東の海
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ばん!!!!!
ボタ…ボタ…
「ああ…!見てるだけで倒れそう」
「いけっゾロ!!」
「やっちゃえーゾロー!」
「あんたも血出てるんだから気をつけなさい!」
ゾロは自分で斬った深手から血が出続けているためボトムの左側が血で染まっていて地面にも血溜まりが出来ている。
だんだん顔色も悪くなってるな…とチロリは思うが今はゾロを尊重して応援のほうが大事だと思いルフィと応援をする。
「おれはこの先剣士と名乗る野郎には、たった一度でも敗ける訳にはいかねェんだ!!」
「成程…強い志の成せる業 か…
だがまァ安心しろそれだけの重傷で相手がこのおれとあっちゃあ敗けの言い訳 には充分だ」
カバジはゾロの言葉を聞き、イかれた行動の意味に気づいた。だがむしろ逆効果、その深手で自分が敗ける訳がないと彼はほくそ笑む。
「……逆だ!」
だがゾロは違う。
バシッ!!
「これくらいの傷でてめェごときに敗けたとあっちゃ…おれのこの先が思いやられるよ…!!」
「……!!てめェ…!」
ニヤッとゾロは笑うと構える。血だらけなのに強気な彼にカバジは苛ついた。
「聞いて!」
「ん?」
ポンっとルフィの肩に手を置いて航海士がルフィに声をかけている。チロリはゾロから目を離したくないため、ルフィに航海士の話は託すことにして戦いを見る。
「おれの最高の曲技を味わうがいい!!ロロノア・ゾロ!!」
カバジはそう言うとコマを大量に飛ばす。ゾロが大量のコマを刀で弾き返している間にカバジは近くの建物の壁を一輪車で登る。
「わぁ、器用だな…」
思わずチロリは感心した声をあげる。壁を登りきったカバジは空中を飛ぶ。
だんっ
「曲技!"納涼打ち上げ花火"!!」
「!」
「うわっ高ェ!!」
ルフィが呟く。航海士との話は終わったみたいでいつの間にか航海士の姿もなかった。
シュピーン
「"一輪刺し"!!!」
カバジは空中で刀を構えて、落下の勢いを使って攻撃を仕掛けてきた。
ゴオオオオオ
すっ
「地をはうバラバラ砲 ーう!!」
ドヒュン!!
「!!」
突然カバジの落下中にバギーが右手を飛ばしてきた。地面をスレスレで飛んだ右手はゾロに向かっていく。
「カバジッ!おれが抑える!ゾロを仕留めろ!!!」
「御意」ニヤッ
「てめェら…!!」
ゾロは出血が多く息切れをし、手負の状態だ。バギーの片手でも動きが鈍りカバジの攻撃をくらってしまうだろう。右手はどんどんゾロに近づいてくる。
ビュン!!!
ドスン!!!!!!!!!!
「ぎいやああああああ!!」
「…!ルフィ!」
ルフィが地面スレスレを飛んでいた右手を踏み、止めた。痛みを感じるようでバギーは声をあげる。
どん!!
「ゾロの野望 に手を出すな!!!」
カチャ…
「そうだよ、ゾロの野望 は私の野望でもあるからな」
「おお!チロリ!!!」
「あいつ…!いつの間に!!」
チロリはバギーの背後にある崩れた酒場の上に座っていた。座りながら瓦礫の中で寝転んでいるバギー一味の下っ端の首に刀を当てていた。バギーはいつの間にか背後にいたチロリに驚く。
「"まだ"気絶したフリしといた方がいいんじゃない?」
チロリは刀を首に当てたままそう下っ端に言うとフッと笑った。彼女はバギーがカバジの手助けをしようとした時に、自分達もと動こうとした"気絶をしたフリをしている下っ端たち"を見逃さなかった。その上でルフィがバギーの方へ動いてくれると信じて酒場まで向かったのだ。
「チロリやっぱ速ェなァ!」
「ははっありがとう」
「へっ…」ニッ
ゾロは仲間の動きを見ると喜び笑う。
「船長の手を借りずとも貴様くらい殺せるわ!!」
ビュン!!!
