東の海
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「チロリ、起きろ」
ゾロに揺さぶられてチロリは目を覚ました。
「…ん、るふぃきたのか、?」
「いや、ルフィを探しに行く」
「?」
そう言うとゾロは「よいしょ」と言い目がまだ完全に開いてないチロリを脇に抱えて歩き出した。
歩きながら催眠術の男の事、ウソップが町へ走って行った事、ウソップ海賊団が海岸まで案内してくれている事をナミが説明してくれた。
ザザーー…ン
「えーーーっ!!」
「カヤさんが殺される!?」
「村も襲われるって本当なの!?麦わらの兄ちゃん!!」
「ああそう言ってた、間違いねェ!」
一行は海岸へ着くと眠っていたルフィを起こし、何が起こったか聞くと彼はそう答えた。ウソップ海賊団は驚いて声をあげている。
「…それで何でお前はここで寝てたんだよ」
「それがなーおれは崖の上にいたと思うんだよなー」
ゾロが聞くと? を浮かべながら首を傾げるルフィ。そして彼はさらに疑問を追加する。
「あれ、ゾロが抱えてんのチロリか?」
「そうだ……あ?」
「zZZ」
ルフィが気になってゾロが脇に抱えているチロリを指差す。ゾロがチロリを見ると彼女はスヤスヤとまた眠りについていた。
「いつの間に…」
「おーいチロリー」
「ルフィ無駄よ、とりあえず今は寝かしておきましょ」
驚くゾロと起こそうとするルフィ。ナミも再び起こしても無駄だと思いルフィを止める。
すると、
「おれもチロリ持ってみたい」
「持つって…あんたチロリは物じゃないのよ」
ルフィがそう言いチロリへ手を伸ばす。
が、ゾロがぎゅっと抱えてる手に力を込めてそれを阻止した。
「……??」
「?…まあ今はいいや!」
「お、おう…?」
ゾロは無意識でやった行動らしく、ゾロ自身が? マークを思い浮かべている。ルフィも疑問に思ったのか2人して? を浮かべ首を傾げていた。
「ルフィはまだしも何でゾロも分かんないのよ…」
その様子を見ていたナミは呆れながらそっと呟いた。
「ん…」
「お、チロリ起きたぞ」
「あら、チロリおはよう」
ルフィとナミがチロリが起きた事に気づき声をかける。彼女はまだ寝ぼけているのか「うん…」と言いながら目の前の温もりに甘えるようにぐりぐりと頭を擦り付けた。
このにおいと温もり心地良いな。なんだかよく知ってる気がする…
ガバッ!
「…っは!!ゾロ!?」
「あ、起きちゃったわね」
今度こそしっかり目が覚めたチロリは勢いよく顔を上げるとゾロにおんぶされていた。脇に抱えていたチロリを見たナミが「あんたその持ち方は変えたら?」と言われていつの間にかおんぶに変更していた。先程はゾロの肩口へ頭をぐりぐりしていたようだ。
「すまないゾロ、重かっただろ!?降りるよ!」
慌てたチロリはゾロに謝罪をして降ろしてもらおうとしたが彼は無視をしながら前を見て歩いている。
「……」
「…ゾロ?」
あ、これは何だか気に食わない事があった時のやつだ。とチロリは気づく。だが考えても何がいけなかったか分からなかった。恐る恐る声を掛けてみる。
「…………」
「あの?ゾロさん?」
「……………」
「起きたから、降ろしていいぞ?」
「…………………」
「その、重いだろうし…」
「……そうか、おれがお前ごときを重く感じるような柔な鍛錬をしてるって言いてェのか」
「え"っ!怒ってる理由それ!?」
「鍛錬が足りねェようだから重い チロリで筋トレさせてもらうわ」
ゾロはそう言うと「よいしょ」とおんぶしている彼女の足を逃さないように腕に力を込める。
「ひぃ!!ごめんゾロ!降ろせって!」
「ア-オモイナ-」
降ろしてくれない事を察したチロリはビビりながらゾロへ謝るが彼は前を向いたまま聞く耳を持たない。
「すまないゾロ!だから降ろせよ!」
