東の海
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グアッ!!
「!!!」
ガキンッ!!!
弱気で走ってきたシャムの鋭いカギヅメがゾロを襲った。
間一髪1本だけ刀を抜いていたゾロはその刀でカギヅメを受け止め、ズザァ…とシャムは攻撃を弾いたゾロから離れる。
「こいつ…!!?」
「貴様おれを見くびってたろ…!!おれは今ネコ をかぶっていたのさ!」
「ゾロッ!!」カチャ
「チロリッ!!!!」
「なっ…!!?……チッ!」
ゾロに加勢しようと近づこうとしたチロリだったが彼に名前を呼ばれ止まる。驚いてから少ししてチロリは舌打ちをするとスタタタッと走りウソップとナミの元へむかった。
「お前、何でこっち来たんだ!?」
「ゾロが2人を守れって言ったから」
「ええっ!!そんな会話してなかったよな今!!」
突然目の前に現れたチロリにウソップが驚き質問をするがありえない答えが返ってきてさらに驚く。
「そうね、名前呼び合ってただけだわ…」
「そうだったか?」
「…おれこいつら怖ェよ」
「こいつらはね、しょうがないわ…」
(これが海賊狩りのゾロとチロリの怖さね…)
ナミは改めてふたりの強さを確認した。短時間であの意思疎通が出来る事はどれだけふたりが信頼し合っているかが分かるほどだった。
「!ゾロ!?刀は!!?」
「え…ないっ!!」
「しまったあいつだ!!」
ナミがいち早くゾロの腰にあったはずの残りの2本の刀が無くなっていることに気づき、ゾロが焦りだす。シャムへ視線を映すと背中に刀を2本持っていてチロリは悔しそうに言った。
「ニャーン何か失くしたのかい?おれは知らねェがな…!!」
「出たか」
「ネコ ババ」
(あの野郎…おれの刀を!!)
「その刀を返せ…!!」
ニャーバン・兄弟のシャムの特技ネコババによって刀が盗まれてしまった。ブチも彼が本性を出した事で弱気なネコかぶりをやめた様だ。
「返す?刀ならてめェで持ってんじゃねェか」
(違う、3本ともゾロの刀だ…)
1本刀を持っているゾロにシャムは言うがチロリはそう言う意味ではないと否定する。
そして「そうだ戦う前にこの荷物…」と言いながらシャムは背負っていた2本の刀を手に取り、
「邪魔だなこりゃ」ポイッ!
カランカラン…
自分の後ろへ投げた。
ピクッ…
自分の大切な刀を投げられたゾロとそれを自分のことのように感じているチロリは怒りで瞳孔を開け血管をぴくりと動かした。彼女は納めていた刀に手を掛け動こうとしたが、
「さーーて!これで身軽に……」
「他人の刀 は大切に扱うもんだぜ!!」
ギュン!!!
ズバッ!!!!!
煽り終わったシャムが喋っている途中にゾロは彼の腹を最大に斬った。
「強ェ!!」
(…危なかった私も動いちゃうところだった)
ウソップの声にチロリは冷静さを取り戻し刀から右手を離す。倒れ始めるシャムの横を通りすぎゾロは刀を取りに走った。
「野郎…おれの刀をよくも!!」
だだだだだだっ
ガシッ
「何を斬ったんだい…?」
「!!?」
「ゾロッ!」
気づいたチロリがゾロに声をかけたが遅かった。斬られたはずのシャムが背後からゾロの両腕を抑えている。両手が使えないゾロは顔から地面に倒れた。
「残念、おれはネコ 背なのさ!!」
「…何だと!!?」
「あいつ…腹はスカスカだったのか!!」
「ええっ!そんなのアリかよ!?」
猫背のあまり腹を斬っても服が斬れただけで無傷のシャム。彼がゾロを地面に抑えているとブチが走ってきた。
「やれ!ブチ出番だ!!」
ブチは高く飛び上がると重さを生かして勢いよく地面へ落ちてきた。
「猫殺 っ!!!キャット・ザ・フンジャッタ!!!!」
「!!!」
ブチが足を着地させた地面はビキビキ音を立ててヒビが入っている。
ゾロはというと間一髪でシャムの拘束から脱出し攻撃から逃れていた。チロリは小さくほっと安堵の一息が出た。
(危なかった…!冗談じゃねェぜ、あんなの1発でもくらったら全身の骨がコナゴナになっちまう…!!)
