東の海
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クーッ
クーッ
「着きやしたっ!!!海上レストラン!!」
「ゾロの兄貴!チロリのアネゴ!ルフィの兄貴!ウソップの兄貴!ナミの兄貴!」
船の航路を海上レストランへ向けてから3日後に無事レストランが見えてきた。ヨサクとジョニーは自分たちが役に立てた事が嬉しく大声でみんなに知らせる。
その声に気づいた5人は船の進行方向を見るため船首に集まった。「なんで私がアニキなのよ…」とナミは少し怒りながら立ち上がる。
どん!
「どーっすか!みなさんっ!!!」
「でっけー魚っ!!」
「うわーーっ」
「ファンキーだなおい!!」
「デザインいいなァ。な、ゾロ」
「…あァ」
『海上レストランバラティエ』その船は海を漂いながらレストランを経営する人気のスポットだ。魚の形の船首とヒレがついていて見た目が可愛い。少し怒っていたナミも顔が明るくなっていた。
その可愛らしいデザインにチロリはゾロへ声をかけるが彼は少し遅れた返事をする。きっと"鷹の目"の事を気にしているのだろう。
情報が何かしら手に入るといいな…とチロリは遠くを見るゾロの横顔を眺めながら思っていた。
「「思い知れ海軍のヒヨッコがァ!!」」
「??」
ゾロの横顔を見ていたチロリはヨサクとジョニーが叫んだところで我に返った。ゾロが顔を向けている方を見ると海軍の船がメリー号の隣に停まっている。その船の甲板にいる海軍本部大尉『鉄拳のフルボディ』にヨサクとジョニーが攻撃を仕掛けていた。
「「か…か…紙一重か…」」
が、2人は瞬殺でフルボディの拳にやられてしまった。殴られボコボコになった顔で倒れている。
「お前らやっぱすげェ弱いんじゃねェのか?」
「い…いやなかなかやるぜ、あいつ」
「さすがのおれ達も紙一重だ…」
ルフィはつい疑問になってしまい2人に聞いたがヨサクもジョニーも倒れながら口癖の紙一重を言うだけだった。
「何やってんだよお前ら」
「お前らこんなのばっかだな…」
そんな2人に呆れ気味でゾロとチロリは倒れた彼等を見ながら言う。
ぱら…
「ジョニー、これなに?」
「賞金首のリストだな」
ジョニーが倒れたことで紙がぱらぱらと舞った。それをナミが気づき拾いながら問うと、同じように紙を拾って集めてあげようとしていたチロリが答えた。
「そうなんすよナミの姉貴、ボロい商売でしょ?そいつらブッ殺しゃその額の金が手に入るんす、それがどうかしました?」
それを聞いてたナミは持っていた手配書をクシャ…と握りしめて俯いていた。
「ナミ…?」
ナミの向かいにいたチロリにはナミの表情が見えないがその様子を不思議に思い彼女に触れようと手を伸ばした。
「おいやべェぞ!!!あの野郎大砲でこっち狙ってやがる!!!」
「えっ!」
「何ィ!?」
が、先程出発した海軍の船が大砲をこちらに向けてきていた。それに気づいたウソップが大声で言う。
ドウン…!!!
「撃ちやがったァ〜〜〜〜っ!!!」
「見逃してくれたんじゃないのかよ!?」
ヒューーーー…
「ん、大砲?……大砲…大砲…」
大砲は放たれ、ウソップとヨサクとジョニーは涙目で叫ぶ。
そんな中チロリはこんな光景前にもあったな…と記憶を遡っていた。
(たしか…バギーに撃たれて…)
「ン任せろっ!!!」
「おいルフィ何やってんだ!!?」
「あっ!そっか!!」
ルフィが船首の柵に立ち上がり大きく息を吸った。任せろと言われたが意味がわからないウソップは彼へ声をかける。
そのルフィの姿を見てチロリはピンときた。バギー玉が撃たれたときも同じように膨らんで跳ね返し、返り討ちにした事を。
「ゴムゴムの…風船っ!!!」
ドスッ
膨らんだルフィはお腹で大砲の玉を受ける。
「「「なぬーーーーー!!!」」」
「なにっ…!!?」
その光景にフルボディ、ウソップとヨサクとジョニーは驚き、目を見開く。
やっぱりそうだ。
あの時のように跳ね返して返り討ちしてくれる。
「返すぞ砲弾っ!!!」
びよーーん!!