こちらを向いてくれない彼が怒っていると勘違いしているチロリは謝るが、ゾロはニヤリと悪い笑みを浮かべながら必死になっている彼女を揶揄っていた。
「頼む〜!!恥ずかしいからもう降ろしてくれェ!!!」
「というわけで、村とお嬢様が襲われるから明日の夜明けまでにみんなで逃げようと話していたところよ」
「それは先に知れて良かったな、ルフィとウソップのおかげだ」
海岸で目撃した出来事を大まかにナミが説明してくれ、一行は村へ歩いていた。チロリはゾロの背中から降りられたようだ。辺りは陽が落ち始め空はオレンジ色になっていた。
すたすたすた…
「あ!キャプテン!!!」
「…よお!お前らか!」
前から歩いてくるウソップを見つけたウソップ海賊団たち。ウソップはこちらに気づくと彼らに右腕で気づかれないよう涙を拭き声を掛けた。
「キャプテン!!話は聞きましたよ!!海賊のこと、早くみんなに話さなきゃ!!」
「……みんなに…」
「とんでもない悪党は…あなたじゃないっ!!」
「暴行だと!?そこまでおちたかウソップ!!」
ウソップは先程村やカヤに逃げるように走り回っていた出来事を思い出していた。毎日嘘をついていた彼の言う事を誰も信じてはくれなかったのだ。
さらにカヤの屋敷では銃の弾が左腕に掠ってしまい傷口から血が滲み出ていた。ウソップはその腕を後ろに組み隠す。
「はっはっはっはっはっはっ!!!」
「?」
どーーん
「いつものウソに決まってんだろ!!あの執事の野郎ムカついたんで海賊にしたててやろうと思ったんだ!!」
「ん??」
「「「……」」」
急に笑い出したウソップは今までの話はウソ だと言い始めた。一緒に目撃したルフィは嘘扱いされて顔をムッとさせる。
「えーっ!!ウソだったんですか!?」
「なーんだ、せっかく大事件だと思ったのに」
「くっそー!麦わらの兄ちゃんもキャプテンのさしがねか!」
「え?」
違う、今ウソップは嘘をついている。ナミもゾロもきっと気づいているな。
…何か、あったんだろうな。左腕を隠しているのも気になる。
「………でもおれ、ちょっとキャプテンをけいべつするよ」
「おれもけいべつする!!」
「ぼくもだ!いくらあの執事がやな奴でもキャプテンは人を傷つけるようなウソ絶対につかない男だと思ってた…!」
ウソップ海賊団たちがちゃんとした意味がわかって使っているのかわからないが彼らへ「軽蔑」を口にする。
「………」
その後「帰ろうぜ」と言いながら彼ら3人は家へ帰って行った。その背中をウソップは黙って見つめていた。
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー
ザザー
辺りは暗く月も輝く夜になっていた。ルフィとウソップがクラハドールたちを目撃した海岸で5人は集まっていた。ウソップは岩に腰をおろし、ルフィ達へ真実を話す。
「おれはウソつきだからよ、ハナっから信じてもらえるわけなかったんだ。おれが甘かった!!」
「甘かったって言ったって海賊は本当に来ちゃうんでしょう?」
ウソップが村中走り回って真実を伝えたところで誰も信用しなかった。その話を聞いてナミが口を出す。
「ああ間違いなくやってくる。
でもみんなはウソだと思ってる!明日もまた平和な1日がくると思ってる…!」
「たしかに、そうだろうな」
「だからおれは、」
ウソップの言葉にチロリは頷く。そして覚悟を決めたウソップは立ち上がり言葉を続けた。
どん!!!
「この海岸で海賊どもを迎え撃ち!!!
この一件をウソにする !!!
それがウソつきとして!!おれの通すべき筋ってもんだ!!!」
「「「「!」」」」
ウソップの覚悟を聞き、4人とも目を開く。すとんと再び座り、俯いて彼は続ける。
「……腕に銃弾ブチ込まれようともよ、ホウキ持って追いかけ回されようともよ…!ここはおれの育った村だ!!
