シルヴァラント編(TOS)
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「ねぇ……マナ」
「んー?」
「あのね……私と……友達になってくれないかな……?」
「……高いよ?」
「え……っ?」
「そーだなー……値段は……あたしと無期限でずーっと友達でいること。……さあ、どうする?」
「……うん!!」
見上げた空は、あたしが見たことがない星座がキラキラと煌めいていて、とても綺麗で、ちょっぴり悲しかった……
《Tales of Mana》
「さって、と……」
あたしは天上に向かって大きく手を伸ばした。ロイド達が出ていってから一眠りしたから、もう時刻は夕方が近いはず。その証拠に、窓から見える空は昼間の青から夕方のオレンジへと……少しずつだけどグラデーション掛かっていた。
ちなみにあの後、軽い自己紹介をすませたので、あの時部屋にいた面子の名前は完璧に覚えたと思う!!ん?あれ、そーいやあの紫タイツなんだったっけ……タイツの印象が強すぎて覚えてないよ。
「まあ、タイツはそこら辺に置いといて……いつまでもベッドにいるのは、さすがにタイクツだなー……」
誰に言うわけでもなく一人ごちってみる。部屋に一人なのだから独り言に反応が返って来るわけはない。……と思ったらキシキシ……と、不意に階段が軋む音が返ってきた。ん?ロイドが帰ってきたのかな?
「……ったく、ロイドのヤロー……まーたドアの立て付け悪くしやがって。帰ってきたらとっとと直すように……おっと?起きたのか、嬢ちゃん?」
へっ……?この人って……?あれ?
「なんでい?そんなにドワーフが珍しー……」
「ワッツ……ワッツじゃん!?……ん?何か違うような?」
「ワッツ?誰でえ?それは。俺の名前はダイクっていうんだ。ロイドの親父をやっとる。……しかし、お前さんドワーフが恐くねえのか?」
「はあ……別に。とりたて珍しくないと思いますけど?」
ドワーフ族は元いた世界ではそこら辺歩いていたのだ。ちなみに、ワッツっていうのは知り合いの頭の中が少し残念なドワーフのことである。
「……変わってんな、お前さん……」
いや、心底珍しいもの見た的な目で見るのやめて下さいよ。
「いえー……そんなこー…」
そんなことはないと彼の言葉を否定しようとした時だった。盛大にあたしの腹の虫が鳴いたのは。
「……」
「……」
「……ッはははは!!気に入ったぜ、嬢ちゃん!俺を恐がらねえどころか堂々と腹の虫鳴らすなんてな!ハハハッ!!」
……これは誉められてるの?喜んでいいのか?
「アッハハハ……」
とりあえず誤魔化すように笑っておくことにした。すんげー乾いた笑みが出てきたよ。
「じきにロイドも帰ってくるだろう。たしか……嬢ちゃんはマナちゃんだったな。ロイドから聞いた。一緒に下に降りて来てくれ。夕食を作らなきゃならん」
……なんか、悪い人じゃないっぽい。まあ、あの単じゅー……じゃなくて純朴な印象を受けるロイドのお父さんだし……悪い人のわけない、か。……と一人で勝手に結論なんぞをつけてみた。
下に降りると、そこは小さな工房のようだった。だけど、木のテーブルといい椅子といい小物といい、ここにあるのもには不思議な優しさって言うか、暖かさがあるような気がする。
「……どうしたんでい?」
「いえ……ドワーフってみんな器用なんだなー……と思いまして」
「ドワーフって……マナちゃん、ドワーフに知り合いがいるのか!?」
ダイクさんが信じられないというように目を丸くしてあたしを見る。
「はい。それがさっきの話に出てきたワッツです。鍛冶の腕が半端ないんですよ」
少し頭の方が鍛冶以外のことに関して弱いけど。と、心の中で付け足しておいた。
「それじゃあ……この槍を作ったのもワッツって奴かい?」
あっ……それあたしの槍だ。ワッツが作ったもなにも
「自分で作りました」
「はぁ!?」
いよいよ信じられないとばかりに目を大きくするダイクさん。目玉飛び出るよ?