チロリは笑顔で期待を込めた目で船長を見つめた。
ルフィは砲弾をゴムの反動で飛ばす。
ドゴーーーン!!!
「どこに返してんだバカッ!!!」
ルフィの返した砲弾は海上レストランバラティエの2階に命中してしまった。海軍船は無事である。それをゾロはつい大声でツッコミをいれた。
「………」
「………」
「…」
バタッ…
「はぁ…」
周囲がその状況をやってしまったと思い白目をむいたまま静かになる。その中で冷静だったナミのため息だけ響いた。
張本人のルフィは涙を流し、そのまま倒れてゆくのだった。
クーッ
クーッ
「ルフィ帰ってこないな…」
「雑用でもさせられてんじゃねェのか、1ヶ月くらい」
あの後ルフィは謝りに行くとバラティエへ1人で向かって行った。一行はメリー号をバラティエの横に停め、彼の帰りを待っていたが戻ってこない。心配になったチロリがレストランのほうを見ながら呟くと寝転んでいるゾロが答えた。
「海軍のせいにしちゃえばよかったのに…バカ正直なんだから」
「ルフィは嘘つけなさそうだよな」
ナミも心配しているようで「んもう」と彼の文句を言いながら座っている。
「見に行くか!メシ食いがてら!!」
「メシ…!」
ウソップがそう言うとチロリは反応する。
「な!チロリ!」
「そうだな!ルフィの事心配だし見に行こう!メシ食いがてらルフィを!!」
「逆だバカ」
「メシが主役になっちゃったわ、本当に心配してんのかしら…」
メシのひと言に反応したチロリを味方にウソップが提案する。先程までルフィを心配していたチロリは目的がメシになってしまいナミとゾロがツッコミをした。
「いらっしゃいませ、何枚様ですか?」
「4人よ」
「ではこちらへご案内します」
ヨサクとジョニーはフルボディに負わされた怪我があるため船で大人しくさせ、4人でバラティエへやって来た。
内装もとても可愛い雰囲気の作りになっているレストランだとチロリは色んな物が気になりきょろきょろする。
「中も綺麗なんだな」
「チロリ、こういうときは海の戦士たるもの堂々とするんだよ」
「そうか堂々とだな」
「そ…そうだ!」
席に着いたあとも物珍しそうに周りを見ているチロリにウソップはドヤ顔で教え彼女も大人しくなった。本当はウソップも内装を見渡したいのだが、彼女へかっこいい事を言ってしまった手前そんな事はできずソワソワするのだった。
「げっ!!お前ら!!」
聞き覚えのある声がしてテーブルの横を見ると腰から下のエプロンをつけたルフィが4人を見つけて立っていた。
「よっ雑用」
「1年も働くんだってなァ」
「お皿割っちゃだめだぞ」
「船の旗描き直していいか?」
さっき料理を運んできてくれたコックが1年雑用する事を教えてくれ、ナミ、ウソップ、チロリ、ゾロの順番でルフィを揶揄う。
「お前らおれをさしおいて、こんなうまいモン食うとはひでェじゃねェか!!」
「うまいモンって知ってるって事はつまみ食いしてるなこいつ」
むきーっとだいぶ片付いたテーブルのお皿を見てルフィが怒る。それを言われたチロリは抜かりないなと彼を感心して呟いた。
「別におれたちの勝手だよな」
ポチャン
「ぶっ…ああ、まあなw」
「そ、うだな…ww」
ゾロが左隣にいるウソップとチロリのほうを向きながらそう言うと2人は笑いを堪えながら答える。
原因はゾロの背後で彼の水に「くらえ」とルフィが鼻くそを入れていたからである。
「まァでも確かにここの料理はうめェよ、お前にゃ悪ィと思ってるが…」
すぅ…っとゾロが鼻くそ入りのコップを手に取り口へ運びながら話している。
あれを飲んでしまうのかという期待が2人は高まった。その光景を見ていたナミもくすくす隠れて笑う。
「これはてめェが飲め!!!」
ガボガボガボ!