「今度は逃さねェ」
「おおともよ」
逃げたゾロにニャーバン・兄弟が揃って構えだした。ゾロも次の攻撃に備え構える。
「一刀流はあんまし得意じゃねェんだが」
「一刀流の鍛錬しないから…」
「うるせ」チャキ
一刀流が苦手だと呟いたゾロにチロリが本音を呟くと彼は小さく反論し刀を構えた。
「「いくぜ!ネコ柳大行進!!」」
シャシャシャシャシャシャシャシャ
シャシャシャシャシャシャシャシャ
キンギンキンキンキン!!
ニャーバン・兄弟はカギヅメでゾロヘ猛攻撃をしている。すごいスピードだがゾロは全て弾いている。
(さすがだけどあのままだと防ぐ事しか出来ない…)
「くらえ"鉛星"っ!!」
「!?ウソップだめだ!」
チロリが考えている間に2対1の状況になっているゾロに援護しようとウソップがパチンコを撃った。その声でチロリはハッと気づき、色んな意味で怒られると冷や汗を流してウソップへ言うが弾は撃たれている。
ドゴッ
そして放たれた弾はゾロの左肩に当たった。
「え!!?」
ウソップが驚く。その隙をついたニャーバン・兄弟がゾロの腹をツメで斬った。攻撃を喰らいつつ下がるゾロ。
「味方に攻撃してどうすんのよ!!!」
「い…いや違う…!あいつ今自分から当たりにいった様な…!!」
「自分から…!?」
ウソップがゾロに当てたと思いナミは怒るが、実はゾロがこちらが標的にされない様に自分から当たりに来たことにナミが気づいた。
「そうだよ、2人がもし狙われたときの最後の保険が私だ」
「なっ…あいつ…!!そんなこと考えてる場合かよ…!!」
ウソップはゾロを見て申し訳なさそうに言う。ニャーバン・兄弟からの攻撃は続き、ゾロは1本の刀で防いでいた。
せめて刀を取りに行けたらな…私の足なら行って帰って来れるか?
…いや動いて2人に何かあったらダメだ。それにあの催眠術師が黙ってないだろう。すぐに帰って来れないのは不味い。
じゃあ加勢するか?いやいやいや、手を出したら獲物を取るなって怒られる、ヒィそれはこわい…
せめて和道一文字だけでも救えたら…
「私が刀を取りに行くわ!」
「えっ!ナミ!?」
「だったらおれがっ!!」
「チロリはウソップをお願い!」
ダッ!!
チロリが考え込んでいるうちにナミは状況判断し、刀を取りに行くのは自分が最適だと走り始める。
だが、ナミはジャンゴの存在を忘れていた。刀を取ろうと走ってきたナミを見逃すわけがない。
(あの催眠術師やっぱり動き出した、嫌な予感がする)
「ウソップごめん、少し離れる」タッ!
「ああ…っておい!」
ナミがもうすぐ刀に辿り着けそうなそんな時チロリは悪い予感がして走った。
たたたたたたっ
「これさえ渡せば!!」
「刀に何の用だ」
「!!!」
ジャンゴがナミの真横に来る。彼はチャクラムを握っていた。催眠術で使用していた円盤は刃物だったのだ。遠くでウソップが危ないと叫ぶ声がする。斬られるーーそう思いナミは目を閉じた。
「ナミッ!!!!!!」
ズバッ!!!!
