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「さあ…ティナ…手を出して。」
「これは…?私にくれるの?」
「ああ…貸してごらん…」
指先に触れた手は大きくて…とても暖かかった…
《指輪》
「ふう…。ここに来るのも久しぶり。」
あの日から、一年…。
そう、一年が経ちました。
世界中がボロボロになって…みんなが…たくさん傷ついて…
でも、希望の光がガレキの塔を貫いて世界を照らしたあの日から…
本当なら、魔法と共に消える運命だった私。
でも、私は、この世界で生きている。
生きて…みんなと一緒に歩いている。
「なんだか、不思議…」
「何が、不思議なんだい?」
少し擦れた低い声が耳元に降りてくる…。
ああ…この声は…
忘れるわけがないよ…
「エドガー、どうしたの?」
私は少し笑いながら、声の主人の方へと振り返った。
「素敵なレディがいるならあいさつをする。これは常識だろう?」
「相変わらずだね。」
フィガロの若い王さまは変わっていなかった。
懐かしくってうれしくなると同時に、何故か少しだけ胸が締め付けられて…
その気持ちが何なのか私には分からなくて…
だから、気持ちを落ち着かせるために少しだけ目を閉じた。
「急に呼び出してすまなかったね。ところでティナ?モブリスの村はどうだい?」
「モブリスの村は相変わらずよ。みんな元気で…私の方が先に疲れちゃうんだから。」
私は、自分が身を寄せている村を思い出した。
何もかも失って荒れ果てていたあの村は今、生まれ変わろうとしている。
ちょっとずつだけど確実に。
子供たちの笑い声が村いっぱいに広がって…私はその風景を見るのが大好きで…
「フィガロもすごく明るくなったね。…きっとエドガーのおかげだね。」
私がそう言うと、エドガーは少し困ったように笑った。
「いや、私は何もしていないよ。全ては民の…民自身の生きる力だ。」
うん…そうだね。
あなたならそう言うだろうな…ってわかってた。でもね…
「でも、みんながエドガーの事、大好きだから。
だから、頑張れるの。頑張りたいって思うの。」
「ティナ…」
新しい世界を照らすお日様はとても暖かくて
風は優しくあなたの綺麗な髪をくすぐって…あなたの髪が空に舞う。
「そういえば、エドガー。今日は髪を結んでいないのね。」
「あ…ああ。近頃何かと忙しくてな…」
日の光を受けてキラキラ光る髪もとても綺麗だと思う。でも、私は…
「エドガー、私が髪結ぶよ。はい、しゃがんで。」
「うわっ!ティナ!?」
「はい、できた。」
やっぱり、記憶の中にあるエドガーが見たくって、半ば強引に髪を結んだ。
「これは…モーグリの髪止め?」
「うん、似合ってるよ!すごく可愛い。」
あたしの言葉を聞いてエドガーの笑顔が若干引きつってるような気がするのは、気のせいかな?
…こんなに可愛いのに。
「それ、エドガーにあげるね。私の宝物。だから、エドガーにあげたいの。」
「ティナが?私に?……しまったな…」
エドガーは何やらブツブツ言って自分の頭を掻いているみたい。
もしかしたら…いらなかったのかな?
少し悲しいけど、無理強いはダメだよね…?
「あ…あのね、エドガーもしー…」
「…ティナ…その…私からのプレゼントも受け取ってくれるかい?」
そう言ったエドガーの顔はいつもよりも真剣で…
ちょっぴり赤かった。
fin
「これは…?私にくれるの?」
「ああ…貸してごらん…」
指先に触れた手は大きくて…とても暖かかった…
《指輪》
「ふう…。ここに来るのも久しぶり。」
あの日から、一年…。
そう、一年が経ちました。
世界中がボロボロになって…みんなが…たくさん傷ついて…
でも、希望の光がガレキの塔を貫いて世界を照らしたあの日から…
本当なら、魔法と共に消える運命だった私。
でも、私は、この世界で生きている。
生きて…みんなと一緒に歩いている。
「なんだか、不思議…」
「何が、不思議なんだい?」
少し擦れた低い声が耳元に降りてくる…。
ああ…この声は…
忘れるわけがないよ…
「エドガー、どうしたの?」
私は少し笑いながら、声の主人の方へと振り返った。
「素敵なレディがいるならあいさつをする。これは常識だろう?」
「相変わらずだね。」
フィガロの若い王さまは変わっていなかった。
懐かしくってうれしくなると同時に、何故か少しだけ胸が締め付けられて…
その気持ちが何なのか私には分からなくて…
だから、気持ちを落ち着かせるために少しだけ目を閉じた。
「急に呼び出してすまなかったね。ところでティナ?モブリスの村はどうだい?」
「モブリスの村は相変わらずよ。みんな元気で…私の方が先に疲れちゃうんだから。」
私は、自分が身を寄せている村を思い出した。
何もかも失って荒れ果てていたあの村は今、生まれ変わろうとしている。
ちょっとずつだけど確実に。
子供たちの笑い声が村いっぱいに広がって…私はその風景を見るのが大好きで…
「フィガロもすごく明るくなったね。…きっとエドガーのおかげだね。」
私がそう言うと、エドガーは少し困ったように笑った。
「いや、私は何もしていないよ。全ては民の…民自身の生きる力だ。」
うん…そうだね。
あなたならそう言うだろうな…ってわかってた。でもね…
「でも、みんながエドガーの事、大好きだから。
だから、頑張れるの。頑張りたいって思うの。」
「ティナ…」
新しい世界を照らすお日様はとても暖かくて
風は優しくあなたの綺麗な髪をくすぐって…あなたの髪が空に舞う。
「そういえば、エドガー。今日は髪を結んでいないのね。」
「あ…ああ。近頃何かと忙しくてな…」
日の光を受けてキラキラ光る髪もとても綺麗だと思う。でも、私は…
「エドガー、私が髪結ぶよ。はい、しゃがんで。」
「うわっ!ティナ!?」
「はい、できた。」
やっぱり、記憶の中にあるエドガーが見たくって、半ば強引に髪を結んだ。
「これは…モーグリの髪止め?」
「うん、似合ってるよ!すごく可愛い。」
あたしの言葉を聞いてエドガーの笑顔が若干引きつってるような気がするのは、気のせいかな?
…こんなに可愛いのに。
「それ、エドガーにあげるね。私の宝物。だから、エドガーにあげたいの。」
「ティナが?私に?……しまったな…」
エドガーは何やらブツブツ言って自分の頭を掻いているみたい。
もしかしたら…いらなかったのかな?
少し悲しいけど、無理強いはダメだよね…?
「あ…あのね、エドガーもしー…」
「…ティナ…その…私からのプレゼントも受け取ってくれるかい?」
そう言ったエドガーの顔はいつもよりも真剣で…
ちょっぴり赤かった。
fin