おれはこの村が大好きだ!!!みんなを守りたい……!!
こんな、わけもわからねェうちに…!!みんなを殺されてたまるかよ…!!!」
うつむき、涙をこぼしながらウソップは語る。そんな彼を見た私たちは顔を見合わせる。一瞬だけ目で語り合ったがすでに4人とも同じ考えだ。
「とんだお人好しだぜ、子分まで突き放して1人出陣とは…!!」
「よし、おれ達も加勢する」
「言っておくけど宝は全部私の物よ!」
「私たちも戦力に加えてくれ」
ゾロ、ルフィ、ナミ、チロリの順で協力することをウソップへ伝える。
「お前ら…一緒に戦ってくれるのか…!?な、何で…」
「だって敵は大勢いるんだろ?」
「恐ェって顔に書いてあるぜ」
ウソップが問うとルフィとゾロはそう答えた。
「お、おれが恐がっているだと!?バカいえ!!大勢だろうと何だろうとおれは平気だ!!!
なぜならおれは勇敢なる海の戦士キャプテン・ウソップだからだ!!!」
ウソップはバカにされたと思い立ち上がって反論をする。だが、立ち上がった彼の膝はガクガクと笑っていた。ウソップは「くそっ!!くそっ!!」と言いながら自身の膝を殴る。
「見世物じゃねェぞ!!相手はC ・クロの海賊団!恐ェもんは恐ェんだ!!
おれは同情なら受ける気はねェ!!てめェら帰れ!!帰れ帰れ!!」
「……」
ビビっているところを見られ恥ずかしくなったウソップは顔を赤くしながら4人へ向かって叫ぶ。
「笑ってやしねェだろ?立派だと思うから手を貸すんだ」
「同情なんかで命懸けるか!」
「…2人の言う通りだウソップ。
私たちも、共に闘わせてくれないか?君の守りたいものを一緒に守ろう」
ゾロとルフィ、チロリがウソップへ偽りのない言葉を伝える。
チロリもゾロや仲間を護りたいという目標があるため村を守りたいと奮闘するウソップの気持ちが痛いほど分かる。さらに、勇敢なる海の戦士としてかっこいいウソップへ彼女は目を輝かせていた。
「!!…う……お…お前ら…ぐすっ」
4人の温かさにウソップは嬉しくて涙を流した。そして涙をゴシゴシと拭き「作戦を建てるぞ!」と海岸にある坂へ歩き出した。
「この海岸から奴らは攻めてくる
だがここから村から入るルートはこの坂道1本だけだ、あとは絶壁」
夜も更けて三日月も上りきり下り始めていた。一行は坂を登りながらウソップの話を聞く。
「つまりこの坂道を死守できれば村が襲われる事はねェ!!」
「そうか、簡単だな」
「単純でいいな」
「お前ら何ができる?」
「「斬る」」
「のびる」
「盗む」
「逃げる」
「「「「お前は戦えよ!!」」」」
ウソップが戦力の確認でみんなの出来ることを聞いたが、自分は逃げ腰のため4人からツッコミを入れられる。
「……」
「…ウソップ?」
「あ!ちょっと待っててくれ!」
ウソップが急に黙ったのでチロリが声をかけると何か思いついたのか、彼は村のほうへ走って行った。
「よし、完璧だ!!これで奴らはもうこの坂道を登れない!!」
村から戻ってきたウソップは大量の油を持っていた。その油を坂道に敷き詰め、登ってきた海賊団たちが足を滑らす作戦だ。
「逆に自分達が滑り落ちなきゃいいけどね、蟻地獄に飛び込む様なものだもん」
「たしかに気をつけないとな」
ナミが他の4人に向けて油のことを言うとチロリは納得をする。
「お前よくこんなチョコザイな事思いつくなー」
どーーん
「そりゃそうだ!!!おれはチョコザイさとパチンコの腕にかけては絶対の自信を持ってる!!!」
ルフィは油に滑らないように、でも気にはなるため足の先でチョンチョンとつつきながらウソップへ言うと、彼は誇らしげに腕を組んで言った。
「…あ」
「夜明けだ、来るぞ…」