「チロリ!!?」
追いついたチロリがナミを庇い、チロリは右肩をジャンゴのチャクラムで斬られた。
「きゃあっ!」
ドサァッ
そのまま勢いで2人は倒れ込んだ。
ビクッ!!!
「!」
「あ…いや!これは…その…事情があってよ…!!!」
突如クロネコ海賊団たちが急に震え出した。ガクガクと震えながらジャンゴは言い訳のような言葉を話している。
「もうとうに夜は明けきっているのになかなか計画が進まねェと思ったら…
何だこのザマはァ!!!」
クラハドール…いやC・クロが坂の上に姿を現していた。
「チロリッ大丈夫!?」
「こんなのかすり傷だ、すまない庇うので精一杯だった」
「かすり傷って…血がすごい出てるわよ、もう」
「ナミは平気か?」
「庇ってもらったから何もないわよ」
「そうか、良かった」
「ただあいつ が来たみたい」
「……」
ジャンゴの少し後ろへ転んだあと座ったままナミとチロリは話していたがC・クロの様子を見るため坂の上に視線を向ける。
(さっき感じた殺気はあいつのだったのか…あの時殺気と気配を瞬時に消した、奴は強いんだろうな。)
「……仲間われ?」
「ほんとだ…」
C・クロの依頼が上手くやれていないクロネコ海賊団と仲間割れが始まった。クロはカギヅメの刃物になったような武器を持ち、ニャーバン・兄弟を圧倒している。
「…ナミ?」
「あいつら今こっちの事忘れているはずだから、私に刀は任せて」
「わかった」
刀をナミに任せることにしたチロリ。その間も敵の仲間割れは終わらない。するとC・クロはニャーバン・兄弟の首元に刃を向けて脅し、言った。
「5分やろう、5分でこの場を片付けられねェようなら…てめェら1人残らずおれの手で殺してやる」
「!!!」
「5分…」
「ケッ…」
C・クロの言葉を聞いた海賊たちが震え上がる。彼はそれ程恐れられている存在なのだ。それなら5分で片を付けに来るだろうとゾロとチロリは呟いた。「死にたくねェよー!」と海賊が叫び始めたときジャンゴも口にした。
「5分、5分ありゃあ何とかなる!!
あいつだ!!あいつさえブッ殺せば!!!おれ達はこの坂道を抜けられるんだ!!!」
「そうさ!さっきまでおれらが押してた相手だ!!」
「たいして強かねェ!!5秒で切りさいてやる!!!」
ゾロヘ向かって放ったジャンゴの言葉にニャーバン・兄弟が応える。戦闘が再び始まろうとしたとき、
「ゾロ!!刀っ!!」
ガガンッ!!
ナミがゾロの刀を蹴って飛ばした。チロリは抑えていた右肩の傷口から手を離して立ち上がる。「おれの刀まで足蹴に…!!」と驚くゾロへナミは聞いた。
「お礼は?」
「あァ…ありがとう!!」グッ!
「ぬ!!あの女…!」
「持ち主の元に戻った刀に何か用か?」カチャ…
「ヒッ…」
ジャンゴがナミへ近づこうとしたとき目の前にチロリが立った。刀を鞘から抜いて右手に持ち、ジャンゴを睨みつける。ジャンゴは彼女を見て怯み動かなかった。
(舐められたものだな私もゾロも…世界一目指すにはまだまだってところか)
「ふぅ…早くしろゾロ」
チロリは少し溜息を吐きながらそう呟くと目を閉じる。
「無駄だ無駄だ!!刀3本使っても実力は同じだ!!」
「わかってねェな"刀3本使うこと"と"3刀流"とじゃ、意味が違う」
ゾロは口に刀を咥えながら言う。ニャーバン・兄弟がシャー!と叫びながらゾロヘ向かっていきクロネコ海賊団たちも「5分以内だぞ!」と応援して叫んでいる。そんな中ゾロは冷静に構えた。
スゥ……!
「虎…
狩り!!!!!!」
ガシュ!!!
