東の海
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ザザーーン
しーーーーーん…
「来ねェなァ……朝なのに」
「来ないねェ」
「寝坊でもしてんじゃねェのか?」
陽は上り辺りがだいぶ明るくなったが海から海賊が来る気配がない。待ちぼうけのルフィとチロリが気怠そうに言うとゾロが適当に答える。
「?」
「どうしたんだ?ナミ」
すると、ナミが何か気がついたようで遠くを見ている。チロリもそんなナミの様子に気付き声をかけた。
「あのさ、気のせいかしら…北の方でオーッて声が聞こえるの……」
「北!?」ぎくっ
「うん、やっぱり聞こえるわ!」
耳を澄ませながらナミがそう言うとウソップが慌てた様子で冷や汗を流している。
「おいどうした!?」
「き…北にも上陸地点がある…!!まさか…」
「海岸間違えたのか!?もしかして!!」
「その"まさか"と"もしかして"なんじゃないのか!?」
耳を澄ますために手に耳を置いて目を閉じているナミの横で4人が騒ぎ出す。心配するゾロと海岸間違えに気付いたルフィ。ウソップとルフィの仮説を聞いて核心を持ったチロリが慌てている。
「だってよ、あいつらこの海岸で密会してたからてっきり!!」
「急ごう!!村に入っちまうぞ!!どこだそれ!!」
「ここからまっすぐ北へ向かって走れば3分でくつ!地形はこことほぼ変わらねェから坂道でくい止められりゃいいんだが!!」
ウソップとルフィのやりとりを見ていたチロリは場所が分からないので案内を頼もうとしたが、ナミがきゃあ!と急に悲鳴を上げそちらを見る。
「まずいっ!北の海岸ってったら私たちの船がある場所だ!!船の宝が取られちゃうっ!!」
「なっ!」
ナミが命より大事にしている宝が取られてしまう!とナミが困っているところを見て冷静さが欠けてしまったチロリ。
ずだっ!!
「20秒でそこ行くぞ!チロリ!!」
「おう!ルフィ!」
ルフィが駆け出したのを見てチロリも一緒にまっすぐ走り出した。
どどどどどどどっ!!
「北へまっすぐ!」
「北へまっすぐ!」
ルフィとチロリがそう言いながら走っている。ルフィも足速いなとチロリは感じていた。チロリも素早さが売りなところがあるため足には自信があったのだが鍛錬し直しだな…と少し反省しながらルフィと言われた通りまっすぐ走る。
「ってあれ!?」
「村に出ちまったぞ!?チロリ!」
「おっかしーな…北って言ってたのに」
「そうだよな!?寒そうな方角にまっすぐだと思ったの…に…あ!!!!」
いつの間にか村に来てしまい焦るルフィとチロリ。ルフィが隣にいるチロリの方へ顔を向けると大きな声を出した。
「な、なんだ!?」
「チロリじゃねェかよ!!迷子になるに決まってるじゃん!!!」
「な!失敬な!!迷子じゃないもん!!というかルフィについて来たらこうなってるんだぞ!」
迷子常習犯を連れてきてしまい役に立たない事に気づいてしまったルフィ。チロリは眉毛をハの字にして自信がない反論をする。
「北って寒い方って思うよな」
「え、そうじゃないのか?」
「ああ!チロリと同じ考えってことは違ェじゃねェか!!」
「えええっ!基準そこ!?」
「とにかくおれから離れんなよチロリ!」
「わかった!北の海岸へ急ごう!!」
結構失礼なことを言われているが自分のせいだと5%くらい思ってるチロリはルフィに従って走ることにした。
「北へまっすぐ!」
「北へまっすぐ!」
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー
ガシッ
「待て!!!村へ行くな!!!!」
「うるせェ!邪魔だァ!!」
ドカッ!!
