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あなたは今どこにいますか?
笑っていますか?幸せですか?
私は―…
《Dear…》
Dear この世界のどこかにいる君へ
まずは、いきなりこんな手紙を書いてごめんね。
本当は直接言いたいんだけど…今回は手紙にして君へ伝えようって思うんだ。
ちょっと長くなっちゃうけど最後まで見てくれると嬉しいな。
じゃあ、さっそく本題。
いきなりこんな事言うとおかしいかもしれないけど、知ってる?君の瞳ってビサイドの海の色と同じなんだよ。
底の見えない、でも、綺麗な…とっても綺麗なマリンディープ。
その瞳をね、初めて見た時から、私、目を逸らせなくなってたの。
…なーんてね。
でも、本当の話。
初めて会ったのは、ビサイドの寺院…だったよね。
あの時の私は未熟者で―…って、それは今もなんだけど…それよりもずっとダメダメだったんだ。
そんなダメダメの私に皆は期待してくれてた。
…皆が私に期待してる。
私は大召喚士ブラスカの令嬢。
令嬢でなければならない。
…いつか君に、皆に尊敬されている父を誇りに思ってるって話したことあったよね?
それはね、嘘なんかじゃないんだよ。それも私の本心。
でも、やっぱり重荷に感じていた事も…それも私の本心。
17歳のユウナと大召喚士ブラスカの娘の私。
どっちも本当の自分なのにそのギャップで知らず知らずのうちに心はすり減っていて―…
おかしな話だよね?
だって、私は召喚士になったら旅をしなければならないのに。
その旅の終わりには―…私は、この世界とさよならをしなければいけないのに。
それなのにそんな事で真剣に悩んでたんだよ?
そんな私を…君はユウナに戻してくれた。
君が隣にいるとね、私は大召喚士の娘じゃなくて17歳のユウナでいられたの。
日溜まりのような君のぴかぴかの笑顔。
その笑顔を見ているだけで肩の力がふっ…と抜けて、ああ…幸せなんだなって心の底から思えたの。
最初は、その幸せを認めるのが怖かった。
君と私の距離。
近くなればなるほど
君を知れば知るほど
…別れが辛くなるって分かってたから。
だから、幸せな気持ちに蓋をしようと思った。
だけど…ダメだった。
蓋をしても幸せな気持ちは洪水のように溢れ出して、私の心をお日様の光で満たしていった。
だからね、私―…
規則正しい潮騒の音が、私の鼓膜を優しく揺する。
眩しいくらい輝いていたお日様の姿は今はなくて、その代わりに空には淡い白い月が浮かんでいて…水面にどこまでも続く光の橋を架けていた。
そんな静かな夜の海を、私が投げた白い紙飛行機が渡っていく。
勿論、そんなに遠くまで飛ぶわけがないからすぐに波の間に落ちて…紙飛行機は海へと溶けていった。
溶ける紙飛行機を最後まで見届けて、私は海に背を向ける。
何度も何度も泣いた。
何度も何度も後悔した。
何度も何度も自分を…
君を…
運命を責めた。
その気持ち。それは今でも変わらない。
でも、私、進もうと思うの。
ねえ、あなたは今どこにいますか?
笑っていますか?幸せですか?
…私は幸せじゃありません。
だから、私、幸せになろうと思います。
思い出なんかにしない。
夢を夢で終わらせてなんかやらない。
―…青くてもいい!大人ぶって格好つけてさ!言いたいことも言えないなんてそんなの嫌だッ!!俺、この青さはなくさない!!…―
いつか、君はそう言ったよね?だから、私もあがくの。
たとえ、世界中の皆が笑ったとしても構わない。
青臭いと罵られても構わない。
風のように…水のように…希望は擦り抜けていくかもしれない。
掴むものは希望ではなく絶望かもしれない。
だけど、手を伸ばしてもがき続けるって…そう決めた。
いつもそばで笑っていたいから。
君のすぐそばで。
君と手を繋いで歩いた道をもう一度辿って、君を迎えに行くんだ。
“おかえりなさい”
その一言を伝えるために。
Fin
笑っていますか?幸せですか?