「ワッツに鍛冶を教えてもらって、自分で鍛えたんです。こう見えてそれなりに得意なんですよ、鍛冶。ご飯を食べられる程度には」
モンスター倒して素材をひっぺがして作ったものを売ったりしてたから、得意というか生活の生命線なんだけどね。
「得意も何も……これは……俺にでも早々できるもんじゃねぇ。……異世界の鍛冶技術ってのは、どうなってんでえ……」
「ドワーフのワッツに教えてもらったからって言うのも大きいと思いますよ。彼らそれが生業なので」
そんな時だったドンッ!!と、急に勢い有り余る感じ音が鳴り、外に繋がる扉が開いたのは。こーんな蝶番に優しくない開け方をするのは
「お帰り。ロイド、お前、まぁた扉を壊しやがって……」
「お帰りーロイドー」
……やっぱりロイドしかいないよね。
「ただいま、親父!ついでにマナ!あのさー…親父。要の紋作ってくれないか?」
ちょっと待て。ロイドくん?あたしはおまけか?ついでか?って、“要の紋 ”って?なにそれ?
「なんでぇ、いきなり……ちょっと待て。どうして要の紋が必要なんだ?」
ダイクさんがそう問いただした途端、ロイドは急にしどろもどろになった。昼間に会った傭兵……おそらく紫タイツが必要としてたって言ってたけど……ダイクさんが言うには、“エクスフィア”を使うのは“ディザイアン”しかいないから、奪って使っているのなら要の紋が絶対についているはずだ、と。……うん。まるで話が見えてこない。そもそもエクスフィアとディザイアンって何なんだろうか?人の名前や道具の名前だろうか?
ダイクさんが問い詰めるとロイドも観念したのか、昼間“人間牧場”とかいう場所で会った人が要の紋なしのエクスフィアを装備していたから…と白状した。
……人間牧場?……何その胸くそ悪い響き。気が付けば、あたしは自然に顔をしかめていた。
「お前…ディザイアン達にそのエクスフィアを見られなかっただろうな?」
急にダイクさんの声のトーンが少し下がった。明らかに様子がおかしい。
「ああ……でも、どうしてこいつのことをそんなに隠すんだ?今日会った傭兵なんて堂々と装備してたぜ?」
「……それは、そのエクスフィアは……お前の母親の形見だからだ」
ダイクさんの口から出た言葉は、何も知らないあたしにとっても衝撃的だった。ロイドは捨て子だったってこと。ロイドのお母さんは人間牧場にいたこと。ロイドのお母さんは持っていたエクスフィアを狙われてディザイアンに殺されたということ……これ……あたしが聞いちゃってよかったのかな?
「どうして…!どうして黙ってたんだ!?」
ロイドの声が震えてる。……当たり前だよね。でも―……
「お前はそれを知ったら、突っ込んでいくだろう!?いいか、お前はディザイアンに関わるな!母親が命懸けで守ったそのエクスフィアと……何よりお前自身を大切にしろ……」
ダイクさんの言うことも分かるんだよなー……だって、ダイクさんにとってはロイドはたった一人の“息子”だから。息子の身を案じない親はそう多くはないだろう。
「くそッ……!!」
「あっ!ロイド!?」
あたしは慌ててロイドの跡を追った。まぁ、部外者なんだけどさ……ほっとけないというか……条件反射?
「あっ……もしかして、今の聞いてたのか?」
「ごめん……ボクのせいで……」
ロイドを追って外に出ると、そこにはコレット・リフィル・ジーニアス・紫タイツの姿ががあった。
「ねえ、ロイド。コレットと二人で話してらっしゃいな。私達はここにいますから。マナもこっちにいらっしゃい」
「あっ、はーい」
「ロイド、ベランダ行こう?」
「ん?ああ……」
視界の端でロイド達が家の中に入っていくのが見えた。
さて……なんとなーーく居づらいこの空気をどうしてくれよう。ジーニアスは昼間の明るさはなく一目で分かるほど落ち込んでいるようだし、リフィルにいたっては、ため息をついて眉間に手をあててるし……しゃーない。消去法で紫タイツにでも話し掛けるか。何だかんだであの紫タイツとはあまりしゃべっていない。この時間に喋って人となりを知るのも大事だろう。……まあ、所詮暇潰しというやつである。
少しばかりキョロキョロと辺りを見回してみると、ぶっ飛んだ格好をしたあいつはすぐに見つかった。
「あーーっ!!いた!!」
あたしの声に反応してタイツがこっちを振り向く。と、思ったらすぐ目を背けやがった。あんにゃろーーー………
「こらーーッ!!そこのパッツンタイツ!!あからさまに目を逸らすな!!」
と、声をかけてみた。深呼吸を一つした後大声で。
「誰がタイツだ!!」
あなたしかいないでしょ。ここに。ってか反応してんじゃん。自覚あるだろお前。
「んー?そこにいる人以外に誰がいる?………お墓…?」
ゆっくり近づいてみるとそこには小さなお墓があった。墓碑のまわりは色とりどりの綺麗な花で囲まれていて………墓名は……この世界の文字はあたしには読めなかった。
「ああ」
夜風がそっと髪をなぜる。なんでこの人……こんな顔してるんだろ?