「う"っ!」
先に北の海岸へ辿り着いていたウソップとナミがクロネコ海賊団と戦っていたが2人とも攻撃を喰らい動けない状態になっていた。
そうしていると海賊たちがどんどん坂を登って村へ行こうとする。ウソップは頭を殴られ血を出しながら動けない身体で必死に海賊へ掴み掛かるが蹴り飛ばされてしまう。
「やめてくれ頼むからっ!!!みんなを殺さないでくれェえ!!!!」
ダダダダダダッと海賊たちが走って坂を登っていく。やめてほしいとウソップが必死に叫ぶ。
ウソップ海賊団や村の人たち、そしてカヤ…守りたいものを守らないと大切な村が壊されてしまう。ウソップは身体が動かず必死に叫んだ。
ドカッドカッドカッ…
「!」
突如スローモーションの様に坂の上に向かって行った大勢の海賊たちが吹き飛ばされた。
ズドドドドドッ
「うっぎゃあああああああ」
「!!?」
吹き飛ばされた海賊たちはウソップを通り越して叫びながら坂の下へ転がっていく。ウソップは何が起きたのか分からず驚いた顔で坂の上を見る。
「やっと来た…」
ナミが内心ホッとしながらそう呟いた。そう、坂の上では3人が立っている。
ドォン!!
「何だ今の手ごたえねェのは」
「知るか!これじゃ気が晴れねェ!!」
「散々走らされた恨みがこれで晴れるわけないだろう」
ゾロ、ルフィ、チロリの3人だ。ゾロはバンダナを頭に、チロリは襟足を結っている。土煙を立てながら合流した3人は怒っていた。
どん!
「ナミてめェ!!!よくもおれを足蹴にしやがったな!!!」
どん!
「ウソップ!北がどっちかちゃんとルフィに言ってよ!!」
どどん!
「ウソップこの野郎!迷子のチロリじゃ頼りになんねェから北ぐらいちゃんと言っとけぇ!!!」
ふんっ!と鼻息を鳴らしながら3人ともナミとウソップそれぞれに怒りがあり苦情をいれた。
「何なんですかジャンゴ船長…!」
「この村にあんなのがいるなんて…!聞いてません!!!」
「……何だ、あいつら…」
海賊たちが聞いていた事と違うと現在の船長へ叫ぶ。彼は紫色の帽子を深く被りハートのサングラスから坂の上にいる3人を見てそう呟いた。彼の名は『ジャンゴ』クロネコ海賊団の元副船長だ。現在は船長になっている。
「お……お前らこんなに強かったのか…!!」
「うん」
「そうだ」
「あんた達おっそいのよ来んのが!!」
「!カチーン
てめぇがおれを陥れいれたんだろうがよ!!」
ウソップの問いにルフィとチロリが答える。ナミの文句はゾロへ言われるがゾロはナミに敷かれた油へ落とされて大変だったと怒る。
「あれは事故よ、仕方ないでしょ2人とも落ちるより1人でも助かった方がいいじゃない」
「じゃあお前が落ちろ!!」
「だいたいだなー!!北とか北じゃないとかそうゆうのでわかるわけないだろ!!」
「そうだぞ!!ルフィと私がわかるわけないだろ!!」
「何ィ!?お前ら自信持ってまっ先に走り出したろ」
「「あれは何となくだよっ!何となく!」」
ナミとゾロ、ルフィとチロリとウソップはそれぞれの文句を言い合いする。その言い合いを見ていたジャンゴが海賊たちを起こした。
「いいか、おれ達はこんな所でグズグズやってるヒマはねェ。相手が強けりゃこっちも強く なるまでだ…!」
そう言うとジャンゴは大きな輪っかを振り子でユラユラと揺らしながら海賊たちに語りかけ始める。
「何やってんだ、あいつら」
「さァな」
「催眠術よきっと…!思い込み で強くなろうとしてんのよ!ばっかみたい!」
「ふぇーあの野郎が言ってた催眠術師か」
「……」
ジャンゴのことを知らない3人は今から何が起きるのか分からなかったがナミが催眠術だと教えてくれる。チロリは感心しながら呑気にジャンゴのことを見ている。
「ワンッ
ツーッ
ジャンゴ!!!」
ぐいっ
「なんだ!?」
3人が坂の下まで転がした海賊たちはボロボロのフラフラだったのだがジャンゴが催眠をかけるとウオオオオオオーーーー!!!と活気盛んになり始めた。
「ちょ、ゾロ!何も見えない」
催眠とは別に騒いでいる人が1人。