「!!?」
「い…!一撃っ!!!あのニャーバン・兄弟を!!!」
ニャーバン・兄弟を一撃で倒した。周りは驚き静かになる。チロリとゾロはいたって冷静だった。チロリは目を開き、ニャーバン・兄弟が倒れる瞬間を静かに見ている。
スチャ
「!」
どん!!
「心配すんな…5分も待たなくてもお前らは1人残らずおれが始末 してやる」
「やってみろ」
そしてC・クロへ刀を向けたゾロはニッと口角を上げながら言い、宣戦布告を受けたクロは眼鏡をくいっと上げながらこたえた。
「はぁはぁ…せ…船長っ!ジャンゴ船長…はぁ…おれらに催眠をかけてくれ!!」
「えっ!」
ふらふらになったブチが這いながらジャンゴへ言った。
チロリは驚き、止めようとジャンゴの方を向くがニャーバン・兄弟へ催眠術をかけ始めてしまい彼を見る事が出来ず目を閉じた。
(催眠術にかかるとルフィのように強くなれるが自我を失ってしまう…!それは不味い!)ぎゅっ
「ワン・ツーッ・ジャンゴ!」
「ぬ"っフーーーーン!!!!!」
「シャーーーーーー!!!!!」
「……」
「あーすまないゾロ…復活しちゃった…」
「まさか…!!また催眠か!?」
チロリは叫ぶニャーバン・兄弟に背を向けないようゾロに近づいた。半目になり頭をかきながら言うチロリにゾロは驚いた声を出す。
その間にナミが動き出した、ルフィが寝ている船の方へ走り出す。
「今度は何する気だこざかしい女め!!死ね!!」
ブンッ!!
「ナミ危ない!」
「よけろ!!」
「きゃああ!!」
ナミはルフィの方へ走り出したがそれに気づいたジャンゴがチャクラムを投げた。ゾロとチロリのふたりは咄嗟にナミへ叫んだが回転した刃物がナミの元へ飛んでいく。
すると
「お前かナミィ!!!!!」
がばっ!
「よくも顔をフンづけやがっ…」
ざくっ!!
「!!?ルフィ!!!」
ナミはルフィを起こすことに成功した。ヒールで顔面を踏まれてその衝撃で彼は起きたが、流石に怒っていた。ガバッと勢いよく起きてナミに抗議を始めるがルフィの後頭部に彼女が当たるはずだったチャクラムが刺さった。
「何て間の悪ィ奴と言うか…いい奴と言うか…」
「い、痛そうルフィ…」
でもお陰でナミが助かった…とチロリがほっと安堵する。チャクラムが刺さったルフィは倒れそうになるが
だんっ!!!
「バカな!!踏みとどまった!!!」
踏み止まりジャンゴや海賊たちが口を開け驚く。そしてルフィは刺さっているチャクラムを後頭部から抜き、ブシュゥと勢いよく血が溢れ出した。その姿を見て全員がルフィの復活を確信した。
「いっ……てェ〜〜〜〜〜っ!!!!!!!」
「あいつが復活しやがったァ〜〜!!!」
ガーーン!!
「まずい!これじゃ…」
「5分以内は…!!!」
ルフィが痛みで叫ぶ中、先ほどルフィに一瞬でやられた海賊たちが大騒ぎし出す。
「なんだわる執事 も来てるよ…」
「わる執事ね、いい名前だ」
ナミのおかげでルフィが復活した。ルフィは状況を見るために坂を眺め、C・クロの存在に気づく。
「…皆殺しまであと3分」
「!!」
「そんな…無茶だ!ジャンゴ船長とニャーバン・兄弟といえどたった3分であいつらを仕留めるなんて…!!」
クロが腕時計を見ながらカウントダウンをする。ジャンゴはルフィ、ゾロ、チロリを倒すために催眠中のニャーバン・兄弟へ指示を出す。
「考えてるヒマはねェぞ!