ガッ!!!!
そんな攻防の中落下したカバジがゾロ向かって落ちてきたがゾロは間一髪避ける。
「ちっ」とカバジが舌打ちをするがフラフラのゾロを見て顔はにやけている。
ドクドク…
(ゾロ、血が出過ぎだ)
チロリは自分のことを棚にあげてゾロの出血量を心配するが彼女はも先ほど動いた影響で包帯に血が滲み出ている。
「ハアハア…もういい…疲れた…」
「!?」
間一髪避けたゾロが起き上がりながら呟く。突然の言葉にカバジは驚いた。そして笑い出す。
「疲れた?…ククククさすがに貧血ぎみか?とうとう勝負を諦めたな!まァ当然と言えば当然…!!
むしろその深手でよく今まで立っていられたと…」
ガシャァン!!!!
「!!?」
カバジの乗っていた一輪車を蹴り、カバジは崩れる。完璧に舐めきっていたゾロの急な動きに彼は追いつかなく驚きながら地面から顔を上げる。
ギンッ!!
「お前の下らねェ曲技 につきあうのが疲れたって言ったんだ!!」
「………!!」
あれはまずそう…とチロリは苦笑する。たしかに剣じゃなく曲技につきあう暇なんて今のゾロにはないだろう。
「な、ならばこの辺でとどめを刺してやろうか!!おれの本物の剣技で!!」
焦ったカバジがゾロへ向かおうと刀を構える。ゾロも呼吸を整えると三刀流を構えた。
「鬼…」
スゥ…
(決まったな…)
「斬り!!!!!!!!」
ズバッ!!!!!!!!
「カバジ!!!」
ゾロの"鬼斬り"の構えを見てチロリはすぐ確信した。斬られた仲間のの名前を叫ぶバギー。ルフィは勝ったゾロを見て笑顔だ。
「くそ…!我々バギー一味がコソ泥 ごときに……!ここまで……!!!」
ドサァッ…
カバジはそう言うと倒れる。だが彼らはまだ勘違いしているためゾロは言い放つ。
「コソ泥じゃねェ…」フラッ…
「海賊だ!!」ドサッ!
ゾロは頭につけていた黒いバンダナを外しながら倒れた。刀をしまう余裕もなくカランカランッとその場に落とす。血が足りなく限界だったのだろう。
「ルフィ………おれは寝るぞ」
「おう寝てろ、あとはおれがやる」にっ
誰からも邪魔をされずに決着 がつき、よかったと私はほっとした。だけどゾロと同じで血が足りない。ほっとしたのも相まって瞼が重くなってきた。
ああ眠い…。
「チロリ!!」
びよーーーん
「…え????」
突然ルフィの腕が伸びてこっちに向かってきた。身体に腕を巻きつけられて、うとうとしていたチロリは間抜けな声をだす。
ビュン!!!
「うおおおおおおおっ!!?」
そのままゴムの反動で飛び、彼女は空へ投げられた。
ドサッ!
