ってるよ。白竜が頑張ってんの北の復興作業で見てたからな。……なあ、白竜、これから時間あるか?」
「時間ですか?」
「ああ、明日はクリスマスだろ?色々準備するものがあるんだよ。その買い出し……だな。勿論仕事があって忙しいっていうんなら別だけどよ」
私の気持ちはきっと天青さんは知らない…だって私の言い方じゃ全然伝わらないもの。
だから、こういうときははっきり返事をしようって決めてるの。
「はい!喜んでご一緒します!」
今の私と天青さんは同じギルドの仲間で、先輩と後輩の関係で……それ以上の関係じゃない。
一緒にいるだけでとても幸せ。
そう…今まではそう思ってたんだけど…最近はそれだけじゃ満たされない自分がいて……どんな些細なきっかけでもいいからお話がしたい。少しでも長く一緒にいたいって気持ちの方が強くなってて……
もっともっと天青さんと一緒にいたいの。
†††††††††††††††††††††††††
今年はクリスマスに贈り物をあげたい人が沢山いるんだ。
ルーベラさんのところに来てからお給料を貰うようになって、お金を貯めて、今年はお世話になった人にプレゼントを贈ろうって決めてた。
ルーベラさんとリザさんにいつもお世話になってるお礼に贈り物をしたいって思った。
私が今こうしてギルドでお仕事ができているのも、一人でお料理できるようになったのも、皆ルーベラさんとリザさんのおかげだから。
何度も失敗してきたし、何度も物を壊しては迷惑をかけてきてしまった。
だからクリスマスにプレゼントを贈りたいとずっと思っていたの。
ルーベラさんには落としても割れない木のお皿を。
いつもギルドでお皿が割れてしまってため息をついてたから、リザさんと一緒に食べる為のお皿は割れないものがいいなって。木なら絶対割れないよね。多分。
リザさんには赤いガーベラとバラの鉢植えを。
リザさんには赤い色がとっても似合うし、きっとお花好きだと思うから。
買った後で気づいたけど、お花の名前が旦那さんに似てるね…?
喜んでもらえるといいな。
「あとは……天青さんのプレゼント……何がいいかな……」
ずっとお店のなかをぐるぐるしてるけど、一番プレゼントをあげたい人の贈り物がまだ決まってない。
おかしいな…ルーベラさんとリザさんより沢山お話もしたし、一緒に北へ支援も行ったから天青さんのことずっと近くで見てきた筈……なんだけどな……?
なんで贈り物が決まらないんだろ……。
あの人は……何を贈ったら喜んでくれるかな……?
「天青さ……」
ううん。やめよう。どんなに時間がかかっても自分で選びたい。
あの人はきっと何がいい?って聞いても、「なんでもいい」って答える人だと思う。
だったら自分で選びたい。天青さんに何が必要なのか。
天青さんもギルドのお買い物で忙しいみたいだし。ゆっくり自分で考えよう。
天青さんは何が好きなのかな……。
食べ物は何が好き?って聞いたら美味しい物なら何でも食べるって答える。
天青さん、いつもお豆食べてるから、お豆が好きなのかと言われたらそうじゃなくて……栄養あるし手軽だから食べてるけど、別に好きなわけじゃないって言ってた。
『食えれば何でもいいんだよ。毒が入ってなくて腐ってなければな。』
それを聞いた私は(そうか。美味しいなら何でも食べてくれるのか。)ってそう思った。
だからリザさんにうんとお料理教えて貰ったんだ。
お料理が上手になったら一番に食べて貰いたいと思ったから。
……うん、お料理はきっと喜んでくれるね。後で美味しいお料理作ってあげたい…!
でも…食べちゃったらおしまいだし…できれば形に残るものをあげたいな。
やっぱり、身につけてくれるものがいいな……。
アクセサリーはどうだろう?