ブチ!お前はあのハラマキ、シャム!お前はあのチビを殺れ!!おれが麦わらの小僧を……」
「クラハドール!!もうやめて!!!」
「!!!」
林から1人の人影が現れた。
「!!!」
ガキンッ!!!
弱気で走ってきたシャムの鋭いカギヅメがゾロを襲った。
間一髪1本だけ刀を抜いていたゾロはその刀でカギヅメを受け止め、ズザァ…とシャムは攻撃を弾いたゾロから離れる。
「こいつ…!!?」
「貴様おれを見くびってたろ…!!おれは今
「ゾロッ!!」カチャ
「チロリッ!!!!」
「なっ…!!?……チッ!」
ゾロに加勢しようと近づこうとしたチロリだったが彼に名前を呼ばれ止まる。驚いてから少ししてチロリは舌打ちをするとスタタタッと走りウソップとナミの元へむかった。
「お前、何でこっち来たんだ!?」
「ゾロが2人を守れって言ったから」
「ええっ!!そんな会話してなかったよな今!!」
突然目の前に現れたチロリにウソップが驚き質問をするがありえない答えが返ってきてさらに驚く。
「そうね、名前呼び合ってただけだわ…」
「そうだったか?」
「…おれこいつら怖ェよ」
「こいつらはね、しょうがないわ…」
(これが海賊狩りのゾロとチロリの怖さね…)
ナミは改めてふたりの強さを確認した。短時間であの意思疎通が出来る事はどれだけふたりが信頼し合っているかが分かるほどだった。
「!ゾロ!?刀は!!?」
「え…ないっ!!」
「しまったあいつだ!!」
ナミがいち早くゾロの腰にあったはずの残りの2本の刀が無くなっていることに気づき、ゾロが焦りだす。シャムへ視線を映すと背中に刀を2本持っていてチロリは悔しそうに言った。
「ニャーン何か失くしたのかい?おれは知らねェがな…!!」
「出たか」
「
(あの野郎…おれの刀を!!)
「その刀を返せ…!!」
ニャーバン・兄弟のシャムの特技ネコババによって刀が盗まれてしまった。ブチも彼が本性を出した事で弱気なネコかぶりをやめた様だ。
「返す?刀ならてめェで持ってんじゃねェか」
(違う、3本ともゾロの刀だ…)
1本刀を持っているゾロにシャムは言うがチロリはそう言う意味ではないと否定する。
そして「そうだ戦う前にこの荷物…」と言いながらシャムは背負っていた2本の刀を手に取り、
「邪魔だなこりゃ」ポイッ!
カランカラン…
自分の後ろへ投げた。
ピクッ…
自分の大切な刀を投げられたゾロとそれを自分のことのように感じているチロリは怒りで瞳孔を開け血管をぴくりと動かした。彼女は納めていた刀に手を掛け動こうとしたが、
「さーーて!これで身軽に……」
「他人の
ギュン!!!
ズバッ!!!!!
煽り終わったシャムが喋っている途中にゾロは彼の腹を最大に斬った。
「強ェ!!」
(…危なかった私も動いちゃうところだった)
ウソップの声にチロリは冷静さを取り戻し刀から右手を離す。倒れ始めるシャムの横を通りすぎゾロは刀を取りに走った。
「野郎…おれの刀をよくも!!」
だだだだだだっ
ガシッ
「何を斬ったんだい…?」
「!!?」
「ゾロッ!」
気づいたチロリがゾロに声をかけたが遅かった。斬られたはずのシャムが背後からゾロの両腕を抑えている。両手が使えないゾロは顔から地面に倒れた。
「残念、おれは
「…何だと!!?」
「あいつ…腹はスカスカだったのか!!」
「ええっ!そんなのアリかよ!?」
猫背のあまり腹を斬っても服が斬れただけで無傷のシャム。彼がゾロを地面に抑えているとブチが走ってきた。
「やれ!ブチ出番だ!!」
ブチは高く飛び上がると重さを生かして勢いよく地面へ落ちてきた。
「
「!!!」
ブチが足を着地させた地面はビキビキ音を立ててヒビが入っている。
ゾロはというと間一髪でシャムの拘束から脱出し攻撃から逃れていた。チロリは小さくほっと安堵の一息が出た。
(危なかった…!冗談じゃねェぜ、あんなの1発でもくらったら全身の骨がコナゴナになっちまう…!!)