「うぶっ!!!!」
ゴクン!
「だははははwww」
「腹いてー!!!ww」
「あははははwww」
ゾロは気づいていたようでルフィの口にコップを無理やり押し付けた。反動でルフィは鼻くそ入りの水を飲んでしまいその場に倒れおえ〜っと叫ぶ。3人はついに笑いを堪えられなくなりテーブルをバンバン叩きながら大笑いしていた。
どーーーん
「ああ海よ今日という日の出逢いにありがとう
ああ恋よ♡この苦しみにたえきれぬ僕を笑うがいい!」
突然ルフィの背後から金髪の黒いスーツを着た男がナミとチロリへ向けて手を広げてやって来て言う。
「僕は君達となら海賊にでも悪魔にでも成り下がれる覚悟が今できた♡
しかしなんという悲劇が!!僕らにはあまりに大きな衝撃が!!」
「「「?」」」
目を♡ にしながらそう言うのはバラティエの副料理長『サンジ』金髪から右目だけ見えており眉尻はぐるぐると渦を巻いている。
サンジの言っている意味がわからずルフィとゾロとチロリは首を傾げていた。
「障害ってのァおれのことだろうサンジ」
「うっクソジジイ!!」
さらに背後の椅子にもたれかかった男がサンジへ声をかけた。彼はバラティエの料理長『ゼフ』彼は右脚が義足で金髪の長い髭を生やしてムッとした顔をしている。
ゼフに言われたサンジは驚いて振り返った。
「いい機会だ、海賊になっちまえ
お前はもうこの店には要らねェよ」
「!!…おいクソジジイ、おれはここの副料理長だぞ。おれがこの店に要らねェとはどういうこった!!」
ゼフの言葉に冷静に怒るサンジ。
(そういえば海のコックを探しにこのレストランに来たんだよな)
チロリはゼフとサンジのやりとりを見ながら本来の目的を思い出す。
彼は身体つきからして戦闘も出来そうだ。戦えるなら海賊コックとしてありがたい。武器は使うのだろうか、だとしたら剣ではないと思う。体術かな。…にしても強そうでいいな。
彼女が考えている間にサンジは「女にだらしない」や「ろくな料理も作れない」や「他のコックから煙たがられてる」とゼフから言われている。
「なんだと、聞いてりゃ言いてえこと言ってくれんじゃねェかクソジジイ!!
てめェが何を言おうとおれはここでコックをやるんだ!!文句は言わせねェ!!!」
がばっ!とサンジはゼフの胸ぐらを掴みながら反論をした。
「料理長 の胸ぐらをつかむとは何事だボケナス!!!」
「うわ!!!」
「おっと」ヒョイッ
ガシャアン!!
ゼフがサンジを私たちのテーブルへ背負い投げをしてくる。慌てて私たちはテーブルの残っている料理をそれぞれ持ち上げるが、一皿だけ持てなさそうだったのでゾロの頭に乗せておいた。にしても隻脚なのにあのおっさん強いな。
「……っキショォ」
「フン」
倒れたテーブルに座りながらサンジが呟くとゼフは見下しながら言い、その場を去ろうと歩き出した。
「てめェがおれを追い出そうとしてもな!!!おれはこの店でずっとコックを続けるぞ!!!