「いてっ…………あ」
「お前も寝てろ、あとはおれがやる」にいっ
空中から落とされたチロリは間抜けな声をあげるが、横を見るとゾロが倒れている。ルフィはゾロの側までチロリを運んでくれたようだ。
「ありがとう、よろしく船長 」
どさっ
ルフィはうとうとしながら顔が白いチロリに気を遣ってくれたのだろう。ルフィの言葉に甘え、彼女は意識を飛ばすのだった。
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー
パンパン
「おい、ゾロ、チロリ起きろ!行くぞ」
「…んぅ」
「…ん?」
ルフィにペチペチパンパン叩かれてゾロとチロリは目を覚ます。
ムクッ
「……!カタはついたのか」
「ああ、海図も宝も手に入れた」
「ははっルフィ流石だ」
起き上がり状況を確認したふたりは立ち上がろうとするがめまいがする。
「……あーダメだ歩けそうにねェ」
「おー…くらくらする…」
「あたり前よ、それで歩けたら人とは認めないわよあんた達3人とも」
「何でおれも入ってんだ?」
「あんたが1番疑わしいのよ!!」
「私も入っているのか…」とチロリが呟くとルフィ同様に航海士に怒られる。
「あ、町長のおっさんも起こさなきゃな!」
「めっちゃ伸びてるな」
プードルは戦いの序盤にルフィに退場させられてからずっと地面に伸びていた。
すると「君達…」と声をかけてきた男がいた。ルフィたちは驚いて声のした方へ顔を向ける。
ザッ
「おれ達はこの町の住人だ。海賊の仲間割れでも起きたのか…何か知っていたら教えてくれ…!」
「なんだ…町の人か、まだ仲間がいたのかと思った。教えろと言われたら教えない事もないんだけど…」
町の住民たちが町の様子を見にやってきたようだった。バギー一味のの生き残りじゃなくてほっとした航海士は得意げに住民たちに今までの出来事を話そうとするが、
「あっ!町長っ!!」
「何て事だ!しっかりして下さい!!」
「くそっ!一体ここで何があったんだ!」
「海賊達の仕業に違いない!!」
倒れた町長プードルを見つけた町の人達。ルフィがやってしまったと言えない雰囲気になり、航海士は冷や汗をかいている。
どーーーーん
「あ、ごめん。そのおっさんはおれがぶっ倒した!」
ギロッ
「何!?」
「あ、言っちゃったよゾロ」
「ほっとけ」
ルフィは素直に自分がやったと町の人達へ伝え、何人もの大人から睨まれる。焦った航海士がルフィへ口を出すも「お前も見てたろ」の一言で片付けている。
チロリはゾロへやばそうだと伝えるがほっとけと言われ、笑いを堪えて見守る。
「お前ら!うちの町長をこんな目に合わせてといて言い訳は聞かんぞ!!」
「何者だ!!まさか海賊か!?」
(う…殺気…!ここでうっかり泥棒だの海賊だの言っちゃったら殺されそう…!)
航海士は先ほどより多い冷や汗をかいて逃げる言い訳を考えるが、
どーーーーーーーーん
「海賊だ!」
「!!!」
ザザッ
「やっぱりそうか!!」
「……っぷw」
「はははww」
「ばかっ!!!」
「ほんとだろ!」
ルフィは嘘がつけない正直者だ。海賊 に対して敏感になっているこの町の住民に思いっきりタブーな用語をだしてしまう。
笑いが耐えれなくなったチロリとゾロは思わず吹き出して笑い出す。航海士はルフィに怒るが町の住民が待ってくれるはずもなく武器を手に持って向かってきた。
ダッ
「逃げろっ」
「もうっ!」
「あ!逃げるぞ!!」
「追えェ!!」
航海士は宝の袋を1つ持ち、ルフィはゾロとチロリのふたりを抱えて走り出す。
チロリはルフィの右肩に米俵のように抱えられながらもう1つの宝の袋を持っていた。
「すまないルフィ!重いだろう!?」
「いんや!チロリちっさいから宝持ってるのと変わらねェよ!ゾロは重いけどっ」
「絶対逃さんぞ!」
「町長の敵をとってやる!!」
走りながらチロリは申し訳なくなるがルフィが力持ちで良かったと思った。町の住民はまだ追いかけてくる。
「いい町だな!!」
「え?」
「町長のおっさんの一人ためにあんなにみんなが怒ってる!」
ルフィがそう言うとチロリは顔を上げ追ってくる町の住民を見る。
「あははっ本当だ!」
「どんな言い訳してもきっとあいつら怒るぜ!」
「……!」
そしてルフィたちは曲がり角を曲がり大通りから外れる。「路地へ逃げたぞっ!」と町の住民たちも追いかけるため路地へ曲がろうとすると、
「ワン!!!」
「うおっ!!」
キキーッ
「シュシュ!」
「犬!」
「おーシュシュ元気だった!」
シュシュが町の住民たちの行く手を阻んでいた。シュシュがいるため路地へ進めない町の住民たち。
「グルルルルル…!」
「シュシュ!あいつらは悪い海賊なんだ!そこをどけ!」
ルフィに抱えられながら背後の様子をチロリは見ていた。シュシュはルフィへ恩を返そうと町の住民たちに何を言われようと退かないようだった。ルフィもチロリもその様子に笑顔になりながら港へ走った。
ボタ…ボタ…
「ああ…!見てるだけで倒れそう」
「いけっゾロ!!」
「やっちゃえーゾロー!」
「あんたも血出てるんだから気をつけなさい!」
ゾロは自分で斬った深手から血が出続けているためボトムの左側が血で染まっていて地面にも血溜まりが出来ている。
だんだん顔色も悪くなってるな…とチロリは思うが今はゾロを尊重して応援のほうが大事だと思いルフィと応援をする。
「おれはこの先剣士と名乗る野郎には、たった一度でも敗ける訳にはいかねェんだ!!」
「成程…強い志の成せる
だがまァ安心しろそれだけの重傷で相手がこのおれとあっちゃあ
カバジはゾロの言葉を聞き、イかれた行動の意味に気づいた。だがむしろ逆効果、その深手で自分が敗ける訳がないと彼はほくそ笑む。
「……逆だ!」
だがゾロは違う。
バシッ!!