天青さんお洒落さんだもん。マフラーとか喜んでくれるかも。
これからもっと寒くなるから暖かくできるようなのがいいな。
……でもこれだけじゃちょっと足りない。
私天青さんに貰ってばっかりだもの。
私をギルドに連れてきてくれたのも、ずっとお料理の練習見守ってくれたのも困ったときに相談に乗ってくれたのも……私の新しい生き方を教えてくれたのも……。
だからもう少し…贈り物をしたい。
あっ……そうか。私天青さんの事…何も知らないんじゃなくて、あげたいものが多過ぎてプレゼントが決まらないのか……。
さっきまでとても綺麗な青空だったのに、いつの間にか空が白い雲に覆われて冷たい風が吹いていて……
ちょっと肌寒い……。
お店を出てから椅子に腰かけて何気なく会話を交わしながら買い物の報告をしてるけど…ふるふると身体が小刻みに震える。
収まってくれないかな…この震え。
私もう少し天青さんとお話がしたい。
今私が震えてるって解ったら天青さん、きっとギルドに早く帰ろうって言うもの。
そう思って寒いって言わないように、悟られないように……って我慢してたつもりだったんだけど…天青さんが何も言わずにマフラーを巻いてくれた。
「それ、巻いてろ。ないよりは温かいだろう?お前もリザード種だしな。寒さは得意じゃないだろ?」
いつも身に付けてる薄い生地のロングマフラー……今外したばかりでまだ温かい……彼の気遣いがとても嬉しい。
だけど……それじゃあ天青さんは?
「温かい……です。でも、天青さんは?寒くはありませんか?」
「俺は鍛えているから平気なの」
いえ…知ってます…天青さん、我慢してますよね…寒いの苦手ですよね。知ってます私。
北の支援のとき「温かいものをくれ」って一緒にココア飲んだこともあったもの。
確かに鍛てるから…天青さんは私より強いです。でも今こうして寒風が吹き抜けた時にちょっとだけ身震いしたのを私…ちゃんと見てました。
「……何笑ってんだよ、白竜」
「ふふっ……やっぱり寒いんですね、天青さんも。これ、お返ししま―……」
「たんま。確かに少し……すこーーーし寒いが、白竜が横で震えてる方がもっと嫌なんだよ」
そう言ってそっと優しく私の頬に触れる。
天青さん、気づいてたんだ。私が寒いの苦手なのも、私が少し震えてたのも。
「あんまりここで座ってくっちゃべってるのも良くねーな。暗くなる前に帰るとするか。……白竜、これやるよ。一日早いけどな」
「えっ……?」
「プレゼント。お前仕事頑張ってたしな。その労いも兼ねて、だ。それに明日ギルドで渡したんじゃ馬鹿野郎どもにもみくちゃにされちまうかもしれないだろ?」
そう言って持っていた二つの包みのうち一つを私に手渡して、そのまま流れるように私の手を取って息を吐きかけて握って温めてくれた…。
何でそんな事が自然にできるの……私は天青さんから見たらただのギルドの後輩……だよね……?
「部屋に着いたら開けてみてくれ。気に入らなかったら処分してもらっていい」
処分なんて…そんなことしない。
胸に抱えた包みがかさりと音をたてる。
この感触……何か柔らかいものが入ってるみたい。中身は何だろう?