てめェが死ぬまでな!!!」
「おれは死なん、あと100年生きる」
ゼフの背中に胸に拳を当て決意を固く言うサンジに彼はスタスタと歩きながら呟くだけだった。
「あーよかった許しが出たな、これで海賊に…」
「なるか!!」
ルフィが呑気にサンジへ言ったがすぐ断られてしまった。やっぱりルフィもう誘ってたんだな。でも本人がこの店から出たくないのなら無理は言えない。
だがゼフは追い出したいようでその行為に何故だか愛情を感じた。
「さき程は失礼、おわびにフルーツのマチェドニアを召し上がれ。食後にはグラン・マニエをどうぞ、お姫様」
「わあっありがとう」
チロリたちが座っていたテーブルはめちゃくちゃになってしまったので別のテーブルへ移動した。ナミの背中から包むようにサンジが左手にデザートと右手にお酒を注いでいる。ナミはその可愛らしいデザートに両手を合わせて喜んでいた。
スッ
「こちらのお姫様はデニッシュペストリーをこちらのシロップをかけてお召し上がりください、食後には…」
「!」
(は、速い…!さっきまでナミの背後にいたのにもう私へデザートを持ってきている)
ただの軟派気質でレディに対して俊敏なのだが、先程のどう戦うのか気になっていたところやサンジの今の身のこなしにチロリは強者の感じがするとすぐ彼へ興味を示し始める。そのためサンジを顔を話も聞かずにじーっと見つめてしまっていた。
「お姫様、おれの顔に何かついてるかい?」
「あっいや、すまない…」
サンジは思わず自分を見て固まっているチロリへ声をかけた。すると彼女は他人の顔をジロジロ見るなんてと申し訳なさそうな顔をした。
「ってそのお姫様って私のこと?」
「?そうだよレディ」
チロリはサンジの答えに目を丸くすると、そのあと眉間に皺を寄せて分からないというような顔をした。
「たしかにナミは可愛いからお姫様だけど…私は違うと思う」
「何言ってるんだレディ!」
彼女の言葉を聞いたサンジはパシッとチロリの手を取りながら大きな声で否定する。
「ミルクティーの明るい髪色に負けないくらいの明るい肌に丸みのある素敵な瞳!ピンク色の頬もキュートだ!」
「えっと…」
「なにより、剣を持つために鍛えられた腕も素敵だ。この小さな手で剣を握って戦う姿が見てみたいよ!」
「!
……ありがとう//」
「……」
自分が頑張っている事が魅力だと言ってくれた嬉しさとサンジが褒めるのがうまいのもあり、チロリ頬を赤らめながらデザートを食べ始めた。「ではごゆっくり」と笑顔のサンジは彼女の手から離れた。
その様子を隣にいたゾロは眉間に皺を寄せて睨むような目で見ている。
「昨日も思ったけどチロリって初心ね」
向かいの席から面白いくらい分かりやすいゾロをフォローするためにナミは声をかけた。このままだとチロリが彼から怒られそうだと思ったからだ。ゾロは右頬をつきながら怒っているような素っ気ない態度で彼女へ声をかける。
「お前、何赤くなってんだよ」
「いや…その…お世辞って分かってるけどあんなの言って貰える事なんてないから照れるよ//私可愛くないし…」
そう、彼女は自分が可愛くないと思っている。昔から道場で男に囲まれて汗臭く生きてきたチロリはくいな以外女友達もおらず、ナミのようなきらきらで可愛い女の子にはなれなかった。しかも男たち顔負けの強さをしていた為、女の子扱いをされることに慣れておらず照れてしまうのだ。
「は?何言ってんだよ」
突然ゾロが反論してきた。何に対してだ?と思ったチロリが彼を見ると
「チロリは昔から可愛いだろ」
「え…」
今何て言った?
かわいい??
可愛い…?
かわっっっ……!?
ボンッ
「!?!!?!??!!?/////////」
チロリは一瞬何を言われたのか理解ができず時が止まっていたが、解ると先程と違い頭全てを赤くして湯気が出ていた。
かわいいって…可愛いって事だよな、私の事が?
ゾロの目は正常か??いやでも…昔からって…いつからだ?
え、本気か?いつもと同じで揶揄われてるんじゃ……
あ、ゾロの顔嘘ついてない…
「だからあんなのでいちいち照れてんなよ」
「え、えっと、うんと、あ…ハイ…」
茹でたみたいに赤くなったチロリが頷くと満足したゾロは口角を上げる。「食わねェのか?それ」と彼が聞くと思い出したかのようにチロリは真っ赤な顔のままデザートを食べ始めた。
「これでお互い自覚が無いのよね、何でなのよ…」
「チロリ顔真っ赤だけどどうしたんだ?」
「コラ、これは私のデザートよルフィ」
ゾロは嫉妬だし、チロリもサンジに言われるよりゾロに言われたほうが明らかにリアクション違うじゃないと一部始終を見ていたナミは思う。彼女のデザートを狙いに来たルフィも不思議そうにふたりを見ていた。
「口の周り汚れてんぞ」ごしごし
「ン、アリガトウ…」
「ん」
クーッ
「着きやしたっ!!!海上レストラン!!」
「ゾロの兄貴!チロリのアネゴ!ルフィの兄貴!ウソップの兄貴!ナミの兄貴!」
船の航路を海上レストランへ向けてから3日後に無事レストランが見えてきた。ヨサクとジョニーは自分たちが役に立てた事が嬉しく大声でみんなに知らせる。
その声に気づいた5人は船の進行方向を見るため船首に集まった。「なんで私がアニキなのよ…」とナミは少し怒りながら立ち上がる。
どん!