「今度は逃さねェ」
「おおともよ」
逃げたゾロにニャーバン・兄弟が揃って構えだした。ゾロも次の攻撃に備え構える。
「一刀流はあんまし得意じゃねェんだが」
「一刀流の鍛錬しないから…」
「うるせ」チャキ
一刀流が苦手だと呟いたゾロにチロリが本音を呟くと彼は小さく反論し刀を構えた。
「「いくぜ!ネコ柳大行進!!」」
シャシャシャシャシャシャシャシャ
シャシャシャシャシャシャシャシャ
キンギンキンキンキン!!
ニャーバン・兄弟はカギヅメでゾロヘ猛攻撃をしている。すごいスピードだがゾロは全て弾いている。
(さすがだけどあのままだと防ぐ事しか出来ない…)
「くらえ"鉛星"っ!!」
「!?ウソップだめだ!」
チロリが考えている間に2対1の状況になっているゾロに援護しようとウソップがパチンコを撃った。その声でチロリはハッと気づき、色んな意味で怒られると冷や汗を流してウソップへ言うが弾は撃たれている。
ドゴッ
そして放たれた弾はゾロの左肩に当たった。
「え!!?」
ウソップが驚く。その隙をついたニャーバン・兄弟がゾロの腹をツメで斬った。攻撃を喰らいつつ下がるゾロ。
「味方に攻撃してどうすんのよ!!!」
「い…いや違う…!あいつ今自分から当たりにいった様な…!!」
「自分から…!?」
ウソップがゾロに当てたと思いナミは怒るが、実はゾロがこちらが標的にされない様に自分から当たりに来たことにナミが気づいた。
「そうだよ、2人がもし狙われたときの最後の保険が私だ」
「なっ…あいつ…!!そんなこと考えてる場合かよ…!!」
ウソップはゾロを見て申し訳なさそうに言う。ニャーバン・兄弟からの攻撃は続き、ゾロは1本の刀で防いでいた。
せめて刀を取りに行けたらな…私の足なら行って帰って来れるか?
…いや動いて2人に何かあったらダメだ。それにあの催眠術師が黙ってないだろう。すぐに帰って来れないのは不味い。
じゃあ加勢するか?いやいやいや、手を出したら獲物を取るなって怒られる、ヒィそれはこわい…
せめて和道一文字だけでも救えたら…
「私が刀を取りに行くわ!」
「えっ!ナミ!?」
「だったらおれがっ!!」
「チロリはウソップをお願い!」
ダッ!!
チロリが考え込んでいるうちにナミは状況判断し、刀を取りに行くのは自分が最適だと走り始める。
だが、ナミはジャンゴの存在を忘れていた。刀を取ろうと走ってきたナミを見逃すわけがない。
(あの催眠術師やっぱり動き出した、嫌な予感がする)
「ウソップごめん、少し離れる」タッ!
「ああ…っておい!」
ナミがもうすぐ刀に辿り着けそうなそんな時チロリは悪い予感がして走った。
たたたたたたっ
「これさえ渡せば!!」
「刀に何の用だ」
「!!!」
ジャンゴがナミの真横に来る。彼はチャクラムを握っていた。催眠術で使用していた円盤は刃物だったのだ。遠くでウソップが危ないと叫ぶ声がする。斬られるーーそう思いナミは目を閉じた。
「ナミッ!!!!!!」
ズバッ!!!!
「チロリ!!?」
追いついたチロリがナミを庇い、チロリは右肩をジャンゴのチャクラムで斬られた。
「きゃあっ!」
ドサァッ
そのまま勢いで2人は倒れ込んだ。
ビクッ!!!