地平線から明るい光が差した。その光に気づいたチロリが思わず声を出すと、同じく太陽に気づいたゾロが気合を入れるために言った。
それぞれの夜明けが始まるーーーーーー。
ゾロに揺さぶられてチロリは目を覚ました。
「…ん、るふぃきたのか、?」
「いや、ルフィを探しに行く」
「?」
そう言うとゾロは「よいしょ」と言い目がまだ完全に開いてないチロリを脇に抱えて歩き出した。
歩きながら催眠術の男の事、ウソップが町へ走って行った事、ウソップ海賊団が海岸まで案内してくれている事をナミが説明してくれた。
ザザーー…ン
「えーーーっ!!」
「カヤさんが殺される!?」
「村も襲われるって本当なの!?麦わらの兄ちゃん!!」
「ああそう言ってた、間違いねェ!」
一行は海岸へ着くと眠っていたルフィを起こし、何が起こったか聞くと彼はそう答えた。ウソップ海賊団は驚いて声をあげている。
「…それで何でお前はここで寝てたんだよ」
「それがなーおれは崖の上にいたと思うんだよなー」
ゾロが聞くと
「あれ、ゾロが抱えてんのチロリか?」
「そうだ……あ?」
「zZZ」
ルフィが気になってゾロが脇に抱えているチロリを指差す。ゾロがチロリを見ると彼女はスヤスヤとまた眠りについていた。
「いつの間に…」
「おーいチロリー」
「ルフィ無駄よ、とりあえず今は寝かしておきましょ」
驚くゾロと起こそうとするルフィ。ナミも再び起こしても無駄だと思いルフィを止める。
すると、
「おれもチロリ持ってみたい」
「持つって…あんたチロリは物じゃないのよ」
ルフィがそう言いチロリへ手を伸ばす。
が、ゾロがぎゅっと抱えてる手に力を込めてそれを阻止した。
「……??」
「?…まあ今はいいや!」
「お、おう…?」
ゾロは無意識でやった行動らしく、ゾロ自身が
「ルフィはまだしも何でゾロも分かんないのよ…」
その様子を見ていたナミは呆れながらそっと呟いた。
「ん…」
「お、チロリ起きたぞ」
「あら、チロリおはよう」
ルフィとナミがチロリが起きた事に気づき声をかける。彼女はまだ寝ぼけているのか「うん…」と言いながら目の前の温もりに甘えるようにぐりぐりと頭を擦り付けた。
このにおいと温もり心地良いな。なんだかよく知ってる気がする…
ガバッ!
「…っは!!ゾロ!?」
「あ、起きちゃったわね」
今度こそしっかり目が覚めたチロリは勢いよく顔を上げるとゾロにおんぶされていた。脇に抱えていたチロリを見たナミが「あんたその持ち方は変えたら?」と言われていつの間にかおんぶに変更していた。先程はゾロの肩口へ頭をぐりぐりしていたようだ。
「すまないゾロ、重かっただろ!?降りるよ!」
慌てたチロリはゾロに謝罪をして降ろしてもらおうとしたが彼は無視をしながら前を見て歩いている。
「……」
「…ゾロ?」
あ、これは何だか気に食わない事があった時のやつだ。とチロリは気づく。だが考えても何がいけなかったか分からなかった。恐る恐る声を掛けてみる。
「…………」
「あの?ゾロさん?」
「……………」
「起きたから、降ろしていいぞ?」
「…………………」
「その、重いだろうし…」
「……そうか、おれがお前ごときを重く感じるような柔な鍛錬をしてるって言いてェのか」
「え"っ!怒ってる理由それ!?」
「鍛錬が足りねェようだから
ゾロはそう言うと「よいしょ」とおんぶしている彼女の足を逃さないように腕に力を込める。
「ひぃ!!ごめんゾロ!降ろせって!」
「ア-オモイナ-」
降ろしてくれない事を察したチロリはビビりながらゾロへ謝るが彼は前を向いたまま聞く耳を持たない。
「すまないゾロ!だから降ろせよ!」
こちらを向いてくれない彼が怒っていると勘違いしているチロリは謝るが、ゾロはニヤリと悪い笑みを浮かべながら必死になっている彼女を揶揄っていた。