「どーっすか!みなさんっ!!!」
「でっけー魚っ!!」
「うわーーっ」
「ファンキーだなおい!!」
「デザインいいなァ。な、ゾロ」
「…あァ」
『海上レストランバラティエ』その船は海を漂いながらレストランを経営する人気のスポットだ。魚の形の船首とヒレがついていて見た目が可愛い。少し怒っていたナミも顔が明るくなっていた。
その可愛らしいデザインにチロリはゾロへ声をかけるが彼は少し遅れた返事をする。きっと"鷹の目"の事を気にしているのだろう。
情報が何かしら手に入るといいな…とチロリは遠くを見るゾロの横顔を眺めながら思っていた。
「「思い知れ海軍のヒヨッコがァ!!」」
「??」
ゾロの横顔を見ていたチロリはヨサクとジョニーが叫んだところで我に返った。ゾロが顔を向けている方を見ると海軍の船がメリー号の隣に停まっている。その船の甲板にいる海軍本部大尉『鉄拳のフルボディ』にヨサクとジョニーが攻撃を仕掛けていた。
「「か…か…紙一重か…」」
が、2人は瞬殺でフルボディの拳にやられてしまった。殴られボコボコになった顔で倒れている。
「お前らやっぱすげェ弱いんじゃねェのか?」
「い…いやなかなかやるぜ、あいつ」
「さすがのおれ達も紙一重だ…」
ルフィはつい疑問になってしまい2人に聞いたがヨサクもジョニーも倒れながら口癖の紙一重を言うだけだった。
「何やってんだよお前ら」
「お前らこんなのばっかだな…」
そんな2人に呆れ気味でゾロとチロリは倒れた彼等を見ながら言う。
ぱら…
「ジョニー、これなに?」
「賞金首のリストだな」
ジョニーが倒れたことで紙がぱらぱらと舞った。それをナミが気づき拾いながら問うと、同じように紙を拾って集めてあげようとしていたチロリが答えた。
「そうなんすよナミの姉貴、ボロい商売でしょ?そいつらブッ殺しゃその額の金が手に入るんす、それがどうかしました?」
それを聞いてたナミは持っていた手配書をクシャ…と握りしめて俯いていた。
「ナミ…?」
ナミの向かいにいたチロリにはナミの表情が見えないがその様子を不思議に思い彼女に触れようと手を伸ばした。
「おいやべェぞ!!!あの野郎大砲でこっち狙ってやがる!!!」
「えっ!」
「何ィ!?」
が、先程出発した海軍の船が大砲をこちらに向けてきていた。それに気づいたウソップが大声で言う。
ドウン…!!!
「撃ちやがったァ〜〜〜〜っ!!!」
「見逃してくれたんじゃないのかよ!?」
ヒューーーー…
「ん、大砲?……大砲…大砲…」
大砲は放たれ、ウソップとヨサクとジョニーは涙目で叫ぶ。
そんな中チロリはこんな光景前にもあったな…と記憶を遡っていた。
(たしか…バギーに撃たれて…)
「ン任せろっ!!!」
「おいルフィ何やってんだ!!?」
「あっ!そっか!!」
ルフィが船首の柵に立ち上がり大きく息を吸った。任せろと言われたが意味がわからないウソップは彼へ声をかける。
そのルフィの姿を見てチロリはピンときた。バギー玉が撃たれたときも同じように膨らんで跳ね返し、返り討ちにした事を。
「ゴムゴムの…風船っ!!!」
ドスッ
膨らんだルフィはお腹で大砲の玉を受ける。
「「「なぬーーーーー!!!」」」
「なにっ…!!?」
その光景にフルボディ、ウソップとヨサクとジョニーは驚き、目を見開く。
やっぱりそうだ。
あの時のように跳ね返して返り討ちしてくれる。
「返すぞ砲弾っ!!!」
びよーーん!!