「これくらいの傷でてめェごときに敗けたとあっちゃ…おれのこの先が思いやられるよ…!!」
「……!!てめェ…!」
ニヤッとゾロは笑うと構える。血だらけなのに強気な彼にカバジは苛ついた。
「聞いて!」
「ん?」
ポンっとルフィの肩に手を置いて航海士がルフィに声をかけている。チロリはゾロから目を離したくないため、ルフィに航海士の話は託すことにして戦いを見る。
「おれの最高の曲技を味わうがいい!!ロロノア・ゾロ!!」
カバジはそう言うとコマを大量に飛ばす。ゾロが大量のコマを刀で弾き返している間にカバジは近くの建物の壁を一輪車で登る。
「わぁ、器用だな…」
思わずチロリは感心した声をあげる。壁を登りきったカバジは空中を飛ぶ。
だんっ
「曲技!"納涼打ち上げ花火"!!」
「!」
「うわっ高ェ!!」
ルフィが呟く。航海士との話は終わったみたいでいつの間にか航海士の姿もなかった。
シュピーン
「"一輪刺し"!!!」
カバジは空中で刀を構えて、落下の勢いを使って攻撃を仕掛けてきた。
ゴオオオオオ
すっ
「地をはうバラバラ
ドヒュン!!
「!!」
突然カバジの落下中にバギーが右手を飛ばしてきた。地面をスレスレで飛んだ右手はゾロに向かっていく。
「カバジッ!おれが抑える!ゾロを仕留めろ!!!」
「御意」ニヤッ
「てめェら…!!」
ゾロは出血が多く息切れをし、手負の状態だ。バギーの片手でも動きが鈍りカバジの攻撃をくらってしまうだろう。右手はどんどんゾロに近づいてくる。
ビュン!!!
ドスン!!!!!!!!!!
「ぎいやああああああ!!」
「…!ルフィ!」
ルフィが地面スレスレを飛んでいた右手を踏み、止めた。痛みを感じるようでバギーは声をあげる。
どん!!
「ゾロの
カチャ…
「そうだよ、ゾロの
「おお!チロリ!!!」
「あいつ…!いつの間に!!」
チロリはバギーの背後にある崩れた酒場の上に座っていた。座りながら瓦礫の中で寝転んでいるバギー一味の下っ端の首に刀を当てていた。バギーはいつの間にか背後にいたチロリに驚く。
「"まだ"気絶したフリしといた方がいいんじゃない?」
チロリは刀を首に当てたままそう下っ端に言うとフッと笑った。彼女はバギーがカバジの手助けをしようとした時に、自分達もと動こうとした"気絶をしたフリをしている下っ端たち"を見逃さなかった。その上でルフィがバギーの方へ動いてくれると信じて酒場まで向かったのだ。
「チロリやっぱ速ェなァ!」
「ははっありがとう」
「へっ…」ニッ
ゾロは仲間の動きを見ると喜び笑う。
「船長の手を借りずとも貴様くらい殺せるわ!!」
ビュン!!!
