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えっ?あの子がちゃんと帰ってくるか心配だって?
それなら大丈夫よ。
なぜって?
ふふ…あなただって分かってるくせに。
だって…
《Mother》
もしもし――…あっ、あなた?お仕事はどうかしら?
ちゃんとご飯食べてる?
えっ?こっちは変わりないかって?
ええ、変わらないわよ。
トレーシーは相変わらずちょっとおませさんだし、チビは相変わらずよく食べるし、よくお昼寝するし…
…ただ、うちのわんぱく君がいなくなっちゃって、泥んこや汗でぐちゃぐちゃのズボンやTシャツを洗わなくてよくなった分、お洗濯は楽になったわね。
それからあの子が好きなオムライスを作る回数が減っちゃったかしら。
ん?この前、あの子と電話で話した時、声がおかしかったの?
夏風邪でも引いちゃったのかしら…?
ほら、あの子、小さい頃、よく夜中に熱を出していたじゃない?
お友達のみんなも大丈夫だといいのだけれど…
――…ねえ、あなた、覚えてる?
あの子が学校にあがった時…
あの子が初めて自分の足で歩いた時…
あの子が初めて私達の事を呼んだ時…
そして…
―…あの子に初めて会ったあの日のこと…
どうして急にこんな事を言うのかって?
今日、たまたまトレーシーと一緒に家の中をお掃除していたら昔のアルバムを見つけて…
それでつい懐かしくなっちゃったのよ。
ふふ…やっぱり、若い時のあなたハンサムだったわ。
だから、少し痩せる努力をしなきゃね?
…コラッ!そんな甘ったれた事言わないの!
どう考えてもここ数年で、あなたのお腹ぽよんぽよんになりかけてるでしょう!
ズボンのサイズが一つ大きくなってるの、私、知ってるんだから!
このままぽよんぽよんにしてたら、トレーシーに『パパ、太ってるから嫌いッ!!』って、言われちゃうわよ?
…ほら、嫌でしょ?
だから、二人で頑張らなきゃね?パパ。
“二人で頑張ろう”…か。
…あの日はあなたが同じ事を言っていたわね。
私は病院のベットの上でそれを聞いていて…
ベットの側にはお医者さんと看護婦さんと…
目尻をだらしなくダラーーンと垂らしたあなたと…
騒ぎ疲れて寝てるあの子がいたっけ…
…本当はね、あの日、すごく不安だったの。
初めて赤ちゃんを産む日で緊張していたのも、体が痛くて痛くて仕方がなかったっていうのも勿論あるわ。
…でもね、それ以上にもっと…もっと怖かったことは…
―…この子のお母さんに、私がちゃんとなれるのかって事…
あの子を産んだのは間違いなく君なんだし…それに君は立派なあの子の母親だろうって?
…うん、そうなんだけれど…でも、怖かったのよ。
だって、あの子、あんなに小さいのに…
初めてあの子を抱き締めたあの時…この世界、全部の命のように重たく感じたの。
…後悔してるかって?まさか…!
不安だったけれど…でも、それ以上に…
…嬉しかったんだろう…って?
ふふ…あなた、なんでも知ってるのね?
…私と同じ気持ちだった?あなたも?
じゃあ、私達、おそろいね!
…あの子…今、どんな世界を見ているのかしら?
きっと、あなたとも…勿論私とも違う世界を見ているんでしょうね…
…ええ、今からあの子のお土産話を聞くのが楽しみだわ!
きっと背も伸びてるわよ?
もしかしたら可愛いガールフレンドも出来ていたりして?
…あなたもお仕事、もう少しで一段落するのよね?
もうすぐあの子のお誕生日だもの。あなたも一緒にお祝いしましょうよ!
…え?あの子がちゃんと帰ってくるか心配だって?
それなら大丈夫よ。
なぜって?
ふふ…あなただって分かってるくせに。
だって…
―…あの子は私達自慢の世界一素敵な男の子ですもの…―
fin
それなら大丈夫よ。
なぜって?