チロリは笑顔で期待を込めた目で船長を見つめた。
ルフィは砲弾をゴムの反動で飛ばす。
ドゴーーーン!!!
「どこに返してんだバカッ!!!」
ルフィの返した砲弾は海上レストランバラティエの2階に命中してしまった。海軍船は無事である。それをゾロはつい大声でツッコミをいれた。
「………」
「………」
「…」
バタッ…
「はぁ…」
周囲がその状況をやってしまったと思い白目をむいたまま静かになる。その中で冷静だったナミのため息だけ響いた。
張本人のルフィは涙を流し、そのまま倒れてゆくのだった。
クーッ
クーッ
「ルフィ帰ってこないな…」
「雑用でもさせられてんじゃねェのか、1ヶ月くらい」
あの後ルフィは謝りに行くとバラティエへ1人で向かって行った。一行はメリー号をバラティエの横に停め、彼の帰りを待っていたが戻ってこない。心配になったチロリがレストランのほうを見ながら呟くと寝転んでいるゾロが答えた。
「海軍のせいにしちゃえばよかったのに…バカ正直なんだから」
「ルフィは嘘つけなさそうだよな」
ナミも心配しているようで「んもう」と彼の文句を言いながら座っている。
「見に行くか!メシ食いがてら!!」
「メシ…!」
ウソップがそう言うとチロリは反応する。
「な!チロリ!」
「そうだな!ルフィの事心配だし見に行こう!メシ食いがてらルフィを!!」
「逆だバカ」
「メシが主役になっちゃったわ、本当に心配してんのかしら…」
メシのひと言に反応したチロリを味方にウソップが提案する。先程までルフィを心配していたチロリは目的がメシになってしまいナミとゾロがツッコミをした。
「いらっしゃいませ、何枚様ですか?」
「4人よ」
「ではこちらへご案内します」
ヨサクとジョニーはフルボディに負わされた怪我があるため船で大人しくさせ、4人でバラティエへやって来た。
内装もとても可愛い雰囲気の作りになっているレストランだとチロリは色んな物が気になりきょろきょろする。
「中も綺麗なんだな」
「チロリ、こういうときは海の戦士たるもの堂々とするんだよ」
「そうか堂々とだな」
「そ…そうだ!」
席に着いたあとも物珍しそうに周りを見ているチロリにウソップはドヤ顔で教え彼女も大人しくなった。本当はウソップも内装を見渡したいのだが、彼女へかっこいい事を言ってしまった手前そんな事はできずソワソワするのだった。
「げっ!!お前ら!!」
聞き覚えのある声がしてテーブルの横を見ると腰から下のエプロンをつけたルフィが4人を見つけて立っていた。
「よっ雑用」
「1年も働くんだってなァ」
「お皿割っちゃだめだぞ」
「船の旗描き直していいか?」
さっき料理を運んできてくれたコックが1年雑用する事を教えてくれ、ナミ、ウソップ、チロリ、ゾロの順番でルフィを揶揄う。
「お前らおれをさしおいて、こんなうまいモン食うとはひでェじゃねェか!!」
「うまいモンって知ってるって事はつまみ食いしてるなこいつ」
むきーっとだいぶ片付いたテーブルのお皿を見てルフィが怒る。それを言われたチロリは抜かりないなと彼を感心して呟いた。
「別におれたちの勝手だよな」
ポチャン
「ぶっ…ああ、まあなw」
「そ、うだな…ww」
ゾロが左隣にいるウソップとチロリのほうを向きながらそう言うと2人は笑いを堪えながら答える。
原因はゾロの背後で彼の水に「くらえ」とルフィが鼻くそを入れていたからである。
「まァでも確かにここの料理はうめェよ、お前にゃ悪ィと思ってるが…」
すぅ…っとゾロが鼻くそ入りのコップを手に取り口へ運びながら話している。
あれを飲んでしまうのかという期待が2人は高まった。その光景を見ていたナミもくすくす隠れて笑う。
「これはてめェが飲め!!!」
ガボガボガボ!