私は―…
《Dear…》
Dear この世界のどこかにいる君へ
まずは、いきなりこんな手紙を書いてごめんね。
本当は直接言いたいんだけど…今回は手紙にして君へ伝えようって思うんだ。
ちょっと長くなっちゃうけど最後まで見てくれると嬉しいな。
じゃあ、さっそく本題。
いきなりこんな事言うとおかしいかもしれないけど、知ってる?君の瞳ってビサイドの海の色と同じなんだよ。
底の見えない、でも、綺麗な…とっても綺麗なマリンディープ。
その瞳をね、初めて見た時から、私、目を逸らせなくなってたの。
…なーんてね。
でも、本当の話。
初めて会ったのは、ビサイドの寺院…だったよね。
あの時の私は未熟者で―…って、それは今もなんだけど…それよりもずっとダメダメだったんだ。
そんなダメダメの私に皆は期待してくれてた。
…皆が私に期待してる。
私は大召喚士ブラスカの令嬢。
令嬢でなければならない。
…いつか君に、皆に尊敬されている父を誇りに思ってるって話したことあったよね?
それはね、嘘なんかじゃないんだよ。それも私の本心。
でも、やっぱり重荷に感じていた事も…それも私の本心。
17歳のユウナと大召喚士ブラスカの娘の私。
どっちも本当の自分なのにそのギャップで知らず知らずのうちに心はすり減っていて―…
おかしな話だよね?
だって、私は召喚士になったら旅をしなければならないのに。
その旅の終わりには―…私は、この世界とさよならをしなければいけないのに。
それなのにそんな事で真剣に悩んでたんだよ?
そんな私を…君はユウナに戻してくれた。
君が隣にいるとね、私は大召喚士の娘じゃなくて17歳のユウナでいられたの。
日溜まりのような君のぴかぴかの笑顔。
その笑顔を見ているだけで肩の力がふっ…と抜けて、ああ…幸せなんだなって心の底から思えたの。
最初は、その幸せを認めるのが怖かった。
君と私の距離。
近くなればなるほど
君を知れば知るほど
…別れが辛くなるって分かってたから。
だから、幸せな気持ちに蓋をしようと思った。
だけど…ダメだった。
蓋をしても幸せな気持ちは洪水のように溢れ出して、私の心をお日様の光で満たしていった。
だからね、私―…
規則正しい潮騒の音が、私の鼓膜を優しく揺する。
眩しいくらい輝いていたお日様の姿は今はなくて、その代わりに空には淡い白い月が浮かんでいて…水面にどこまでも続く光の橋を架けていた。
そんな静かな夜の海を、私が投げた白い紙飛行機が渡っていく。
勿論、そんなに遠くまで飛ぶわけがないからすぐに波の間に落ちて…紙飛行機は海へと溶けていった。
溶ける紙飛行機を最後まで見届けて、私は海に背を向ける。
何度も何度も泣いた。
何度も何度も後悔した。
何度も何度も自分を…
君を…
運命を責めた。
その気持ち。それは今でも変わらない。
でも、私、進もうと思うの。
ねえ、あなたは今どこにいますか?
笑っていますか?幸せですか?
…私は幸せじゃありません。
だから、私、幸せになろうと思います。
思い出なんかにしない。
夢を夢で終わらせてなんかやらない。
―…青くてもいい!大人ぶって格好つけてさ!言いたいことも言えないなんてそんなの嫌だッ!!俺、この青さはなくさない!!…―
いつか、君はそう言ったよね?だから、私もあがくの。
たとえ、世界中の皆が笑ったとしても構わない。
青臭いと罵られても構わない。
風のように…水のように…希望は擦り抜けていくかもしれない。
掴むものは希望ではなく絶望かもしれない。
だけど、手を伸ばしてもがき続けるって…そう決めた。
いつもそばで笑っていたいから。
君のすぐそばで。
君と手を繋いで歩いた道をもう一度辿って、君を迎えに行くんだ。
“おかえりなさい”
その一言を伝えるために。
Fin