「催眠術だっつってんだろ、何で最後までちゃんと見てんだよ」
「あ、そういうことか。すまない助かった」
ゾロはまさかと思い隣を見るとジャンゴの催眠を敵と一緒になって呑気に見ているチロリを発見。
やばいと感じるとぐいっとチロリの顔を左手で引き寄せ、もう右手で両目を塞いだ。ゾロの手が大きいのもあるがチロリの頭も小さいため彼の片手で顔のほとんどを覆えた。
(ちっさい頭だな、力を込めたら潰れちまいそうだ)
ぎゅ…
「いでででででで!!!」
…ぱっ
「ッハ!!ってちょっとゾロさん!?痛かったよ!?」
チロリの顔面を片手で掴み少し力を込めたゾロ。もちろん痛がるチロリであったが「ちょ、ゾロ!聞いてる!?」と怒る声も彼には届かず、ゾロは彼女の頭を掴んでいた右手をじーっと見ながら握ったり開いたりしていた。
「ぬん!!」
ピキピキ…ドゴーーーン
「ウオオオオオオ!!!」
「えっ!?」
「!崖をえぐりやがった……!なんてパワーだ!!」
催眠にかかりパワーが上がっている海賊たちのうちの1人が崖を殴ると一角がえぐれ、崩れた。その音にふたりも気づき坂の下をみたが先程と違うパワーに驚き声をあげる。
睡眠の力を目の当たりにし焦りだしたナミとウソップに、ゾロは「お前ら坂の上にあがってろ!」と伝える。ナミはウソップを肩で支えながら坂の上にむかった。
「ここはおれ達がやる…!!おいルフィ!チロリ!」
「あいあいさー!!」
「……」
「ルフィ!?」
「え、ルフィどうした!」
坂の下から催眠で元気になった海賊たちが雄叫びを上げむかってくる。戦闘を始めるためにゾロが刀を抜こうと構えて2人を呼ぶ。チロリはすぐ返事をして同じく刀を抜こうと構えるが、ルフィが黙ったまま俯いている。ふたりはルフィの様子に驚き焦りながら声をかけた。
「うおああああああああーーーーーっ!!!」
「「お前も催眠にかかってんのかァ!!!」」
ルフィが雄叫びを上げて両手をあげた。その姿は催眠にかかった海賊たちに似ていた為ふたりはルフィが催眠にかかった事をすぐ理解した。
「ゴムゴムのっ!!銃乱打 !!!」
ドドドドドドドッ!!!
「!!?手が…」
坂の下から向かってきていた海賊たちをルフィが一網打尽にする。ゴムゴムの実で手が伸びた彼を見たウソップは驚き呟いた。
「うおおおおお」と叫びながらルフィが海賊を追うと先程の攻撃で催眠が切れた海賊たちは「いやああああ!!」と泣きながら逃げていた。
その姿を見ていたチロリはもうこれやる事ないんじゃないの?と思った。
「!?」ばっ!
(なんだ?一瞬だけ殺気を感じた気がしたんだが…)
林のほうから強い殺気を感じたチロリは目を細めて林を見たがそのほかに何も感じられなかった為首を傾げる。
「ワン・ツー・ジャンゴで眠くなれっ!!
ワン・ツーッ・ジャンゴ!!!」
その催眠の合図が聞こえ森から海岸へ視線を戻したチロリ。なんと船首の下敷きになりながら催眠にかかり寝ているルフィがいた。辺りは静かになった。
「なんかほぼ全滅って感じするわね」
「おい…そんなことよりあいつが船首の下敷きに!!」
「ん?ああルフィは大丈夫だよ」
「お前は自分の出血の心配してろ」
坂の横の崖に避難しているナミとウソップがふたりへ声をかける。ふたりはルフィなら大丈夫だろうと自分の仕事をしようと刀を抜いた。
「おいおいブチ!来て見ろよ、えれェこった船首が折れてる!!」
「なに船首がァ!?おいおいどういう理由で折れるんだ!!」
「「…!?」」
「何かまだ船にいるみたいだぜ…」
「ほんとだ、私たちの仕事まだあったね」
海賊船から何やら新しい声がし、驚くナミとウソップ。新たな声の主はルフィが壊した黒猫の船首を見て驚いているようだった。
ルフィのせいで暴れ足りなかったふたりは自分たちの仕事があることを少し喜びながら話していた。
「そうだ、おれ達にはまだこいつらがいる!
下りて来いっ!!!切り札"ニャーバン・兄弟 "!!!!」
ジャンゴがそう叫ぶと海賊船から2人の影が飛んできた。
スタタッ…!