「ふーん……まあ、いっか。ああ、そうそう。そんな泣きそうな顔をしてるのを見たら安心して眠れないよ?ここの人。きっと。あたしは向こうに戻るから。コレットも話が終わったみたいだしね」
一瞬びっくりしたように見えたのは、きっと気のせい……じゃないよね。いつもの仏頂面にすぐに戻っちゃったけどさ。もったいないよね、顔はいいのに。タイツだけど。紫色したタイツだけど。
「……何か言ったか?」
「いいえーなんでもございませんー」
適当に手をヒラヒラさせながらタイツのそばを離れる。これ以上はきっとあたしが立ち入っちゃいけないと思ったから。……二人きりの会話を邪魔しちゃ悪いしね。ここに眠る人がこの人にとって大事な人ならばなおさらだ。
「よっ?コレット!話は終わったの?」
「あ……うん。そうだ、マナ。あのね、私達明日の朝早くに出るの。だから、これから私の家に来てもらってもいいかな?その方がここから行くより便利だと思うんだー」
ん?コレット若干暗くない?いや……黒いじゃなくて暗いよ?ここに戻ってきてからどうもみんなの様子や表情に影があるような気がするのは気のせいだろうか?
「うーん……そだねー……」
そんな時だった。あたしのお腹の虫が再び盛大に鳴き出したのは。場の空気が数舜、止まった。
「……夕食が出て、朝食が出るなら行く」
「……もちろん!歓迎するよ~!」
コレットの顔に笑顔が戻る。先程の影はもう見えなくなっていた。そういった意味ではこのお腹の虫はファインプレーをしたのかもしれない。
「じゃあ、ダイクさんに言ってくる!ちょっと待っててーー!!」
ご飯、ご・は・ん!!ってか、お泊りかー……エメロード達とお泊りして以来かも!
「……ねえ、マナ!」
「んー?」
「あのね……私と……お友達になってくれないかな……?」
「……高いよ?」
そう言うと、口角を上げ、あたしは不適に笑った。
「んー?」
「あのね……私と……友達になってくれないかな……?」
「……高いよ?」
「え……っ?」
「そーだなー……値段は……あたしと無期限でずーっと友達でいること。……さあ、どうする?」
「……うん!!」
見上げた空は、あたしが見たことがない星座がキラキラと煌めいていて、とても綺麗で、ちょっぴり悲しかった……
《Tales of Mana》
「さって、と……」
あたしは天上に向かって大きく手を伸ばした。ロイド達が出ていってから一眠りしたから、もう時刻は夕方が近いはず。その証拠に、窓から見える空は昼間の青から夕方のオレンジへと……少しずつだけどグラデーション掛かっていた。
ちなみにあの後、軽い自己紹介をすませたので、あの時部屋にいた面子の名前は完璧に覚えたと思う!!ん?あれ、そーいやあの紫タイツなんだったっけ……タイツの印象が強すぎて覚えてないよ。
「まあ、タイツはそこら辺に置いといて……いつまでもベッドにいるのは、さすがにタイクツだなー……」
誰に言うわけでもなく一人ごちってみる。部屋に一人なのだから独り言に反応が返って来るわけはない。……と思ったらキシキシ……と、不意に階段が軋む音が返ってきた。ん?ロイドが帰ってきたのかな?
「……ったく、ロイドのヤロー……まーたドアの立て付け悪くしやがって。帰ってきたらとっとと直すように……おっと?起きたのか、嬢ちゃん?」
へっ……?この人って……?あれ?
「なんでい?そんなにドワーフが珍しー……」
「ワッツ……ワッツじゃん!?……ん?何か違うような?」
「ワッツ?誰でえ?それは。俺の名前はダイクっていうんだ。ロイドの親父をやっとる。……しかし、お前さんドワーフが恐くねえのか?」
「はあ……別に。とりたて珍しくないと思いますけど?」
ドワーフ族は元いた世界ではそこら辺歩いていたのだ。ちなみに、ワッツっていうのは知り合いの頭の中が少し残念なドワーフのことである。
「……変わってんな、お前さん……」
いや、心底珍しいもの見た的な目で見るのやめて下さいよ。
「いえー……そんなこー…」
そんなことはないと彼の言葉を否定しようとした時だった。盛大にあたしの腹の虫が鳴いたのは。
「……」
「……」
「……ッはははは!!気に入ったぜ、嬢ちゃん!俺を恐がらねえどころか堂々と腹の虫鳴らすなんてな!ハハハッ!!」
……これは誉められてるの?喜んでいいのか?
