Scabiosa
*10月*体育祭
部活対抗リレーでバスケ部は、パフォーマンス部門で出場することにした何かを変えなくてはと思った俺の一存で決まったことだった。
アンカーになった俺はレーンに女装姿で並ぶ。
メンバーで色々考え、「藤真は髭よりも化粧が似合う」という結論に達したのだ。俺だけってのも不平等だなと思い、みんなにも女装を強いた。高野と永野の破壊力がとにかくすごい。
隣を見れば弓道部。道着を身につけ、的に矢を当てながら走るという。道着に身を包んだ彼女は新鮮だ。いつもと少し違ったキリッとした姿に、俺は目を奪われた。秋風が吹き抜けると、同時に彼女の黒髪もなびく。
後悔…。
彼女が隣のコースにいる。
いつも何となく目で追ってたり、彼女が教室に残っていたら俺も残ってみたり、彼女を時々からかってみたり。彼女を気にしていないといえば嘘になる。というか実際かなり好きだ。
そんな彼女の隣に、女装姿で並ばなきゃいけないって。俺何やってんだろう。いくらノリ一発!とはいえ、こんな女装男?女男?(あ、それ俺じゃねーな)嫌だよな…。俺が女ならドン引きだ。
「ふじまくん!頑張ろうね。」
「おう!」
とは言ってたものの、アイドルグループばりのこのコスチューム、恥ずかしくなっきた。
バトンを渡された瞬間、どうにでもなれと、全力で駆け抜けた。結果パフォーマンス部門優勝。大差をつけて。別に嬉しくもなんともない。
「藤真くん、早いねー。一周回っても息が切れないのすごい!やっぱり日頃から鍛えてるとちがうね」
何で今日に限って話しかけてくるの?今まで彼女から俺にここまで積極的に話しかけできたことあった?わりとドライだったよね。逃げたい。
「しかも、すごい綺麗だよね。」
「ありがと。」
咄嗟に答えてしまった。ありがとってなんだ?違うだろ…?そう思った瞬間、笑い出す彼女。ああ、これ、この表情。見たかったやつだ。
「ありがとって。もちろん褒めてるんだけど…はあー、可笑しい。」
何度も思い出してはまた笑う彼女。涙まで流している。本当は彼女と一緒に笑い合いたい。
でもこっちは女装に加えて、ありがとって言葉のチョイス間違えて、二重に恥ずかしいくて笑うに笑えない。この場から立ち去りたい気持ちでいっぱいだ。
部活対抗リレーでバスケ部は、パフォーマンス部門で出場することにした何かを変えなくてはと思った俺の一存で決まったことだった。
アンカーになった俺はレーンに女装姿で並ぶ。
メンバーで色々考え、「藤真は髭よりも化粧が似合う」という結論に達したのだ。俺だけってのも不平等だなと思い、みんなにも女装を強いた。高野と永野の破壊力がとにかくすごい。
隣を見れば弓道部。道着を身につけ、的に矢を当てながら走るという。道着に身を包んだ彼女は新鮮だ。いつもと少し違ったキリッとした姿に、俺は目を奪われた。秋風が吹き抜けると、同時に彼女の黒髪もなびく。
後悔…。
彼女が隣のコースにいる。
いつも何となく目で追ってたり、彼女が教室に残っていたら俺も残ってみたり、彼女を時々からかってみたり。彼女を気にしていないといえば嘘になる。というか実際かなり好きだ。
そんな彼女の隣に、女装姿で並ばなきゃいけないって。俺何やってんだろう。いくらノリ一発!とはいえ、こんな女装男?女男?(あ、それ俺じゃねーな)嫌だよな…。俺が女ならドン引きだ。
「ふじまくん!頑張ろうね。」
「おう!」
とは言ってたものの、アイドルグループばりのこのコスチューム、恥ずかしくなっきた。
バトンを渡された瞬間、どうにでもなれと、全力で駆け抜けた。結果パフォーマンス部門優勝。大差をつけて。別に嬉しくもなんともない。
「藤真くん、早いねー。一周回っても息が切れないのすごい!やっぱり日頃から鍛えてるとちがうね」
何で今日に限って話しかけてくるの?今まで彼女から俺にここまで積極的に話しかけできたことあった?わりとドライだったよね。逃げたい。
「しかも、すごい綺麗だよね。」
「ありがと。」
咄嗟に答えてしまった。ありがとってなんだ?違うだろ…?そう思った瞬間、笑い出す彼女。ああ、これ、この表情。見たかったやつだ。
「ありがとって。もちろん褒めてるんだけど…はあー、可笑しい。」
何度も思い出してはまた笑う彼女。涙まで流している。本当は彼女と一緒に笑い合いたい。
でもこっちは女装に加えて、ありがとって言葉のチョイス間違えて、二重に恥ずかしいくて笑うに笑えない。この場から立ち去りたい気持ちでいっぱいだ。