東の海
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「新しい船と仲間に!!乾杯だーーっ!!!」
ガシャァン!!
船の甲板でルフィの掛け声に合わせて5人はお酒が入ったジャッキを乾杯する。
「お前あのC・クロ倒したんだろ!すげェな!」
「だろ、ルフィは強いんだよ!」
「あのわる執事嫌いだったからすっきりした!」
ウソップが喜びながらルフィへ言うとチロリも自分の事のように自慢をする。
「あ、そうだチロリ!ウソップの父ちゃんシャンクスの船に乗ってんだよ」
「ええええ!すげェーー!!」
「まァな!…ってチロリも赤髪のこと知ってるのか?」
「ん?いや?」
「あ??」
目を輝かせていたチロリが急にスンッ…と真顔になりウソップは眉毛をハの字にする。
どん!
「見た事ないけどファンなんだ」
「おーおーそりゃ賞金稼ぎ時代に手配書見て一目惚れってことか……あ」
ヒョイっ
腰に手を当ててドヤ顔をしていたチロリの背後に人影がくる。数歩離れたところでナミと酒豪同士呑んでいたゾロだ。彼は左手にジョッキを持ったままチロリの首根っこを猫のように掴むと自分と目線を合わせるように持ち上げる。
「…ゾロ?」
「……」
「あの、ゾロさーん…」
「……」
「な、何だ?どうした?」
「これは言葉を選んでるときの顔してる」
「え……そうなのか?」
つまり何か言いたげの顔をしているとチロリはウソップへ言うのだが真顔で彼女を見てるだけのように見えるウソップは疑問の言葉を投げた。
「もーしょうがないわね…で、チロリ、一目惚れだったの?」
ナミが浮かされている私へ肩を組みにやにやした顔で聞いてきた。一目惚れ…あ、赤髪の事か。でもゾロが何か言いたげだったからゾロは大丈夫だろうかと左を見るとそわそわした早く答えろという顔をしていた。言いたかった事は急ぎじゃなさそうだ。
「一目惚れじゃないぞ?」
「あらそうなの?よかったじゃない」
「ちげェのか、何だか(色んな意味で)わるかったな」
右を向いてナミに言うとウソップも笑いながら軽く謝ってきた。何がよかったのだろうか?分からず首を傾げながらゾロを見ると彼も眉毛を上げ口角が上がっていた。笑ってる。私何かいけなかったのだろうか…はっ!
「そうか、剣士たるもの見た目で選ぶような事はしちゃだめな事くらいわかってる」
「「ん??」」
「……」
分かったという様な表情のチロリが言った。3人は不思議に思いウソップとナミはつい声を揃えてしまう。
「一目惚れなぞ軟弱がする事。私は"ちゃんと"中身を見て惚れてファンをしている」
「だよな!シャンクスかっけェよな!チロリはわかってるなァ」
「…………」
うんうんと目を閉じながら腕を組み頷いてるチロリと喜ぶルフィ。その台詞からゾロは先程の笑顔は消え、眉間に皺を寄せて険しい顔をしている。その姿を見てナミとウソップはまずいと「あ」と口を開けて固まっていた。
どさっ
「いでっ」
チロリを掴んでいた右手を離したゾロ。彼女はそのまま地面に尻餅をつき、咄嗟に声が出た。
「チッ…」
スタスタスタ…
そして軽蔑したような目でチロリを見下ろし舌打ちをするとマストの裏側へ歩いて行ってしまった。
「え??痛いんだけど???……何で!?」
「今のはチロリが悪いわ」
「おれもそう思う」
急に落とされお尻が痛い上に自分のせいで機嫌が悪いゾロに訳がわからず「急に落とさなくてもいいじゃん!」とチロリはお尻をさすりながら大声で講義した。
「できたぞ!!海賊旗!!!」
白と赤のペンキで汚れながらあっはっはっはと笑い黒い布を広げるルフィ。海賊旗だと彼は言うがドクロなんてどこにも見当たらない。
「コイツには…つまり絵心ってもんがねェんだな」
「ううん…もしかしてこれって芸術なんじゃないかしら」
「海賊旗は"死の象徴"のハズだろ…まァある意味恐怖だけどよ」
「あ、あれドクロなのか…なんか可愛いな」
4人はそれぞれの感想を述べる。なかなか酷い言われようだがルフィは自分の出来栄えに「どうだ!?」と笑顔である。
「お前は下手クソだルフィ!おれが描く!!」
そう言い出したウソップはペンキに手をつけどんどん描いていく。そう、どんどん。完成したがよく見るとドクロの鼻が長いような…。
「「ってマーク変わってんじゃねェか」」
ゴゴン!