「アッハハハ……」
とりあえず誤魔化すように笑っておくことにした。すんげー乾いた笑みが出てきたよ。
「じきにロイドも帰ってくるだろう。たしか……嬢ちゃんはマナちゃんだったな。ロイドから聞いた。一緒に下に降りて来てくれ。夕食を作らなきゃならん」
……なんか、悪い人じゃないっぽい。まあ、あの単じゅー……じゃなくて純朴な印象を受けるロイドのお父さんだし……悪い人のわけない、か。……と一人で勝手に結論なんぞをつけてみた。
下に降りると、そこは小さな工房のようだった。だけど、木のテーブルといい椅子といい小物といい、ここにあるのもには不思議な優しさって言うか、暖かさがあるような気がする。
「……どうしたんでい?」
「いえ……ドワーフってみんな器用なんだなー……と思いまして」
「ドワーフって……マナちゃん、ドワーフに知り合いがいるのか!?」
ダイクさんが信じられないというように目を丸くしてあたしを見る。
「はい。それがさっきの話に出てきたワッツです。鍛冶の腕が半端ないんですよ」
少し頭の方が鍛冶以外のことに関して弱いけど。と、心の中で付け足しておいた。
「それじゃあ……この槍を作ったのもワッツって奴かい?」
あっ……それあたしの槍だ。ワッツが作ったもなにも
「自分で作りました」
「はぁ!?」
いよいよ信じられないとばかりに目を大きくするダイクさん。目玉飛び出るよ?
「ワッツに鍛冶を教えてもらって、自分で鍛えたんです。こう見えてそれなりに得意なんですよ、鍛冶。ご飯を食べられる程度には」
モンスター倒して素材をひっぺがして作ったものを売ったりしてたから、得意というか生活の生命線なんだけどね。
「得意も何も……これは……俺にでも早々できるもんじゃねぇ。……異世界の鍛冶技術ってのは、どうなってんでえ……」
「ドワーフのワッツに教えてもらったからって言うのも大きいと思いますよ。彼らそれが生業なので」
そんな時だったドンッ!!と、急に勢い有り余る感じ音が鳴り、外に繋がる扉が開いたのは。こーんな蝶番に優しくない開け方をするのは
「お帰り。ロイド、お前、まぁた扉を壊しやがって……」
「お帰りーロイドー」
……やっぱりロイドしかいないよね。
「ただいま、親父!ついでにマナ!あのさー…親父。要の紋作ってくれないか?」
ちょっと待て。ロイドくん?あたしはおまけか?ついでか?って、“
「なんでぇ、いきなり……ちょっと待て。どうして要の紋が必要なんだ?」
ダイクさんがそう問いただした途端、ロイドは急にしどろもどろになった。昼間に会った傭兵……おそらく紫タイツが必要としてたって言ってたけど……ダイクさんが言うには、“エクスフィア”を使うのは“ディザイアン”しかいないから、奪って使っているのなら要の紋が絶対についているはずだ、と。……うん。まるで話が見えてこない。そもそもエクスフィアとディザイアンって何なんだろうか?人の名前や道具の名前だろうか?
ダイクさんが問い詰めるとロイドも観念したのか、昼間“人間牧場”とかいう場所で会った人が要の紋なしのエクスフィアを装備していたから…と白状した。
……人間牧場?……何その胸くそ悪い響き。気が付けば、あたしは自然に顔をしかめていた。
「お前…ディザイアン達にそのエクスフィアを見られなかっただろうな?」
急にダイクさんの声のトーンが少し下がった。明らかに様子がおかしい。
「ああ……でも、どうしてこいつのことをそんなに隠すんだ?今日会った傭兵なんて堂々と装備してたぜ?」
「……それは、そのエクスフィアは……お前の母親の形見だからだ」
ダイクさんの口から出た言葉は、何も知らないあたしにとっても衝撃的だった。ロイドは捨て子だったってこと。ロイドのお母さんは人間牧場にいたこと。ロイドのお母さんは持っていたエクスフィアを狙われてディザイアンに殺されたということ……これ……あたしが聞いちゃってよかったのかな?