「来たか"ニャーバン・兄弟"」
「およびで、ジャンゴ船長」
「およびで」
「なにあれ」
「すげェ…あの高さから着地した…!ねこみてぇだ」
高さのある海賊船から飛んできた2人は船の番人ニャーバン・兄弟。太っちょな見た目の『ブチ』と細い見た目で鋭い爪をつけているのが『シャム』。
高いところから静かに着地したニャーバン・兄弟を見たナミとウソップは目を丸くし、ゾロとチロリは静かに相手の行動を見ていた。
「ブチ、シャム
おれ達はこの坂道をどうあっても通らなきゃならねェんだが、見ての通り邪魔者がいる!!あれを消せ!!」
ぎくっ!
「そ…そんなムリっすよォぼく達には!なァブチ」
「あ、ああ、あいつ 強そうだぜまじで!!」
ジャンゴの命令に冷汗を流しながら焦り、狼狽えるニャーバン・兄弟。
「な…!!何だあいつら切り札じゃなかったのか!?」
「あ?」
「ねェあいつらまるでゾロだけ 強そうって言ってた…解せぬ」
「そうね…ゾロに完全にびびってるわね…」
ニャーバン・兄弟の反応に威厳を感じなく、切り札と呼ばれるには弱そうだと4人は思った。
チロリは自分のことを眼中に入れてない彼らに怒り顔をむすっとする。
その間も「だいたいぼくらはただの船の番人なんですよ」などと戦いたくないのか彼らは色々言い訳をしていた。するとジャンゴが怒り出す。
「シャム!!さっさと行かねェか!!!」
「え!?ぼくですかァ!!?」
「急げ!!!」
「わ、わかりましたよ!行きますよっ!」
ジャンゴに怒鳴られべそをかきながら坂を走り出したシャム。
「おいお前覚悟しろーーっ!このカギヅメでひっカクぞーっ」
「ちょ、どうしようゾロ!」
「あれをおれにどうしろっつうんだよ!」
どどどどっ!とこちらを見ずに一心不乱な状態でゾロに向かってくるシャムにふたりが動揺した。
「お前っ!!止まらねェと斬るぞっ!!」
戦意のない敵を止めようとゾロがシャムに向かって叫んだ。
「斬れるもんならな…」ギラリ
「!!?なに…!!」
「なっ!!?」
しーーーーーん…
「来ねェなァ……朝なのに」
「来ないねェ」
「寝坊でもしてんじゃねェのか?」
陽は上り辺りがだいぶ明るくなったが海から海賊が来る気配がない。待ちぼうけのルフィとチロリが気怠そうに言うとゾロが適当に答える。
「?」
「どうしたんだ?ナミ」
すると、ナミが何か気がついたようで遠くを見ている。チロリもそんなナミの様子に気付き声をかけた。
「あのさ、気のせいかしら…北の方でオーッて声が聞こえるの……」
「北!?」ぎくっ
「うん、やっぱり聞こえるわ!」
耳を澄ませながらナミがそう言うとウソップが慌てた様子で冷や汗を流している。
「おいどうした!?」
「き…北にも上陸地点がある…!!まさか…」
「海岸間違えたのか!?もしかして!!」
「その"まさか"と"もしかして"なんじゃないのか!?」
耳を澄ますために手に耳を置いて目を閉じているナミの横で4人が騒ぎ出す。心配するゾロと海岸間違えに気付いたルフィ。ウソップとルフィの仮説を聞いて核心を持ったチロリが慌てている。
「だってよ、あいつらこの海岸で密会してたからてっきり!!」
「急ごう!!村に入っちまうぞ!!どこだそれ!!」
「ここからまっすぐ北へ向かって走れば3分でくつ!地形はこことほぼ変わらねェから坂道でくい止められりゃいいんだが!!」
ウソップとルフィのやりとりを見ていたチロリは場所が分からないので案内を頼もうとしたが、ナミがきゃあ!と急に悲鳴を上げそちらを見る。
「まずいっ!北の海岸ってったら私たちの船がある場所だ!!船の宝が取られちゃうっ!!」
「なっ!」
ナミが命より大事にしている宝が取られてしまう!とナミが困っているところを見て冷静さが欠けてしまったチロリ。
ずだっ!!
「20秒でそこ行くぞ!チロリ!!」
「おう!ルフィ!」
ルフィが駆け出したのを見てチロリも一緒にまっすぐ走り出した。
どどどどどどどっ!!