嬉しい…とても。天青さんからプレゼントもらえるなんて思ってなかったから。
頬が熱い……胸の鼓動がうるさい……。
どうしよう、嬉しすぎて尻尾が揺れる……。私今きっと変な顔してる……。
「じゃあ、帰るか。出る時に錦江で最中買って来るって言っちまったからな。早く持って帰らねえと文句言われるかもしれねえし」
「待ってください…!」
踵を返して帰ろうとする天青さんを呼び止めた。
贈り物の一つを天青さんの前に差し出しながら。
「後で渡そうと思いましたけど…やっぱり……今、渡しちゃいますね。」
かさりと音を立てて袋からマフラーを取り出してそれを天青さんの首へとかける。
「本当は、天青さんに開けて貰おうと思ったんですけど……必要なのは今かなって……。」
白と灰色のカシミアのマフラー。
きっとこれなら温かいですよね。
「あと……これ。こっちはお家で開けてください。」
青いリボンで飾られた細長い小箱。
中に入ってるのはセレスタイトのネックレス。
天青さんの鱗と同じお空みたいに青い宝石。
お店で見つけたとき、これしかないって思った。
「贈り物、少し早いけど私も贈らせてください。」
どうしよう……言ってしまおうかな……私、今なら言えるかもしれない。
だって今のままだと伝わらないもの。
「あの……天青さん……。」
もしかしたら天青さんから見たら私はギルドの後輩で、ただの同族の妹分なのかもしれない。
でも私は違うってちゃんと伝えたい。
伝えないと……これから先も変わらない気がする。
「私……天青さんのことが好きです。
大好きなんです。
もっと一緒にいたいです……。」
勢いに任せて口走ったけど……徐々に不安の方が大きくなってきた。
揺れてた尻尾が徐々に揺れが小さくなっていく。喉の奥がチリチリ焼けるみたいな感覚がする。この沈黙が怖い。
でも後悔してない。ずっと伝えたかったもの。
「いつも見守ってくれて、ありがとうございます。天青さん。」
また頭を撫でてくれるかな。笑いかけてくれるかな。
今までみたいに変わらずに一緒にいれたらいいな。
この前のお客さんが踏み抜いてしまった大きな穴。それを直してるのは天青さん。
ふって柔らかく笑ったと思えばちょっと苦い顔をしながら釘を打ち付けてたり…嫌なことでも思い出した?
声をかけるタイミングが掴めなくて床の修理をする後ろ姿をずっと見てたら、天青さんが作業の手を止めてゆっくりと立ち上がって背伸びをひとつして……今なら声をかけてもいいかな?
邪魔にならないように少し離れたところから声をかければ、「おう」と軽く返事をしながらこちらへ振り返る。
「リザさんの手伝いしてたのか?」
「はい……!明日はクリスマスですから!料理の仕込みを手伝っていたんです。天青さん!私、お料理上手になったんですよ……!」
私何言ってるんだろ、何かお話したいなって思ってるのに……お料理のことなんてこの人は私の練習をいつも見てくれてたもの。
わざわざ言うまでの事じゃないのに、こんな事しか言えない…。
違うの、私はもっと天青さんとお話がしたいの。
自分の事じゃなくて……天青さんのことが知りたい。
「知ってるよ。白竜が頑張ってんの北の復興作業で見てたからな。……なあ、白竜、これから時間あるか?」
「時間ですか?」
「ああ、明日はクリスマスだろ?色々準備するものがあるんだよ。その買い出し……だな。勿論仕事があって忙しいっていうんなら別だけどよ」
私の気持ちはきっと天青さんは知らない…だって私の言い方じゃ全然伝わらないもの。
だから、こういうときははっきり返事をしようって決めてるの。
「はい!喜んでご一緒します!」
今の私と天青さんは同じギルドの仲間で、先輩と後輩の関係で……それ以上の関係じゃない。
一緒にいるだけでとても幸せ。
そう…今まではそう思ってたんだけど…最近はそれだけじゃ満たされない自分がいて……どんな些細なきっかけでもいいからお話がしたい。少しでも長く一緒にいたいって気持ちの方が強くなってて……
もっともっと天青さんと一緒にいたいの。
†††††††††††††††††††††††††
今年はクリスマスに贈り物をあげたい人が沢山いるんだ。
ルーベラさんのところに来てからお給料を貰うようになって、お金を貯めて、今年はお世話になった人にプレゼントを贈ろうって決めてた。
ルーベラさんとリザさんにいつもお世話になってるお礼に贈り物をしたいって思った。
私が今こうしてギルドでお仕事ができているのも、一人でお料理できるようになったのも、皆ルーベラさんとリザさんのおかげだから。
何度も失敗してきたし、何度も物を壊しては迷惑をかけてきてしまった。
だからクリスマスにプレゼントを贈りたいとずっと思っていたの。
ルーベラさんには落としても割れない木のお皿を。
いつもギルドでお皿が割れてしまってため息をついてたから、リザさんと一緒に食べる為のお皿は割れないものがいいなって。木なら絶対割れないよね。多分。
リザさんには赤いガーベラとバラの鉢植えを。
リザさんには赤い色がとっても似合うし、きっとお花好きだと思うから。
買った後で気づいたけど、お花の名前が旦那さんに似てるね…?