「頼む〜!!恥ずかしいからもう降ろしてくれェ!!!」
「というわけで、村とお嬢様が襲われるから明日の夜明けまでにみんなで逃げようと話していたところよ」
「それは先に知れて良かったな、ルフィとウソップのおかげだ」
海岸で目撃した出来事を大まかにナミが説明してくれ、一行は村へ歩いていた。チロリはゾロの背中から降りられたようだ。辺りは陽が落ち始め空はオレンジ色になっていた。
すたすたすた…
「あ!キャプテン!!!」
「…よお!お前らか!」
前から歩いてくるウソップを見つけたウソップ海賊団たち。ウソップはこちらに気づくと彼らに右腕で気づかれないよう涙を拭き声を掛けた。
「キャプテン!!話は聞きましたよ!!海賊のこと、早くみんなに話さなきゃ!!」
「……みんなに…」
「とんでもない悪党は…あなたじゃないっ!!」
「暴行だと!?そこまでおちたかウソップ!!」
ウソップは先程村やカヤに逃げるように走り回っていた出来事を思い出していた。毎日嘘をついていた彼の言う事を誰も信じてはくれなかったのだ。
さらにカヤの屋敷では銃の弾が左腕に掠ってしまい傷口から血が滲み出ていた。ウソップはその腕を後ろに組み隠す。
「はっはっはっはっはっはっ!!!」
「?」
どーーん
「いつものウソに決まってんだろ!!あの執事の野郎ムカついたんで海賊にしたててやろうと思ったんだ!!」
「ん??」
「「「……」」」
急に笑い出したウソップは今までの話は
「えーっ!!ウソだったんですか!?」
「なーんだ、せっかく大事件だと思ったのに」
「くっそー!麦わらの兄ちゃんもキャプテンのさしがねか!」
「え?」
違う、今ウソップは嘘をついている。ナミもゾロもきっと気づいているな。
…何か、あったんだろうな。左腕を隠しているのも気になる。
「………でもおれ、ちょっとキャプテンをけいべつするよ」
「おれもけいべつする!!」
「ぼくもだ!いくらあの執事がやな奴でもキャプテンは人を傷つけるようなウソ絶対につかない男だと思ってた…!」
ウソップ海賊団たちがちゃんとした意味がわかって使っているのかわからないが彼らへ「軽蔑」を口にする。
「………」
その後「帰ろうぜ」と言いながら彼ら3人は家へ帰って行った。その背中をウソップは黙って見つめていた。
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー
ザザー
辺りは暗く月も輝く夜になっていた。ルフィとウソップがクラハドールたちを目撃した海岸で5人は集まっていた。ウソップは岩に腰をおろし、ルフィ達へ真実を話す。
「おれはウソつきだからよ、ハナっから信じてもらえるわけなかったんだ。おれが甘かった!!」
「甘かったって言ったって海賊は本当に来ちゃうんでしょう?」
ウソップが村中走り回って真実を伝えたところで誰も信用しなかった。その話を聞いてナミが口を出す。
「ああ間違いなくやってくる。
でもみんなはウソだと思ってる!明日もまた平和な1日がくると思ってる…!」
「たしかに、そうだろうな」
「だからおれは、」
ウソップの言葉にチロリは頷く。そして覚悟を決めたウソップは立ち上がり言葉を続けた。
どん!!!
「この海岸で海賊どもを迎え撃ち!!!
この一件を
それがウソつきとして!!おれの通すべき筋ってもんだ!!!」
「「「「!」」」」
ウソップの覚悟を聞き、4人とも目を開く。すとんと再び座り、俯いて彼は続ける。
「……腕に銃弾ブチ込まれようともよ、ホウキ持って追いかけ回されようともよ…!ここはおれの育った村だ!!
おれはこの村が大好きだ!!!みんなを守りたい……!!