「北へまっすぐ!」
「北へまっすぐ!」
ルフィとチロリがそう言いながら走っている。ルフィも足速いなとチロリは感じていた。チロリも素早さが売りなところがあるため足には自信があったのだが鍛錬し直しだな…と少し反省しながらルフィと言われた通りまっすぐ走る。
「ってあれ!?」
「村に出ちまったぞ!?チロリ!」
「おっかしーな…北って言ってたのに」
「そうだよな!?寒そうな方角にまっすぐだと思ったの…に…あ!!!!」
いつの間にか村に来てしまい焦るルフィとチロリ。ルフィが隣にいるチロリの方へ顔を向けると大きな声を出した。
「な、なんだ!?」
「チロリじゃねェかよ!!迷子になるに決まってるじゃん!!!」
「な!失敬な!!迷子じゃないもん!!というかルフィについて来たらこうなってるんだぞ!」
迷子常習犯を連れてきてしまい役に立たない事に気づいてしまったルフィ。チロリは眉毛をハの字にして自信がない反論をする。
「北って寒い方って思うよな」
「え、そうじゃないのか?」
「ああ!チロリと同じ考えってことは違ェじゃねェか!!」
「えええっ!基準そこ!?」
「とにかくおれから離れんなよチロリ!」
「わかった!北の海岸へ急ごう!!」
結構失礼なことを言われているが自分のせいだと5%くらい思ってるチロリはルフィに従って走ることにした。
「北へまっすぐ!」
「北へまっすぐ!」
ーーーーーーーーーーーー
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ガシッ
「待て!!!村へ行くな!!!!」
「うるせェ!邪魔だァ!!」
ドカッ!!
「う"っ!」
先に北の海岸へ辿り着いていたウソップとナミがクロネコ海賊団と戦っていたが2人とも攻撃を喰らい動けない状態になっていた。
そうしていると海賊たちがどんどん坂を登って村へ行こうとする。ウソップは頭を殴られ血を出しながら動けない身体で必死に海賊へ掴み掛かるが蹴り飛ばされてしまう。
「やめてくれ頼むからっ!!!みんなを殺さないでくれェえ!!!!」
ダダダダダダッと海賊たちが走って坂を登っていく。やめてほしいとウソップが必死に叫ぶ。
ウソップ海賊団や村の人たち、そしてカヤ…守りたいものを守らないと大切な村が壊されてしまう。ウソップは身体が動かず必死に叫んだ。
ドカッドカッドカッ…
「!」
突如スローモーションの様に坂の上に向かって行った大勢の海賊たちが吹き飛ばされた。
ズドドドドドッ
「うっぎゃあああああああ」
「!!?」
吹き飛ばされた海賊たちはウソップを通り越して叫びながら坂の下へ転がっていく。ウソップは何が起きたのか分からず驚いた顔で坂の上を見る。
「やっと来た…」
ナミが内心ホッとしながらそう呟いた。そう、坂の上では3人が立っている。
ドォン!!
「何だ今の手ごたえねェのは」
「知るか!これじゃ気が晴れねェ!!」
「散々走らされた恨みがこれで晴れるわけないだろう」
ゾロ、ルフィ、チロリの3人だ。ゾロはバンダナを頭に、チロリは襟足を結っている。土煙を立てながら合流した3人は怒っていた。
どん!
「ナミてめェ!!!よくもおれを足蹴にしやがったな!!!」
どん!
「ウソップ!北がどっちかちゃんとルフィに言ってよ!!」
どどん!