「うぶっ!!!!」
ゴクン!
「だははははwww」
「腹いてー!!!ww」
「あははははwww」
ゾロは気づいていたようでルフィの口にコップを無理やり押し付けた。反動でルフィは鼻くそ入りの水を飲んでしまいその場に倒れおえ〜っと叫ぶ。3人はついに笑いを堪えられなくなりテーブルをバンバン叩きながら大笑いしていた。
どーーーん
「ああ海よ今日という日の出逢いにありがとう
ああ恋よ♡この苦しみにたえきれぬ僕を笑うがいい!」
突然ルフィの背後から金髪の黒いスーツを着た男がナミとチロリへ向けて手を広げてやって来て言う。
「僕は君達となら海賊にでも悪魔にでも成り下がれる覚悟が今できた♡
しかしなんという悲劇が!!僕らにはあまりに大きな衝撃が!!」
「「「?」」」
目を
サンジの言っている意味がわからずルフィとゾロとチロリは首を傾げていた。
「障害ってのァおれのことだろうサンジ」
「うっクソジジイ!!」
さらに背後の椅子にもたれかかった男がサンジへ声をかけた。彼はバラティエの料理長『ゼフ』彼は右脚が義足で金髪の長い髭を生やしてムッとした顔をしている。
ゼフに言われたサンジは驚いて振り返った。
「いい機会だ、海賊になっちまえ
お前はもうこの店には要らねェよ」
「!!…おいクソジジイ、おれはここの副料理長だぞ。おれがこの店に要らねェとはどういうこった!!」
ゼフの言葉に冷静に怒るサンジ。
(そういえば海のコックを探しにこのレストランに来たんだよな)
チロリはゼフとサンジのやりとりを見ながら本来の目的を思い出す。
彼は身体つきからして戦闘も出来そうだ。戦えるなら海賊コックとしてありがたい。武器は使うのだろうか、だとしたら剣ではないと思う。体術かな。…にしても強そうでいいな。
彼女が考えている間にサンジは「女にだらしない」や「ろくな料理も作れない」や「他のコックから煙たがられてる」とゼフから言われている。
「なんだと、聞いてりゃ言いてえこと言ってくれんじゃねェかクソジジイ!!
てめェが何を言おうとおれはここでコックをやるんだ!!文句は言わせねェ!!!」
がばっ!とサンジはゼフの胸ぐらを掴みながら反論をした。
「
「うわ!!!」
「おっと」ヒョイッ
ガシャアン!!
ゼフがサンジを私たちのテーブルへ背負い投げをしてくる。慌てて私たちはテーブルの残っている料理をそれぞれ持ち上げるが、一皿だけ持てなさそうだったのでゾロの頭に乗せておいた。にしても隻脚なのにあのおっさん強いな。
「……っキショォ」
「フン」
倒れたテーブルに座りながらサンジが呟くとゼフは見下しながら言い、その場を去ろうと歩き出した。
「てめェがおれを追い出そうとしてもな!!!おれはこの店でずっとコックを続けるぞ!!!