ガッ!!!!
そんな攻防の中落下したカバジがゾロ向かって落ちてきたがゾロは間一髪避ける。
「ちっ」とカバジが舌打ちをするがフラフラのゾロを見て顔はにやけている。
ドクドク…
(ゾロ、血が出過ぎだ)
チロリは自分のことを棚にあげてゾロの出血量を心配するが彼女はも先ほど動いた影響で包帯に血が滲み出ている。
「ハアハア…もういい…疲れた…」
「!?」
間一髪避けたゾロが起き上がりながら呟く。突然の言葉にカバジは驚いた。そして笑い出す。
「疲れた?…ククククさすがに貧血ぎみか?とうとう勝負を諦めたな!まァ当然と言えば当然…!!
むしろその深手でよく今まで立っていられたと…」
ガシャァン!!!!
「!!?」
カバジの乗っていた一輪車を蹴り、カバジは崩れる。完璧に舐めきっていたゾロの急な動きに彼は追いつかなく驚きながら地面から顔を上げる。
ギンッ!!
「お前の下らねェ
「………!!」
あれはまずそう…とチロリは苦笑する。たしかに剣じゃなく曲技につきあう暇なんて今のゾロにはないだろう。
「な、ならばこの辺でとどめを刺してやろうか!!おれの本物の剣技で!!」
焦ったカバジがゾロへ向かおうと刀を構える。ゾロも呼吸を整えると三刀流を構えた。
「鬼…」
スゥ…
(決まったな…)
「斬り!!!!!!!!」
ズバッ!!!!!!!!
「カバジ!!!」
ゾロの"鬼斬り"の構えを見てチロリはすぐ確信した。斬られた仲間のの名前を叫ぶバギー。ルフィは勝ったゾロを見て笑顔だ。
「くそ…!我々バギー一味が
ドサァッ…
カバジはそう言うと倒れる。だが彼らはまだ勘違いしているためゾロは言い放つ。
「コソ泥じゃねェ…」フラッ…
「海賊だ!!」ドサッ!
ゾロは頭につけていた黒いバンダナを外しながら倒れた。刀をしまう余裕もなくカランカランッとその場に落とす。血が足りなく限界だったのだろう。
「ルフィ………おれは寝るぞ」
「おう寝てろ、あとはおれがやる」にっ
誰からも邪魔をされずに
ああ眠い…。
「チロリ!!」
びよーーーん
「…え????」
突然ルフィの腕が伸びてこっちに向かってきた。身体に腕を巻きつけられて、うとうとしていたチロリは間抜けな声をだす。
ビュン!!!
「うおおおおおおおっ!!?」
そのままゴムの反動で飛び、彼女は空へ投げられた。
ドサッ!