「ウソップこの野郎!迷子のチロリじゃ頼りになんねェから北ぐらいちゃんと言っとけぇ!!!」
ふんっ!と鼻息を鳴らしながら3人ともナミとウソップそれぞれに怒りがあり苦情をいれた。
「何なんですかジャンゴ船長…!」
「この村にあんなのがいるなんて…!聞いてません!!!」
「……何だ、あいつら…」
海賊たちが聞いていた事と違うと現在の船長へ叫ぶ。彼は紫色の帽子を深く被りハートのサングラスから坂の上にいる3人を見てそう呟いた。彼の名は『ジャンゴ』クロネコ海賊団の元副船長だ。現在は船長になっている。
「お……お前らこんなに強かったのか…!!」
「うん」
「そうだ」
「あんた達おっそいのよ来んのが!!」
「!カチーン
てめぇがおれを陥れいれたんだろうがよ!!」
ウソップの問いにルフィとチロリが答える。ナミの文句はゾロへ言われるがゾロはナミに敷かれた油へ落とされて大変だったと怒る。
「あれは事故よ、仕方ないでしょ2人とも落ちるより1人でも助かった方がいいじゃない」
「じゃあお前が落ちろ!!」
「だいたいだなー!!北とか北じゃないとかそうゆうのでわかるわけないだろ!!」
「そうだぞ!!ルフィと私がわかるわけないだろ!!」
「何ィ!?お前ら自信持ってまっ先に走り出したろ」
「「あれは何となくだよっ!何となく!」」
ナミとゾロ、ルフィとチロリとウソップはそれぞれの文句を言い合いする。その言い合いを見ていたジャンゴが海賊たちを起こした。
「いいか、おれ達はこんな所でグズグズやってるヒマはねェ。相手が強けりゃこっちも
そう言うとジャンゴは大きな輪っかを振り子でユラユラと揺らしながら海賊たちに語りかけ始める。
「何やってんだ、あいつら」
「さァな」
「催眠術よきっと…!
「ふぇーあの野郎が言ってた催眠術師か」
「……」
ジャンゴのことを知らない3人は今から何が起きるのか分からなかったがナミが催眠術だと教えてくれる。チロリは感心しながら呑気にジャンゴのことを見ている。
「ワンッ
ツーッ
ジャンゴ!!!」
ぐいっ
「なんだ!?」
3人が坂の下まで転がした海賊たちはボロボロのフラフラだったのだがジャンゴが催眠をかけるとウオオオオオオーーーー!!!と活気盛んになり始めた。
「ちょ、ゾロ!何も見えない」
催眠とは別に騒いでいる人が1人。
「催眠術だっつってんだろ、何で最後までちゃんと見てんだよ」
「あ、そういうことか。すまない助かった」
ゾロはまさかと思い隣を見るとジャンゴの催眠を敵と一緒になって呑気に見ているチロリを発見。
やばいと感じるとぐいっとチロリの顔を左手で引き寄せ、もう右手で両目を塞いだ。ゾロの手が大きいのもあるがチロリの頭も小さいため彼の片手で顔のほとんどを覆えた。
(ちっさい頭だな、力を込めたら潰れちまいそうだ)
ぎゅ…
「いでででででで!!!」
…ぱっ
「ッハ!!ってちょっとゾロさん!?痛かったよ!?」
チロリの顔面を片手で掴み少し力を込めたゾロ。もちろん痛がるチロリであったが「ちょ、ゾロ!聞いてる!?」と怒る声も彼には届かず、ゾロは彼女の頭を掴んでいた右手をじーっと見ながら握ったり開いたりしていた。
「ぬん!!」
ピキピキ…ドゴーーーン
「ウオオオオオオ!!!」
「えっ!?」
「!崖をえぐりやがった……!なんてパワーだ!!」
催眠にかかりパワーが上がっている海賊たちのうちの1人が崖を殴ると一角がえぐれ、崩れた。その音にふたりも気づき坂の下をみたが先程と違うパワーに驚き声をあげる。
睡眠の力を目の当たりにし焦りだしたナミとウソップに、ゾロは「お前ら坂の上にあがってろ!」と伝える。ナミはウソップを肩で支えながら坂の上にむかった。
「ここはおれ達がやる…!!おいルフィ!チロリ!」
「あいあいさー!!」
「……」
「ルフィ!?」
「え、ルフィどうした!」
坂の下から催眠で元気になった海賊たちが雄叫びを上げむかってくる。戦闘を始めるためにゾロが刀を抜こうと構えて2人を呼ぶ。チロリはすぐ返事をして同じく刀を抜こうと構えるが、ルフィが黙ったまま俯いている。ふたりはルフィの様子に驚き焦りながら声をかけた。
「うおああああああああーーーーーっ!!!」
「「お前も催眠にかかってんのかァ!!!」」
ルフィが雄叫びを上げて両手をあげた。その姿は催眠にかかった海賊たちに似ていた為ふたりはルフィが催眠にかかった事をすぐ理解した。
「ゴムゴムのっ!!
ドドドドドドドッ!!!
