東の海
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「暴れてたのお前だったのか」
「どうした!ヨサクは一緒じゃねェのか」
「それが…!!ヨサクの奴…!!」
キッチンから出て見たのは倒れている賞金稼ぎを生業としている『ジョニー』
いつも相棒の『ヨサク』と2人で行動しているはずなのにヨサクの姿が見えない。疑問に思ったゾロが聞くと彼は焦った声で説明し始めた。
「病気!?」
「…ヨサク、ヨサク聞こえるか?」
ジョニーはヨサクを小船からメリー号へ連れてくると歯がボロボロで腹から血を流し、さらに苦しそうに呼吸をしていた。数日前まで元気だったが突然気絶を繰り返したりで原因が分からないとのこと。チロリはジョニーの話を聞きながらそんなヨサクの横に座り声をかけていた。
「ひとまず
ガビーン
「「!」」
おおかた大砲の練習で当てた岩山にこの2人がいたのだろう。明らかに自分たちのせいだと気付いたルフィとウソップは罪悪感で顔色を真っ青にし、ジョニーへ謝っていた。素直なところが彼らの良い所だ。
「"ヨサクとジョニー"っつったらよ、時にはビビる海賊もいるくらいの名になったよ…何年も共に賞金稼ぎやってきた大切な相棒だぜ…!
アニキ、アネゴォこいつ……死んじまうのかなァ…!!」
「……」
「ジョニー…」
相棒が死ぬ…そんなこと考えたくもなかった。自分達は修羅の道を選んでいて覚悟の上だがいざ夢半ばでそんな時が来てしまったら、私は耐えられるのだろうか。夢半ばの親友がいなくなったあの日から私はゾロに支えてもらってきたのにゾロさえいなくなったらーー。
そう思うと、相棒を想い涙を流すジョニーに何と声をかけていいか分からず黙ってしまっていた。
「バッカじゃないの!!?」
黙っていたチロリ達へナミが大きな声で突然言った。
「ナミ…?」
「何だとナミてめェ!!」
「あんたおれの相棒の死を愚弄するとただじゃおかんぞ」
ナミの台詞で怒るゾロとジョニー。だがチロリは不思議に思い彼女の名を呼ぶ。
「ルフィ!ウソップ!キッチンにライムがあったでしょ!?絞って持ってきて!」
「「ラ…
ナミはルフィとウソップにライムを取りに行かせる。彼らはヨサクに罪悪感があるため冷や汗をかきながらキッチンへ走って行った。
「「ライム……?」」
そんなルフィ達の背中を見ながらゾロとチロリは目をぱちくりさせ呟いた。
だだだっ
「持ってきたぞーっ!」
「ライム絞ってきた!」
「じゃあそれ飲ませて」
「私も手伝う」
ルフィ達が大きめのジャッキに並々のライム果汁を持ってきた。気を失っている人間に飲ませるのは大変なのでチロリはウソップと一緒にヨサクの頭を持ち上げる。彼の口にルフィはジャッキを捻じ込め無理矢理飲ませた。
「壊血病よ、手遅れでなきゃほんの数日で治るわ」
「本当ですか姐さんっ!!」
「その呼び方やめてよ」
原因は植物性の栄養の欠乏だ。船に新鮮な野菜や果物を乗せるのが難しかった昔の船ではよく見られる病気だったらしい。ナミが説明をするとジョニーは嬉しそうにしている。
「お前すげーな医者みてェだよ」
「おれはよ、お前はやる女だと思ってたよ」
「な!ナミは頭良いんだよ」
「船旅するならこれくらい知ってろ!!あんたたちほんといつか死ぬわよ!!」
ナミを純粋に褒めるルフィとチロリ。ウソップは腕を組んでドヤ顔をしながら言うと、ナミは3人に鬼のような顔で怒る。
「ひゃっほーう!栄養全開復活だーっ!!!」
「おお!やったぜ相棒ーっ!!!」
「そんなに早く治るかっ!!!」
ライムを飲み復活したヨサクが起き上がりジョニーと2人で飛び跳ね始めた。そんな彼らにナミはそのままツッコミをいれた。
「あんた方には何とお礼を言ったらいいのやら…さすがにあっしァもうダメかと思ってやした」
「しかしあらためて驚いた"海賊狩りのゾロとチロリ"がまさか海賊になってようとは…」
ぐはっ
「ブへェッ!!!!!!!!」
「相棒ォーーーー!!!!!!!」
「いいから黙って休んでろ!!」
「…何やってんだあいつら」