「!」
「あ…いや!これは…その…事情があってよ…!!!」
突如クロネコ海賊団たちが急に震え出した。ガクガクと震えながらジャンゴは言い訳のような言葉を話している。
「もうとうに夜は明けきっているのになかなか計画が進まねェと思ったら…
何だこのザマはァ!!!」
クラハドール…いやC・クロが坂の上に姿を現していた。
「チロリッ大丈夫!?」
「こんなのかすり傷だ、すまない庇うので精一杯だった」
「かすり傷って…血がすごい出てるわよ、もう」
「ナミは平気か?」
「庇ってもらったから何もないわよ」
「そうか、良かった」
「ただ
「……」
ジャンゴの少し後ろへ転んだあと座ったままナミとチロリは話していたがC・クロの様子を見るため坂の上に視線を向ける。
(さっき感じた殺気はあいつのだったのか…あの時殺気と気配を瞬時に消した、奴は強いんだろうな。)
「……仲間われ?」
「ほんとだ…」
C・クロの依頼が上手くやれていないクロネコ海賊団と仲間割れが始まった。クロはカギヅメの刃物になったような武器を持ち、ニャーバン・兄弟を圧倒している。
「…ナミ?」
「あいつら今こっちの事忘れているはずだから、私に刀は任せて」
「わかった」
刀をナミに任せることにしたチロリ。その間も敵の仲間割れは終わらない。するとC・クロはニャーバン・兄弟の首元に刃を向けて脅し、言った。
「5分やろう、5分でこの場を片付けられねェようなら…てめェら1人残らずおれの手で殺してやる」
「!!!」
「5分…」
「ケッ…」
C・クロの言葉を聞いた海賊たちが震え上がる。彼はそれ程恐れられている存在なのだ。それなら5分で片を付けに来るだろうとゾロとチロリは呟いた。「死にたくねェよー!」と海賊が叫び始めたときジャンゴも口にした。
「5分、5分ありゃあ何とかなる!!
あいつだ!!あいつさえブッ殺せば!!!おれ達はこの坂道を抜けられるんだ!!!」
「そうさ!さっきまでおれらが押してた相手だ!!」
「たいして強かねェ!!5秒で切りさいてやる!!!」
ゾロヘ向かって放ったジャンゴの言葉にニャーバン・兄弟が応える。戦闘が再び始まろうとしたとき、
「ゾロ!!刀っ!!」
ガガンッ!!
ナミがゾロの刀を蹴って飛ばした。チロリは抑えていた右肩の傷口から手を離して立ち上がる。「おれの刀まで足蹴に…!!」と驚くゾロへナミは聞いた。
「お礼は?」
「あァ…ありがとう!!」グッ!
「ぬ!!あの女…!」
「持ち主の元に戻った刀に何か用か?」カチャ…
「ヒッ…」
ジャンゴがナミへ近づこうとしたとき目の前にチロリが立った。刀を鞘から抜いて右手に持ち、ジャンゴを睨みつける。ジャンゴは彼女を見て怯み動かなかった。
(舐められたものだな私もゾロも…世界一目指すにはまだまだってところか)
「ふぅ…早くしろゾロ」
チロリは少し溜息を吐きながらそう呟くと目を閉じる。
「無駄だ無駄だ!!刀3本使っても実力は同じだ!!」
「わかってねェな"刀3本使うこと"と"3刀流"とじゃ、意味が違う」
ゾロは口に刀を咥えながら言う。ニャーバン・兄弟がシャー!と叫びながらゾロヘ向かっていきクロネコ海賊団たちも「5分以内だぞ!」と応援して叫んでいる。そんな中ゾロは冷静に構えた。
スゥ……!
「虎…
狩り!!!!!!」
ガシュ!!!