ウソップは自分の海賊旗マークを完成させてしまい、ルフィとゾロから頭を殴られていた。
「うん!上手いっ!」
「こんなとこか」
「ほんとだ、上手いなウソップ」
「同じマークとは思えねェな」
ウソップがルフィのドクロマークを清書してくれ完成した。ルフィのトレードマークである麦わら帽子を被った海賊旗である。
「いいな!!あと帆にも描こう!!」
「ルフィがウソップを抱えたら描けそうだな」
「チロリいい事言うな!それでやろう!」
チロリの案を聞いてそう言ったルフィはびよーーーーんと腕を伸ばしウソップの脇に手を入れると帆の前までウソップを持ち上げた。
「ギャーーーー!!浮いてる!!!」
「ほらよウソップ、ペンキ何色使うんだ」
「そんな事言ってる場合か!!!」
「ウソップーがんばれー」
「そうよー天才画家〜早く〜」
ペンキバケツを何種類か持ったゾロがマストの天辺にある見張り台からウソップへ声を掛けるが彼はそれどころではなく涙目になって狼狽えている。それを下からチロリとナミが声をかける。
「う…うぅ…落とすなよルフィ」
「おう!だから早く描け!」
ルフィに笑顔で言われると渋々ウソップは描き始めた。
「ルフィ違う!もう少し上だ!」
「えぇ〜注文が多いなァ」
「あんたが言うかそれを」
「ルフィだからな」
先程の涙目はなくなり楽しくなってきたウソップは大きな帆に描きながらルフィへ指示をしていた。
「あ、ゾロおかえり」
「おう」
見張り台からウソップへペンキバケツを3色渡したゾロが甲板へ戻ってきた。3人はウソップの様子を下から眺める。
ポタ…
「ん?」
チロリの近くに水滴が落ちてきた。
ポタ
ポタ…
「?」
「なんだ雨か?」
ゾロも水滴が雨かと思いチロリとふたりして首を傾げる。
「?雨の気候じゃないわよ…」
ポタ
ポタ
ポタ
「ねェ、ちょっと、まさか…」
水滴の正体に気づいたナミが目を見開き、大声で指示を出す。
「チロリ!バケツ持って走って!ゾロも!
このままだと新品の船が…メリー号が…
ペンキまみれになっちゃう!!!!!」
ポタ
ポタ
ポタ
ポタ…
「じゃあこれって…」
「雨じゃなくてペンキか!!」
ダッ
水滴の正体はウソップが描いている筆からペンキがメリー号に降り注いでいるものだったのだ。
このままではメリー号がペンキで汚れてしまう、そう思ったふたりは冷や汗をかきながらバケツを持って甲板を走り回りだした。
「ルフィ!もうちょっと右だ!」
「こうか!」
「あー!ちょっと揺らしすぎだばか!」
だだだだっ
「チロリチロリあっち!ゾロこっちよ!!」
「ちょ、ウソップ!ペンキ垂らすな!」
「くそっ!なんでこんな事に!」
ドン!!
「よし!完成っ!これで"海賊船ゴーイング・メリー号"のできあがりだ!!」
大きな帆には立派なドクロが、描かれ立派な海賊船が出来上がった。ルフィは満足げに腕を組んでいる。
バタン…
「はーっ疲れた!」
「疲れたわね…」
ルフィ以外の4人は甲板に大の字で倒れ、ぜーはーぜーはーと大きく呼吸していた。ウソップがいの一番に声を上げ、ナミもそれに答えた。
「こんな事言ったらゾロに怒られると思うけど、疲れた…」
「鍛錬が足りねェんだよ…」
「ほら言った…自分だって疲れた顔してるのに」
「うるせェ、第一チロリがルフィにあんな提案するからだな…」
ドゥン!!