てめェが死ぬまでな!!!」
「おれは死なん、あと100年生きる」
ゼフの背中に胸に拳を当て決意を固く言うサンジに彼はスタスタと歩きながら呟くだけだった。
「あーよかった許しが出たな、これで海賊に…」
「なるか!!」
ルフィが呑気にサンジへ言ったがすぐ断られてしまった。やっぱりルフィもう誘ってたんだな。でも本人がこの店から出たくないのなら無理は言えない。
だがゼフは追い出したいようでその行為に何故だか愛情を感じた。
「さき程は失礼、おわびにフルーツのマチェドニアを召し上がれ。食後にはグラン・マニエをどうぞ、お姫様」
「わあっありがとう」
チロリたちが座っていたテーブルはめちゃくちゃになってしまったので別のテーブルへ移動した。ナミの背中から包むようにサンジが左手にデザートと右手にお酒を注いでいる。ナミはその可愛らしいデザートに両手を合わせて喜んでいた。
スッ
「こちらのお姫様はデニッシュペストリーをこちらのシロップをかけてお召し上がりください、食後には…」
「!」
(は、速い…!さっきまでナミの背後にいたのにもう私へデザートを持ってきている)
ただの軟派気質でレディに対して俊敏なのだが、先程のどう戦うのか気になっていたところやサンジの今の身のこなしにチロリは強者の感じがするとすぐ彼へ興味を示し始める。そのためサンジを顔を話も聞かずにじーっと見つめてしまっていた。
「お姫様、おれの顔に何かついてるかい?」
「あっいや、すまない…」
サンジは思わず自分を見て固まっているチロリへ声をかけた。すると彼女は他人の顔をジロジロ見るなんてと申し訳なさそうな顔をした。
「ってそのお姫様って私のこと?」
「?そうだよレディ」
チロリはサンジの答えに目を丸くすると、そのあと眉間に皺を寄せて分からないというような顔をした。
「たしかにナミは可愛いからお姫様だけど…私は違うと思う」
「何言ってるんだレディ!」
彼女の言葉を聞いたサンジはパシッとチロリの手を取りながら大きな声で否定する。
「ミルクティーの明るい髪色に負けないくらいの明るい肌に丸みのある素敵な瞳!ピンク色の頬もキュートだ!」
「えっと…」
「なにより、剣を持つために鍛えられた腕も素敵だ。この小さな手で剣を握って戦う姿が見てみたいよ!」
「!
……ありがとう//」
「……」
自分が頑張っている事が魅力だと言ってくれた嬉しさとサンジが褒めるのがうまいのもあり、チロリ頬を赤らめながらデザートを食べ始めた。「ではごゆっくり」と笑顔のサンジは彼女の手から離れた。
その様子を隣にいたゾロは眉間に皺を寄せて睨むような目で見ている。
「昨日も思ったけどチロリって初心ね」
向かいの席から面白いくらい分かりやすいゾロをフォローするためにナミは声をかけた。このままだとチロリが彼から怒られそうだと思ったからだ。ゾロは右頬をつきながら怒っているような素っ気ない態度で彼女へ声をかける。
「お前、何赤くなってんだよ」
「いや…その…お世辞って分かってるけどあんなの言って貰える事なんてないから照れるよ//私可愛くないし…」
そう、彼女は自分が可愛くないと思っている。昔から道場で男に囲まれて汗臭く生きてきたチロリはくいな以外女友達もおらず、ナミのようなきらきらで可愛い女の子にはなれなかった。しかも男たち顔負けの強さをしていた為、女の子扱いをされることに慣れておらず照れてしまうのだ。
「は?何言ってんだよ」
突然ゾロが反論してきた。何に対してだ?と思ったチロリが彼を見ると
「チロリは昔から可愛いだろ」
「え…」
今何て言った?
かわいい??
可愛い…?
かわっっっ……!?
ボンッ
「!?!!?!??!!?/////////」
チロリは一瞬何を言われたのか理解ができず時が止まっていたが、解ると先程と違い頭全てを赤くして湯気が出ていた。
かわいいって…可愛いって事だよな、私の事が?
ゾロの目は正常か??いやでも…昔からって…いつからだ?
え、本気か?いつもと同じで揶揄われてるんじゃ……
あ、ゾロの顔嘘ついてない…
「だからあんなのでいちいち照れてんなよ」
「え、えっと、うんと、あ…ハイ…」
茹でたみたいに赤くなったチロリが頷くと満足したゾロは口角を上げる。「食わねェのか?それ」と彼が聞くと思い出したかのようにチロリは真っ赤な顔のままデザートを食べ始めた。
「これでお互い自覚が無いのよね、何でなのよ…」
「チロリ顔真っ赤だけどどうしたんだ?」
「コラ、これは私のデザートよルフィ」
ゾロは嫉妬だし、チロリもサンジに言われるよりゾロに言われたほうが明らかにリアクション違うじゃないと一部始終を見ていたナミは思う。彼女のデザートを狙いに来たルフィも不思議そうにふたりを見ていた。
「口の周り汚れてんぞ」ごしごし
「ン、アリガトウ…」
「ん」
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