「!!?」
「い…!一撃っ!!!あのニャーバン・兄弟を!!!」
ニャーバン・兄弟を一撃で倒した。周りは驚き静かになる。チロリとゾロはいたって冷静だった。チロリは目を開き、ニャーバン・兄弟が倒れる瞬間を静かに見ている。
スチャ
「!」
どん!!
「心配すんな…5分も待たなくてもお前らは1人残らずおれが
「やってみろ」
そしてC・クロへ刀を向けたゾロはニッと口角を上げながら言い、宣戦布告を受けたクロは眼鏡をくいっと上げながらこたえた。
「はぁはぁ…せ…船長っ!ジャンゴ船長…はぁ…おれらに催眠をかけてくれ!!」
「えっ!」
ふらふらになったブチが這いながらジャンゴへ言った。
チロリは驚き、止めようとジャンゴの方を向くがニャーバン・兄弟へ催眠術をかけ始めてしまい彼を見る事が出来ず目を閉じた。
(催眠術にかかるとルフィのように強くなれるが自我を失ってしまう…!それは不味い!)ぎゅっ
「ワン・ツーッ・ジャンゴ!」
「ぬ"っフーーーーン!!!!!」
「シャーーーーーー!!!!!」
「……」
「あーすまないゾロ…復活しちゃった…」
「まさか…!!また催眠か!?」
チロリは叫ぶニャーバン・兄弟に背を向けないようゾロに近づいた。半目になり頭をかきながら言うチロリにゾロは驚いた声を出す。
その間にナミが動き出した、ルフィが寝ている船の方へ走り出す。
「今度は何する気だこざかしい女め!!死ね!!」
ブンッ!!
「ナミ危ない!」
「よけろ!!」
「きゃああ!!」
ナミはルフィの方へ走り出したがそれに気づいたジャンゴがチャクラムを投げた。ゾロとチロリのふたりは咄嗟にナミへ叫んだが回転した刃物がナミの元へ飛んでいく。
すると
「お前かナミィ!!!!!」
がばっ!
「よくも顔をフンづけやがっ…」
ざくっ!!
「!!?ルフィ!!!」
ナミはルフィを起こすことに成功した。ヒールで顔面を踏まれてその衝撃で彼は起きたが、流石に怒っていた。ガバッと勢いよく起きてナミに抗議を始めるがルフィの後頭部に彼女が当たるはずだったチャクラムが刺さった。
「何て間の悪ィ奴と言うか…いい奴と言うか…」
「い、痛そうルフィ…」
でもお陰でナミが助かった…とチロリがほっと安堵する。チャクラムが刺さったルフィは倒れそうになるが
だんっ!!!
「バカな!!踏みとどまった!!!」
踏み止まりジャンゴや海賊たちが口を開け驚く。そしてルフィは刺さっているチャクラムを後頭部から抜き、ブシュゥと勢いよく血が溢れ出した。その姿を見て全員がルフィの復活を確信した。
「いっ……てェ〜〜〜〜〜っ!!!!!!!」
「あいつが復活しやがったァ〜〜!!!」
ガーーン!!
「まずい!これじゃ…」
「5分以内は…!!!」
ルフィが痛みで叫ぶ中、先ほどルフィに一瞬でやられた海賊たちが大騒ぎし出す。
「なんだ
「わる執事ね、いい名前だ」
ナミのおかげでルフィが復活した。ルフィは状況を見るために坂を眺め、C・クロの存在に気づく。
「…皆殺しまであと3分」
「!!」
「そんな…無茶だ!ジャンゴ船長とニャーバン・兄弟といえどたった3分であいつらを仕留めるなんて…!!」
クロが腕時計を見ながらカウントダウンをする。ジャンゴはルフィ、ゾロ、チロリを倒すために催眠中のニャーバン・兄弟へ指示を出す。
「考えてるヒマはねェぞ!
ブチ!お前はあのハラマキ、シャム!お前はあのチビを殺れ!!おれが麦わらの小僧を……」
「クラハドール!!もうやめて!!!」
「!!!」
林から1人の人影が現れた。