ふふ…あなただって分かってるくせに。
だって…
《Mother》
もしもし――…あっ、あなた?お仕事はどうかしら?
ちゃんとご飯食べてる?
えっ?こっちは変わりないかって?
ええ、変わらないわよ。
トレーシーは相変わらずちょっとおませさんだし、チビは相変わらずよく食べるし、よくお昼寝するし…
…ただ、うちのわんぱく君がいなくなっちゃって、泥んこや汗でぐちゃぐちゃのズボンやTシャツを洗わなくてよくなった分、お洗濯は楽になったわね。
それからあの子が好きなオムライスを作る回数が減っちゃったかしら。
ん?この前、あの子と電話で話した時、声がおかしかったの?
夏風邪でも引いちゃったのかしら…?
ほら、あの子、小さい頃、よく夜中に熱を出していたじゃない?
お友達のみんなも大丈夫だといいのだけれど…
――…ねえ、あなた、覚えてる?
あの子が学校にあがった時…
あの子が初めて自分の足で歩いた時…
あの子が初めて私達の事を呼んだ時…
そして…
―…あの子に初めて会ったあの日のこと…
どうして急にこんな事を言うのかって?
今日、たまたまトレーシーと一緒に家の中をお掃除していたら昔のアルバムを見つけて…
それでつい懐かしくなっちゃったのよ。
ふふ…やっぱり、若い時のあなたハンサムだったわ。
だから、少し痩せる努力をしなきゃね?
…コラッ!そんな甘ったれた事言わないの!
どう考えてもここ数年で、あなたのお腹ぽよんぽよんになりかけてるでしょう!
ズボンのサイズが一つ大きくなってるの、私、知ってるんだから!
このままぽよんぽよんにしてたら、トレーシーに『パパ、太ってるから嫌いッ!!』って、言われちゃうわよ?
…ほら、嫌でしょ?
だから、二人で頑張らなきゃね?パパ。
“二人で頑張ろう”…か。
…あの日はあなたが同じ事を言っていたわね。
私は病院のベットの上でそれを聞いていて…
ベットの側にはお医者さんと看護婦さんと…
目尻をだらしなくダラーーンと垂らしたあなたと…
騒ぎ疲れて寝てるあの子がいたっけ…
…本当はね、あの日、すごく不安だったの。
初めて赤ちゃんを産む日で緊張していたのも、体が痛くて痛くて仕方がなかったっていうのも勿論あるわ。
…でもね、それ以上にもっと…もっと怖かったことは…
―…この子のお母さんに、私がちゃんとなれるのかって事…
あの子を産んだのは間違いなく君なんだし…それに君は立派なあの子の母親だろうって?
…うん、そうなんだけれど…でも、怖かったのよ。
だって、あの子、あんなに小さいのに…
初めてあの子を抱き締めたあの時…この世界、全部の命のように重たく感じたの。
…後悔してるかって?まさか…!
不安だったけれど…でも、それ以上に…
…嬉しかったんだろう…って?
ふふ…あなた、なんでも知ってるのね?
…私と同じ気持ちだった?あなたも?
じゃあ、私達、おそろいね!
…あの子…今、どんな世界を見ているのかしら?
きっと、あなたとも…勿論私とも違う世界を見ているんでしょうね…
…ええ、今からあの子のお土産話を聞くのが楽しみだわ!
きっと背も伸びてるわよ?
もしかしたら可愛いガールフレンドも出来ていたりして?
…あなたもお仕事、もう少しで一段落するのよね?
もうすぐあの子のお誕生日だもの。あなたも一緒にお祝いしましょうよ!
…え?あの子がちゃんと帰ってくるか心配だって?
それなら大丈夫よ。
なぜって?
ふふ…あなただって分かってるくせに。
だって…
―…あの子は私達自慢の世界一素敵な男の子ですもの…―
fin