「ん!?」
「なっ!?」
バケツを持って走り回り疲れていたふたりが言い合いをしていると急に大きな音がし、ビクッと体を揺らし驚く。船首の方を見るとルフィがメリー号に備え付けてあった大砲と一緒に立っていた。
「お前一体何やってんだ突然っ!!」とゾロはルフィへ怒ると彼は「大砲の練習だよ」と返していた。
「チロリ」
「ん?なんだナミ」
「お茶でもどう?」
「いいな、中に入るか」
ナミは後ろにあるキッチンに親指を立ててチロリを誘う。ペンキで手や腕が汚れているから洗いたいと思っていたチロリはその誘いに乗りキッチンへナミと向かおうと決めた。するとゾロが2人についてくる。
「あらゾロも?」
「私たちとお茶するか?」
「あァ、あいつらといたらまた何か巻き込まれそうな気がする」
「じゃあ"ふたり分"いただくわねェ($)」
「ナミは揺るがないな…」
ナミは手でお金のポーズを取りながら笑顔でお茶を淹れてくれたのだった。
「お前はさ"狙撃手"に決まりだな!」
大砲の練習とやらが終わったルフィとウソップは3人が先にいたキッチンにきてルフィがそう言う。ウソップは大砲を岩に見事命中をさせたそうだ。
「まァひとまずそこに甘んじてやるがお前があんまりフガイねェことしてたら、即船長交代だからな」
「ああ、いいよ」
ウソップとルフィの会話をチロリはテーブルの正面に座って左肘をつき聞いていたが、ナミがノートに何か綴っているのも気になり目線はそっちを向けていた。
(何書いてるのだろう、あまりジロジロ見ても失礼だろうし)
「な!チロリもそう思うだろ!!」
「ん?そうだな」
ナミのノートに気を取られていたチロリは急にルフィに話しかけられ我に帰った。みんなで何か話していたようだったが聞いていなかったため彼女は反射的に適当に答える。
「いやいやいや、どう考えても"音楽家"はあとでいいだろ!」
「やだ…チロリも航海をなんだと思ってるのよ」
「あれ、私返事間違えたか?」
「そうだな」
ウソップとナミから全否定されたチロリは目を丸くしながら呟くと、彼女が話を聞いていなかった事に気付いていたゾロは答えた。
バキバキバキッ!!!
「出て来い海賊どもォーっ!!!てめェら全員ブッ殺してやる!!!!!」
「!?」
「何だ!?」
突然の大声にウソップはびっくりしてコーヒーをこぼし、ルフィはキッチンのドアを開け外へ出て行った。外で叫び声が響いた声の主はとても怒っているように感じる。
「相手何人だ」
「1人…かな」
「じゃ、あいつに任せとけ」
戦闘が始まったのか敵の大声が響いている。ナミとウソップはビビりながらキッチンの小窓から様子を覗いてゾロヘ報告していた。
「拭くもの拭くもの…」
「何してんだチロリ」
「ウソップがコーヒー溢したから拭かないと」
対して床に座り壁に寄りかかっているゾロとウソップが溢したコーヒーを拭いているチロリ。何かあったら行けばいいかとふたりは呑気だった。
「船を!!壊すなっ!!!!」
ドゴ!!
決着がついたのか大きな音が響いた。ナミとウソップがふたりの方を向く。様子を見て来いと目で訴えられたゾロとチロリは目を合わせ、外の様子を見るためキッチンのドアを開けた。
バタン
「ん?お前…!!ジョニーじゃねェか…!」
「あれ、ジョニーだ」
見知った顔が甲板に大の字になって倒れているのを見てふたりが言った。言われた本人はふたりを見るとガバッと起き上がりキッチンのほうを向く。
「え…
ゾ…ゾロのアニキとチロリのアネゴ!!!?」