出会い
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「………しまった、ここ、どこだ?」
知らない島の海岸にたどり着いた少女。
彼女の名前は『リュウゼツ・チロリ』
150cmも無い小柄な身長に黒い瞳。
ミルクティー色の中から少しピンク色が見える髪はウルフカット。右耳にはシンプルな細長いシルバーのピアスを1つ付けている。
刀を1本腰に差し、太めの黒いロングパンツと首まである白い長袖の白いシャツが彼女の白い色素に合っている。
黒いブーツは身長を少しでも大きく見せるために厚底を履いている。
そんな彼女は知らない島の海岸でゾロと一緒に乗っていた小船から降りて立ち尽くしていた。
(小船で寝てたらいつのまにか海に出ちゃってたのか…)
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何時間か前
「チロリ、ちょっくら食料買ってきてやるよ」
「ありがとう、迷子にならないようにね」
「誰がなるか!」
「じゃあ私はいい天気だし寝るかぁ…zzZ」
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「やばい、そこから覚えてないな」
チロリはどうせ迷子になって帰ってくるのに時間がかかるゾロをのんびり待とうと昼寝をしていたら船が進んでしまっていたらしい。
「あの島にゾロ置いてきちゃったな…戻らないと」
ぐうぅぅ〜〜〜…
「おなかすいた…あっだめだ」
バタッ
空腹に耐えられなかったチロリは歩けず倒れた。
「…!ママ!!誰か倒れてるよ!」
「ちょっ、あんた!大丈夫かい!?」
「は、はらへっ…た…」
チロリはそこで意識が途絶えた。
ザワザワ
「…ん」
賑やかな人の声…
「あ!ママー!起きたー!!」
「あら、目ェ覚めたかい!」
男の子とその母親がチロリが起きたことに気づいて顔を向けた。
「ここは…」
「あんた海岸で倒れてたんだよ!」
ぐぅ〜〜〜〜…
「あ」
「はははっ!お腹減っただろう?私たちも丁度夕飯にしようと思ってたのよ、ほら」
そう言うと母親はおにぎりと卵焼きと味噌汁を出してくれた。
「かたじけない…」
チロリは暖かい気持ちになり、心からお礼を言う。
かきこむように食べ終え、とても旨かったと母親に伝えると彼女は嬉しそうに笑った。
「ここはね、ペンデンス島」
「ペンデンス島?モグモグ」
食後にさくらんぼを貰いながらチロリは聞き返す。
「あたしはバナコ、あと息子のリツジだよ」
「よろしくねーちゃん!」
「私はチロリだ、どうやら相方を前の島に置いてきてしまったみたいなんだ」
「「え?」」
チロリは起きたことを2人に話した。
「あはは!流された船で良く生きてたねぇ!」
「いや、バナコさんたちのお陰です。あのまま行き倒れでしたよ」
お礼を言いながらリツジの頭を撫でるチロリ。すると、低い音が鳴り響く。
ゴーーーーン
ゴーーーーン
「?」
「あぁ、夜の鐘の音だね」
バナコはリツジに「行くよ」と伝えると2人は玄関から外に出る。チロリはついて行き、一緒に外に出た。
ザワザワ
外へ出ると他の島民たちも島の中央で集まっている。
陽が沈み始めた夕方の空だ。
「おやすみ!ママ!」
「うん、おやすみ」
そう話すとリツジは紐を跨いで向こう側へ行ってしまう。
よく見ると高さは低いが木の杭が打ちつけられて、間が紐で繋がってる"境界線"のようなものがある。
「うわーーーん、やだ〜〜ママ〜パパ〜」
「ははっ明日の朝会えるからがんばってね」
「また明日!おやすみ!」
「夜更かししないでね、おやすみなさい」
島民は親子で挨拶し、子供たちは境界線の向こう側へ行ってしまう。
「???」
「この島の風習だよ、お嬢さん」
チロリが不思議がっていると白髪の男が話しかけてきた。
「風習…」
「そう、この島は夜になると子供たちは各自で過ごすんだ。島の半分から向こうでね。
"子供の森"って感じかな向こう側は」
「なんでそんなことするんだ?」
「"自立させる為"かな。5歳になると夜は向こうに、16歳になるとこっちで暮らせるようになる。
親のありがたみが分かるから、しっかりした子が増えるんだよね」
「ほぉ…いろんなやり方があるんだな」
チロリが男と話しているとバナコが戻ってきた。
「あら町長さん、こんばんは〜」
「あ、町長さんなのか」
「バナコ、この子が昼間言っていた子か」
「そうよ!あ、チロリ!さっきのさくらんぼは町長さんが育てたやつなのよ」
「あれか!!旨かったです!!ありがとう!」
先ほど食後に貰っていたさくらんぼの事かと気づいたチロリは警戒心を解いて笑顔でお礼を言った。町長も笑顔で「いいんだよ」と答えた。
「これは毎日やってんのか?」
「そうだね、さっき言ったみたいに自立したしっかりした子を育てるために嵐の日だろうと"子供の森"に行ってもらう。」
「私たち大人は夜はこの柵を越えれないルールになってるの。
いくら心配でも向こう側へ行けない親も辛いのよ」
チロリは互いに過酷なことしてるなと思いながら島の風習を聞く。
お風呂や夕飯も実家で済ます日もあれば子供の森で自分たちでやらせる日もあるのだと町長は教えてくれる。
「だから島の"こっち側"だけ栄えているのか」
「よく気づいたねお嬢さん、その通りだよ」
島を見渡すと子供の森は自然に溢れていて境界線からこっちは店や施設がたくさんあり、よく栄えている。
「しっかりした子が育つって言い方をしたけど、強い子や賢い子も育ちやすくてね。
それがこの島が発展したきっかけだと聞いてみんな守っているんだよ」
町長たちは丁寧に説明をしてくれ人柄の良さがよく分かる。
「さて、私たちもそろそろ寝る準備しようかね!私の家にまた行きましょうか!」
「そうだね、僕も帰ろうかな」
たしかに先ほどまであった太陽が沈み、夜になっていた。
各々家に帰ろうと話し始めた大人2人だが、
「私はここで寝る」
「「え?」」
そう言うとチロリはドカッと座って柵の木の杭にもたれて眠り始めた。
「「えぇー…」」
少女のよく分からない行動に大人2人は驚いた声を出した。
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