こんな、わけもわからねェうちに…!!みんなを殺されてたまるかよ…!!!」
うつむき、涙をこぼしながらウソップは語る。そんな彼を見た私たちは顔を見合わせる。一瞬だけ目で語り合ったがすでに4人とも同じ考えだ。
「とんだお人好しだぜ、子分まで突き放して1人出陣とは…!!」
「よし、おれ達も加勢する」
「言っておくけど宝は全部私の物よ!」
「私たちも戦力に加えてくれ」
ゾロ、ルフィ、ナミ、チロリの順で協力することをウソップへ伝える。
「お前ら…一緒に戦ってくれるのか…!?な、何で…」
「だって敵は大勢いるんだろ?」
「恐ェって顔に書いてあるぜ」
ウソップが問うとルフィとゾロはそう答えた。
「お、おれが恐がっているだと!?バカいえ!!大勢だろうと何だろうとおれは平気だ!!!
なぜならおれは勇敢なる海の戦士キャプテン・ウソップだからだ!!!」
ウソップはバカにされたと思い立ち上がって反論をする。だが、立ち上がった彼の膝はガクガクと笑っていた。ウソップは「くそっ!!くそっ!!」と言いながら自身の膝を殴る。
「見世物じゃねェぞ!!相手は
おれは同情なら受ける気はねェ!!てめェら帰れ!!帰れ帰れ!!」
「……」
ビビっているところを見られ恥ずかしくなったウソップは顔を赤くしながら4人へ向かって叫ぶ。
「笑ってやしねェだろ?立派だと思うから手を貸すんだ」
「同情なんかで命懸けるか!」
「…2人の言う通りだウソップ。
私たちも、共に闘わせてくれないか?君の守りたいものを一緒に守ろう」
ゾロとルフィ、チロリがウソップへ偽りのない言葉を伝える。
チロリもゾロや仲間を護りたいという目標があるため村を守りたいと奮闘するウソップの気持ちが痛いほど分かる。さらに、勇敢なる海の戦士としてかっこいいウソップへ彼女は目を輝かせていた。
「!!…う……お…お前ら…ぐすっ」
4人の温かさにウソップは嬉しくて涙を流した。そして涙をゴシゴシと拭き「作戦を建てるぞ!」と海岸にある坂へ歩き出した。
「この海岸から奴らは攻めてくる
だがここから村から入るルートはこの坂道1本だけだ、あとは絶壁」
夜も更けて三日月も上りきり下り始めていた。一行は坂を登りながらウソップの話を聞く。
「つまりこの坂道を死守できれば村が襲われる事はねェ!!」
「そうか、簡単だな」
「単純でいいな」
「お前ら何ができる?」
「「斬る」」
「のびる」
「盗む」
「逃げる」
「「「「お前は戦えよ!!」」」」
ウソップが戦力の確認でみんなの出来ることを聞いたが、自分は逃げ腰のため4人からツッコミを入れられる。
「……」
「…ウソップ?」
「あ!ちょっと待っててくれ!」
ウソップが急に黙ったのでチロリが声をかけると何か思いついたのか、彼は村のほうへ走って行った。
「よし、完璧だ!!これで奴らはもうこの坂道を登れない!!」
村から戻ってきたウソップは大量の油を持っていた。その油を坂道に敷き詰め、登ってきた海賊団たちが足を滑らす作戦だ。
「逆に自分達が滑り落ちなきゃいいけどね、蟻地獄に飛び込む様なものだもん」
「たしかに気をつけないとな」
ナミが他の4人に向けて油のことを言うとチロリは納得をする。
「お前よくこんなチョコザイな事思いつくなー」
どーーん
「そりゃそうだ!!!おれはチョコザイさとパチンコの腕にかけては絶対の自信を持ってる!!!」
ルフィは油に滑らないように、でも気にはなるため足の先でチョンチョンとつつきながらウソップへ言うと、彼は誇らしげに腕を組んで言った。
「…あ」
「夜明けだ、来るぞ…」
地平線から明るい光が差した。その光に気づいたチロリが思わず声を出すと、同じく太陽に気づいたゾロが気合を入れるために言った。
それぞれの夜明けが始まるーーーーーー。