ヨサクは礼を言いジョニーも気になった事を話始めようとしたが、やはりすぐ回復するわけがないジョニーが口から吐血をして倒れゾロが怒鳴る。チロリも呆れた顔で呟いた。
「これは教訓ね…」
「長い船旅にはこんな落とし穴もあるってことか」
マストの周りに5人は集まりナミとゾロが言う。たしかにナミが教えてくれなければヨサクも命を落としていただろう。「船上の限られた食材で長旅の栄養配分を考えられる"海のコック"がやっぱり必要だろう」とウソップが言いナミも賛同する。
(あ…さっきキッチンで話していたのはこの内容だったのか)
「そうだよ」
「うっ…」
「顔に出てんだよ」
チロリが話し合いの内容に気付くと隣で腕を組んで立っていたゾロはまるで心を読んでいたかのように返答する。チロリはなぜバレたのかという目で彼を見るとゾロは口角をあげながら言った。
「よし決まりだ!!"海のコック"を探そう!!!なにより船で美味いもん食えるしな!!!」
話し合いが終わったのかルフィが笑顔で舌を出しながらそう言う。その号令から一味の次の目標が決まった。
「アニキ!アネゴ!」
「ん?」
「何だよジョニー」
はいはい!と左手を挙手しながらジョニーがふたりを呼ぶ。彼はみんなの話を聞いていたようで「海のコックを探すならうってつけの場所がある」と提案し出した。
「その名も…」
「「「「「海上レストラン!?」」」」」
「そう、ここから2、3日船を進めれば着くはずだ
でも気をつけねェとあそこは"
海上レストランの言葉を聞き、ゾロは真顔、ナミは笑顔、ルフィとウソップとチロリは響きだけで美味しそうな顔をしていた。
「それに…
アニキがずっと探してた"鷹の目の男"も現れたことがあるって話だ」
「「!!」」
その台詞を聞きゾロと私は固まった。"鷹の目"、私たちが海へ出て探している男だ。世界一になる為に彼には会わなければならない。
「よかったら案内しますぜ」
「「たのむーー!」」
ヨサクが案内を申し出ると盛り上がるルフィ達。
その会話すら入ってこないふたりは鷹の事しか考えられない。チロリはゾロをチラリと見るとゾロも闘志を隠しきれないようで期待に満ちた顔をしていた。
「……」
(…ゾロ)
航路を少々北へ曲げて海上レストランを目指し始めた。
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー
2日目の夜
「ウソップ、頼む」
「お前毎日すげェな、おれも腹筋とかしようかな…」
夜の甲板、チロリはウソップに頼み事をする。それは腕立て伏せをする際の重り役だ。チロリの小さい背中に胡座をかいてウソップは座り、彼女は腕立て伏せで持ち上げる。昨日も頼んでやってもらっていた。
「私は、ウソップのなんとか星の、開発すごいと思うぞ」
「やっぱりそう思うか!?今違うもん開発してるところなんだよ」
「おお、いいな、完成したら、フウ…見せてくれ」
チロリは腕立てをしながら上に乗っているウソップと会話をする。彼女なりに肺活量も鍛えたいと思っていたのでありがたかった。
昨夜頼んだとき彼はなかなか乗ってくれず乗ったあともずっと心配されていたが、今日は少し慣れてくれたようだった。
「アネゴ!おれはいつでも乗りますぜ!」
「お前らは、うるさいから、やだ」
「ええっ!アネゴォ!」
ヨサクとジョニーは乗せた後大声で応援し始めるのだ。それがうるさくて気が散るためチロリは頼まないと決めている。ゾロは重すぎるし、ナミは軽すぎて鍛錬にならない。ルフィもだめだ、彼は1箇所に止まる事を知らないためすぐ飽きてどこかへ行ってしまう。
故にウソップがこの役にピッタリだと任命した。
「さんびゃく…っ」
バタッ
「おーお疲れさん…大丈夫か?」
「平気だ…ウソップもありがとうな」
腕立て伏せを目標の300回終えたためその場にうつ伏せになるチロリ。ウソップは彼女の背中から退いて声をかける。
チロリが礼を言うとウソップは「てかこんな時間か、そろそろ寝るかァ」とルフィと一緒に男部屋に向かって歩いて行った。
「ゾロは?」