「どうして…!どうして黙ってたんだ!?」
ロイドの声が震えてる。……当たり前だよね。でも―……
「お前はそれを知ったら、突っ込んでいくだろう!?いいか、お前はディザイアンに関わるな!母親が命懸けで守ったそのエクスフィアと……何よりお前自身を大切にしろ……」
ダイクさんの言うことも分かるんだよなー……だって、ダイクさんにとってはロイドはたった一人の“息子”だから。息子の身を案じない親はそう多くはないだろう。
「くそッ……!!」
「あっ!ロイド!?」
あたしは慌ててロイドの跡を追った。まぁ、部外者なんだけどさ……ほっとけないというか……条件反射?
「あっ……もしかして、今の聞いてたのか?」
「ごめん……ボクのせいで……」
ロイドを追って外に出ると、そこにはコレット・リフィル・ジーニアス・紫タイツの姿ががあった。
「ねえ、ロイド。コレットと二人で話してらっしゃいな。私達はここにいますから。マナもこっちにいらっしゃい」
「あっ、はーい」
「ロイド、ベランダ行こう?」
「ん?ああ……」
視界の端でロイド達が家の中に入っていくのが見えた。
さて……なんとなーーく居づらいこの空気をどうしてくれよう。ジーニアスは昼間の明るさはなく一目で分かるほど落ち込んでいるようだし、リフィルにいたっては、ため息をついて眉間に手をあててるし……しゃーない。消去法で紫タイツにでも話し掛けるか。何だかんだであの紫タイツとはあまりしゃべっていない。この時間に喋って人となりを知るのも大事だろう。……まあ、所詮暇潰しというやつである。
少しばかりキョロキョロと辺りを見回してみると、ぶっ飛んだ格好をしたあいつはすぐに見つかった。
「あーーっ!!いた!!」
あたしの声に反応してタイツがこっちを振り向く。と、思ったらすぐ目を背けやがった。あんにゃろーーー………
「こらーーッ!!そこのパッツンタイツ!!あからさまに目を逸らすな!!」
と、声をかけてみた。深呼吸を一つした後大声で。
「誰がタイツだ!!」
あなたしかいないでしょ。ここに。ってか反応してんじゃん。自覚あるだろお前。
「んー?そこにいる人以外に誰がいる?………お墓…?」
ゆっくり近づいてみるとそこには小さなお墓があった。墓碑のまわりは色とりどりの綺麗な花で囲まれていて………墓名は……この世界の文字はあたしには読めなかった。
「ああ」
夜風がそっと髪をなぜる。なんでこの人……こんな顔してるんだろ?
「ふーん……まあ、いっか。ああ、そうそう。そんな泣きそうな顔をしてるのを見たら安心して眠れないよ?ここの人。きっと。あたしは向こうに戻るから。コレットも話が終わったみたいだしね」
一瞬びっくりしたように見えたのは、きっと気のせい……じゃないよね。いつもの仏頂面にすぐに戻っちゃったけどさ。もったいないよね、顔はいいのに。タイツだけど。紫色したタイツだけど。
「……何か言ったか?」
「いいえーなんでもございませんー」
適当に手をヒラヒラさせながらタイツのそばを離れる。これ以上はきっとあたしが立ち入っちゃいけないと思ったから。……二人きりの会話を邪魔しちゃ悪いしね。ここに眠る人がこの人にとって大事な人ならばなおさらだ。
「よっ?コレット!話は終わったの?」
「あ……うん。そうだ、マナ。あのね、私達明日の朝早くに出るの。だから、これから私の家に来てもらってもいいかな?その方がここから行くより便利だと思うんだー」
ん?コレット若干暗くない?いや……黒いじゃなくて暗いよ?ここに戻ってきてからどうもみんなの様子や表情に影があるような気がするのは気のせいだろうか?
「うーん……そだねー……」
そんな時だった。あたしのお腹の虫が再び盛大に鳴き出したのは。場の空気が数舜、止まった。
「……夕食が出て、朝食が出るなら行く」
「……もちろん!歓迎するよ~!」
コレットの顔に笑顔が戻る。先程の影はもう見えなくなっていた。そういった意味ではこのお腹の虫はファインプレーをしたのかもしれない。
「じゃあ、ダイクさんに言ってくる!ちょっと待っててーー!!」
ご飯、ご・は・ん!!ってか、お泊りかー……エメロード達とお泊りして以来かも!
「……ねえ、マナ!」
「んー?」
「あのね……私と……お友達になってくれないかな……?」
「……高いよ?」
そう言うと、口角を上げ、あたしは不適に笑った。