喜んでもらえるといいな。
「あとは……天青さんのプレゼント……何がいいかな……」
ずっとお店のなかをぐるぐるしてるけど、一番プレゼントをあげたい人の贈り物がまだ決まってない。
おかしいな…ルーベラさんとリザさんより沢山お話もしたし、一緒に北へ支援も行ったから天青さんのことずっと近くで見てきた筈……なんだけどな……?
なんで贈り物が決まらないんだろ……。
あの人は……何を贈ったら喜んでくれるかな……?
「天青さ……」
ううん。やめよう。どんなに時間がかかっても自分で選びたい。
あの人はきっと何がいい?って聞いても、「なんでもいい」って答える人だと思う。
だったら自分で選びたい。天青さんに何が必要なのか。
天青さんもギルドのお買い物で忙しいみたいだし。ゆっくり自分で考えよう。
天青さんは何が好きなのかな……。
食べ物は何が好き?って聞いたら美味しい物なら何でも食べるって答える。
天青さん、いつもお豆食べてるから、お豆が好きなのかと言われたらそうじゃなくて……栄養あるし手軽だから食べてるけど、別に好きなわけじゃないって言ってた。
『食えれば何でもいいんだよ。毒が入ってなくて腐ってなければな。』
それを聞いた私は(そうか。美味しいなら何でも食べてくれるのか。)ってそう思った。
だからリザさんにうんとお料理教えて貰ったんだ。
お料理が上手になったら一番に食べて貰いたいと思ったから。
……うん、お料理はきっと喜んでくれるね。後で美味しいお料理作ってあげたい…!
でも…食べちゃったらおしまいだし…できれば形に残るものをあげたいな。
やっぱり、身につけてくれるものがいいな……。
アクセサリーはどうだろう?
天青さんお洒落さんだもん。マフラーとか喜んでくれるかも。
これからもっと寒くなるから暖かくできるようなのがいいな。
……でもこれだけじゃちょっと足りない。
私天青さんに貰ってばっかりだもの。
私をギルドに連れてきてくれたのも、ずっとお料理の練習見守ってくれたのも困ったときに相談に乗ってくれたのも……私の新しい生き方を教えてくれたのも……。
だからもう少し…贈り物をしたい。
あっ……そうか。私天青さんの事…何も知らないんじゃなくて、あげたいものが多過ぎてプレゼントが決まらないのか……。
さっきまでとても綺麗な青空だったのに、いつの間にか空が白い雲に覆われて冷たい風が吹いていて……
ちょっと肌寒い……。
お店を出てから椅子に腰かけて何気なく会話を交わしながら買い物の報告をしてるけど…ふるふると身体が小刻みに震える。
収まってくれないかな…この震え。
私もう少し天青さんとお話がしたい。
今私が震えてるって解ったら天青さん、きっとギルドに早く帰ろうって言うもの。
そう思って寒いって言わないように、悟られないように……って我慢してたつもりだったんだけど…天青さんが何も言わずにマフラーを巻いてくれた。
「それ、巻いてろ。ないよりは温かいだろう?お前もリザード種だしな。寒さは得意じゃないだろ?」
いつも身に付けてる薄い生地のロングマフラー……今外したばかりでまだ温かい……彼の気遣いがとても嬉しい。
だけど……それじゃあ天青さんは?