「!!?手が…」
坂の下から向かってきていた海賊たちをルフィが一網打尽にする。ゴムゴムの実で手が伸びた彼を見たウソップは驚き呟いた。
「うおおおおお」と叫びながらルフィが海賊を追うと先程の攻撃で催眠が切れた海賊たちは「いやああああ!!」と泣きながら逃げていた。
その姿を見ていたチロリはもうこれやる事ないんじゃないの?と思った。
「!?」ばっ!
(なんだ?一瞬だけ殺気を感じた気がしたんだが…)
林のほうから強い殺気を感じたチロリは目を細めて林を見たがそのほかに何も感じられなかった為首を傾げる。
「ワン・ツー・ジャンゴで眠くなれっ!!
ワン・ツーッ・ジャンゴ!!!」
その催眠の合図が聞こえ森から海岸へ視線を戻したチロリ。なんと船首の下敷きになりながら催眠にかかり寝ているルフィがいた。辺りは静かになった。
「なんかほぼ全滅って感じするわね」
「おい…そんなことよりあいつが船首の下敷きに!!」
「ん?ああルフィは大丈夫だよ」
「お前は自分の出血の心配してろ」
坂の横の崖に避難しているナミとウソップがふたりへ声をかける。ふたりはルフィなら大丈夫だろうと自分の仕事をしようと刀を抜いた。
「おいおいブチ!来て見ろよ、えれェこった船首が折れてる!!」
「なに船首がァ!?おいおいどういう理由で折れるんだ!!」
「「…!?」」
「何かまだ船にいるみたいだぜ…」
「ほんとだ、私たちの仕事まだあったね」
海賊船から何やら新しい声がし、驚くナミとウソップ。新たな声の主はルフィが壊した黒猫の船首を見て驚いているようだった。
ルフィのせいで暴れ足りなかったふたりは自分たちの仕事があることを少し喜びながら話していた。
「そうだ、おれ達にはまだこいつらがいる!
下りて来いっ!!!切り札"ニャーバン・
ジャンゴがそう叫ぶと海賊船から2人の影が飛んできた。
スタタッ…!
「来たか"ニャーバン・兄弟"」
「およびで、ジャンゴ船長」
「およびで」
「なにあれ」
「すげェ…あの高さから着地した…!ねこみてぇだ」
高さのある海賊船から飛んできた2人は船の番人ニャーバン・兄弟。太っちょな見た目の『ブチ』と細い見た目で鋭い爪をつけているのが『シャム』。
高いところから静かに着地したニャーバン・兄弟を見たナミとウソップは目を丸くし、ゾロとチロリは静かに相手の行動を見ていた。
「ブチ、シャム
おれ達はこの坂道をどうあっても通らなきゃならねェんだが、見ての通り邪魔者がいる!!あれを消せ!!」
ぎくっ!
「そ…そんなムリっすよォぼく達には!なァブチ」
「あ、ああ、
ジャンゴの命令に冷汗を流しながら焦り、狼狽えるニャーバン・兄弟。
「な…!!何だあいつら切り札じゃなかったのか!?」
「あ?」
「ねェあいつらまるで
「そうね…ゾロに完全にびびってるわね…」
ニャーバン・兄弟の反応に威厳を感じなく、切り札と呼ばれるには弱そうだと4人は思った。
チロリは自分のことを眼中に入れてない彼らに怒り顔をむすっとする。
その間も「だいたいぼくらはただの船の番人なんですよ」などと戦いたくないのか彼らは色々言い訳をしていた。するとジャンゴが怒り出す。
「シャム!!さっさと行かねェか!!!」
「え!?ぼくですかァ!!?」
「急げ!!!」
「わ、わかりましたよ!行きますよっ!」
ジャンゴに怒鳴られべそをかきながら坂を走り出したシャム。
「おいお前覚悟しろーーっ!このカギヅメでひっカクぞーっ」
「ちょ、どうしようゾロ!」
「あれをおれにどうしろっつうんだよ!」
どどどどっ!とこちらを見ずに一心不乱な状態でゾロに向かってくるシャムにふたりが動揺した。
「お前っ!!止まらねェと斬るぞっ!!」
戦意のない敵を止めようとゾロがシャムに向かって叫んだ。
「斬れるもんならな…」ギラリ
「!!?なに…!!」
「なっ!!?」