「いてっ…………あ」
「お前も寝てろ、あとはおれがやる」にいっ
空中から落とされたチロリは間抜けな声をあげるが、横を見るとゾロが倒れている。ルフィはゾロの側までチロリを運んでくれたようだ。
「ありがとう、よろしく
どさっ
ルフィはうとうとしながら顔が白いチロリに気を遣ってくれたのだろう。ルフィの言葉に甘え、彼女は意識を飛ばすのだった。
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー
パンパン
「おい、ゾロ、チロリ起きろ!行くぞ」
「…んぅ」
「…ん?」
ルフィにペチペチパンパン叩かれてゾロとチロリは目を覚ます。
ムクッ
「……!カタはついたのか」
「ああ、海図も宝も手に入れた」
「ははっルフィ流石だ」
起き上がり状況を確認したふたりは立ち上がろうとするがめまいがする。
「……あーダメだ歩けそうにねェ」
「おー…くらくらする…」
「あたり前よ、それで歩けたら人とは認めないわよあんた達3人とも」
「何でおれも入ってんだ?」
「あんたが1番疑わしいのよ!!」
「私も入っているのか…」とチロリが呟くとルフィ同様に航海士に怒られる。
「あ、町長のおっさんも起こさなきゃな!」
「めっちゃ伸びてるな」
プードルは戦いの序盤にルフィに退場させられてからずっと地面に伸びていた。
すると「君達…」と声をかけてきた男がいた。ルフィたちは驚いて声のした方へ顔を向ける。
ザッ
「おれ達はこの町の住人だ。海賊の仲間割れでも起きたのか…何か知っていたら教えてくれ…!」
「なんだ…町の人か、まだ仲間がいたのかと思った。教えろと言われたら教えない事もないんだけど…」
町の住民たちが町の様子を見にやってきたようだった。バギー一味のの生き残りじゃなくてほっとした航海士は得意げに住民たちに今までの出来事を話そうとするが、
「あっ!町長っ!!」
「何て事だ!しっかりして下さい!!」
「くそっ!一体ここで何があったんだ!」
「海賊達の仕業に違いない!!」
倒れた町長プードルを見つけた町の人達。ルフィがやってしまったと言えない雰囲気になり、航海士は冷や汗をかいている。
どーーーーん
「あ、ごめん。そのおっさんはおれがぶっ倒した!」
ギロッ
「何!?」
「あ、言っちゃったよゾロ」
「ほっとけ」
ルフィは素直に自分がやったと町の人達へ伝え、何人もの大人から睨まれる。焦った航海士がルフィへ口を出すも「お前も見てたろ」の一言で片付けている。
チロリはゾロへやばそうだと伝えるがほっとけと言われ、笑いを堪えて見守る。
「お前ら!うちの町長をこんな目に合わせてといて言い訳は聞かんぞ!!」
「何者だ!!まさか海賊か!?」
(う…殺気…!ここでうっかり泥棒だの海賊だの言っちゃったら殺されそう…!)
航海士は先ほどより多い冷や汗をかいて逃げる言い訳を考えるが、
どーーーーーーーーん
「海賊だ!」
「!!!」
ザザッ
「やっぱりそうか!!」
「……っぷw」
「はははww」
「ばかっ!!!」
「ほんとだろ!」
ルフィは嘘がつけない正直者だ。
笑いが耐えれなくなったチロリとゾロは思わず吹き出して笑い出す。航海士はルフィに怒るが町の住民が待ってくれるはずもなく武器を手に持って向かってきた。
ダッ
「逃げろっ」
「もうっ!」
「あ!逃げるぞ!!」
「追えェ!!」
航海士は宝の袋を1つ持ち、ルフィはゾロとチロリのふたりを抱えて走り出す。
チロリはルフィの右肩に米俵のように抱えられながらもう1つの宝の袋を持っていた。
「すまないルフィ!重いだろう!?」
「いんや!チロリちっさいから宝持ってるのと変わらねェよ!ゾロは重いけどっ」
「絶対逃さんぞ!」
「町長の敵をとってやる!!」
走りながらチロリは申し訳なくなるがルフィが力持ちで良かったと思った。町の住民はまだ追いかけてくる。
「いい町だな!!」
「え?」
「町長のおっさんの一人ためにあんなにみんなが怒ってる!」
ルフィがそう言うとチロリは顔を上げ追ってくる町の住民を見る。
「あははっ本当だ!」
「どんな言い訳してもきっとあいつら怒るぜ!」
「……!」
そしてルフィたちは曲がり角を曲がり大通りから外れる。「路地へ逃げたぞっ!」と町の住民たちも追いかけるため路地へ曲がろうとすると、
「ワン!!!」
「うおっ!!」
キキーッ
「シュシュ!」
「犬!」
「おーシュシュ元気だった!」
シュシュが町の住民たちの行く手を阻んでいた。シュシュがいるため路地へ進めない町の住民たち。
「グルルルルル…!」
「シュシュ!あいつらは悪い海賊なんだ!そこをどけ!」
ルフィに抱えられながら背後の様子をチロリは見ていた。シュシュはルフィへ恩を返そうと町の住民たちに何を言われようと退かないようだった。ルフィもチロリもその様子に笑顔になりながら港へ走った。