「まだ」
「じゃあ私も…」
チロリはゾロも寝るのか聞くと彼はまだ鍛錬をするみたいだ。たしかにゾロは夜遅くまで起きている事が多いので当然の返答にチロリも一緒に鍛錬を続けようと竹刀を構えようとする。
「チロリ、寝るわよ〜」
するとナミに呼び止められた。
「私はまだいいや、先に寝ていてくれナミ」
「何言ってんのよ、今日の不寝番はヨサクとジョニーがやってくれるんだし私たちも寝ちゃいましょ」
「いや、でも…鍛錬を」
「はいはい、夜更かしは美容の敵よ〜」
チロリは鍛錬の続きをしたいため言い訳をするがそんな彼女の手をとってズリズリ引きずって行くナミ。チロリはゾロへ助けを求める視線を向けたが彼もナミには敵わないのでチロリへ小さく右手を振って見送った。
女子部屋に着くとさっさとベッドに入るナミに疑問が消えないチロリ。まだまだ短い付き合いだが一緒に部屋まで連れてこられるような事が今までなかったのだ。
(美容のためにベッドに連れてきてくれたのか、確かに昨日も鍛錬で夜更かししてしまったからな)
そう感じたチロリはベッドに入りながら呟く。
「今更私が美容を足掻いてもナミみたいに可愛くはなれないぞ?」
「何言ってんのよ、チロリもじゅうぶん可愛いでしょう?」
「なっ…///」
「ええっ!照れるところ!?」
ナミに褒められ顔が赤くなるチロリ。こんなに可愛らしい子にナチュラルに褒めてもらえる嬉しさでつい照れてしまったのだ。顔を赤くしたチロリを見て笑うナミ。
「ねぇ、何に焦ってるわけ?」
「……?」
突然ナミが話を切り出してきた。
焦っている…?私が?何かそんな風に見えたのだろうか。
「まあチロリって言うより、
ナミはベッドにうつ伏せになり腕に頭をのせてチロリへ顔を向け言った。同じくベッドに入った彼女は答えた。
「焦ってた…かなァ?」
「どうせヨサクとジョニーのことを自分たちと重ねちゃったんでしょ」
「うわ、ナミはエスパーだスゲェ」
すぐ正解を言われ感心するチロリ。褒められフフッと口角をあげたナミに彼女は話すことにした。
「…ヨサクとジョニーは旅の途中に出会って、そこから少し行動を一緒にしてたんだ」
「慕ってる感じからしてそうね」
「久々に会った途端あんな感じになってて…正直、怖くなってしまった」
最強になる
「ゾロも突然いなくなってしまったら私はどうなってしまうのかなって」
だからこそ、怖くなった。
「だからって、焦って明日強くなれるのならこんな苦労してないじゃない」
「!」
「そうならない為に頑張ってきたんでしょ」
「…うん」
「じゃあ、大丈夫よ!」
「………」
心がじんわりと暖かくなった。ナミは同じ歳なのにやっぱりすごい。
そうだ、そうならない為に日々頑張ってきたのに。今の考えは全てを否定する事になってしまう。
それは絶対違う。
「……ナミはほんとすごいな」
「ま!あんた達がその辺で簡単に何か起こるとは思えないけどね」
「ありがとう」
ベッドからナミの顔を見て礼を言ったチロリにうつ伏せで肘をついていたナミはにっこり微笑んだ。「さ、寝ちゃいましょ」と彼女は言うとうつ伏せをやめベッドに潜り込んだ。それを聞きチロリもベッドに横になる。
(ゾロ"も"……ねェ)
ナミはチロリとの会話を思い出し、心の中で呟いた。チロリ"も"何か訳ありなのだろう、みんな何かあるんだなと彼女は思い窓の外を見る。
「ナミも、何か、あせってるだろ…?」
「!!」
ビクッとナミは肩を揺らした。
何か知っているの…チロリ達は海賊狩りをしていた。その時に私の事を知ったのかしら…と彼女は窓の外を見ながら頭を回転させる。言い訳をしようと口を開いたが、
「さっきの、ナミのお陰で、不安がなくなったんだ」
「え…」
「だから、ナミも、私に話して、くれ…よ」
「……ハハッ寝てる」
ウソップの村にいるときから感じていたナミへの違和感。彼女も何かに焦っていると感じたチロリは礼をしたくて言うが、睡魔に勝てず寝てしまっていた。
ナミはそんなチロリの姿を見ると少し笑って困った様な嬉しい様な表情になり眠りについた。
「話せたら、いいわね」