「温かい……です。でも、天青さんは?寒くはありませんか?」
「俺は鍛えているから平気なの」
いえ…知ってます…天青さん、我慢してますよね…寒いの苦手ですよね。知ってます私。
北の支援のとき「温かいものをくれ」って一緒にココア飲んだこともあったもの。
確かに鍛てるから…天青さんは私より強いです。でも今こうして寒風が吹き抜けた時にちょっとだけ身震いしたのを私…ちゃんと見てました。
「……何笑ってんだよ、白竜」
「ふふっ……やっぱり寒いんですね、天青さんも。これ、お返ししま―……」
「たんま。確かに少し……すこーーーし寒いが、白竜が横で震えてる方がもっと嫌なんだよ」
そう言ってそっと優しく私の頬に触れる。
天青さん、気づいてたんだ。私が寒いの苦手なのも、私が少し震えてたのも。
「あんまりここで座ってくっちゃべってるのも良くねーな。暗くなる前に帰るとするか。……白竜、これやるよ。一日早いけどな」
「えっ……?」
「プレゼント。お前仕事頑張ってたしな。その労いも兼ねて、だ。それに明日ギルドで渡したんじゃ馬鹿野郎どもにもみくちゃにされちまうかもしれないだろ?」
そう言って持っていた二つの包みのうち一つを私に手渡して、そのまま流れるように私の手を取って息を吐きかけて握って温めてくれた…。
何でそんな事が自然にできるの……私は天青さんから見たらただのギルドの後輩……だよね……?
「部屋に着いたら開けてみてくれ。気に入らなかったら処分してもらっていい」
処分なんて…そんなことしない。
胸に抱えた包みがかさりと音をたてる。
この感触……何か柔らかいものが入ってるみたい。中身は何だろう?
嬉しい…とても。天青さんからプレゼントもらえるなんて思ってなかったから。
頬が熱い……胸の鼓動がうるさい……。
どうしよう、嬉しすぎて尻尾が揺れる……。私今きっと変な顔してる……。
「じゃあ、帰るか。出る時に錦江で最中買って来るって言っちまったからな。早く持って帰らねえと文句言われるかもしれねえし」
「待ってください…!」
踵を返して帰ろうとする天青さんを呼び止めた。
贈り物の一つを天青さんの前に差し出しながら。
「後で渡そうと思いましたけど…やっぱり……今、渡しちゃいますね。」
かさりと音を立てて袋からマフラーを取り出してそれを天青さんの首へとかける。
「本当は、天青さんに開けて貰おうと思ったんですけど……必要なのは今かなって……。」
白と灰色のカシミアのマフラー。
きっとこれなら温かいですよね。
「あと……これ。こっちはお家で開けてください。」
青いリボンで飾られた細長い小箱。
中に入ってるのはセレスタイトのネックレス。
天青さんの鱗と同じお空みたいに青い宝石。
お店で見つけたとき、これしかないって思った。
「贈り物、少し早いけど私も贈らせてください。」
どうしよう……言ってしまおうかな……私、今なら言えるかもしれない。
だって今のままだと伝わらないもの。
「あの……天青さん……。」
もしかしたら天青さんから見たら私はギルドの後輩で、ただの同族の妹分なのかもしれない。
でも私は違うってちゃんと伝えたい。
伝えないと……これから先も変わらない気がする。
「私……天青さんのことが好きです。
大好きなんです。
もっと一緒にいたいです……。」
勢いに任せて口走ったけど……徐々に不安の方が大きくなってきた。
揺れてた尻尾が徐々に揺れが小さくなっていく。喉の奥がチリチリ焼けるみたいな感覚がする。この沈黙が怖い。
でも後悔してない。ずっと伝えたかったもの。
「いつも見守ってくれて、ありがとうございます。天青さん。」
また頭を撫でてくれるかな。笑いかけてくれるかな。
今までみたいに変わらずに一緒にいれたらいいな。
