Cotton Flower
ヒロインの名前
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クリスマスパーティー兼忘年会と銘打った飲み会が開催される。今年は幹事の趣味が多分に反映され、カラオケダーツ付きのバーのワンフロア貸切だ。ドリンクはセルフでとりにいく形式になっており、その度上司への挨拶に時間が取られる。藤真を見ると次々と違う課の上司と談笑をしている。さすがだなぁと菫は視線を戻しため息をついた。ナロータイをゆるめ、ジャケットのボタンをはずしている。カチッとしすぎない着こなしが普段の彼と違う。その姿に僅かに心が弾んでしまう。少しだけ藤真と話したい。菫は思い切って上司の前を横ぎった。
「藤真さん、お疲れ様です」
「おつかれ」
とグラスを近づける彼の乾杯に応える。低い位置でグラスを鳴らすと、藤真はグラスに残った泡のないビールを飲み干した。
ざわつくフロアの中は声が通りにくい。藤真は菫の仕草に合わせにこにこと微笑むが、たぶん何を言っているのか聞こえていないのだろう。そういう笑みでなく、彼の心から笑った顔が見たい。少し物足りない気分になる。
***
立ちっぱなしで思ったよりも酔いが回っているのだはろうか。自分のすぐ側でふらりと菫がよろめいた。ごめんなさいと彼女は後ろ向いて藤真の腕に触れようとしたが、その手は触れることなく引っ込められた。菫が動くとふわりと空気が動く。清潔で柔らかい空気だ。その動いた空気が優しくたまらなく自分の心を撫でていく。すんでのところで手を引っ込められことで、より触れたという思いがより強くなってしまった。
「大丈夫だよ」
菫の腰のあたりに手を添えて藤真は言う。腰に手を伸ばしたのは無意識だった。彼女の柔らかな感触が爪の先に残る。
「少しだけ席はずさない?」
ブルーのライトが印象的なフロアを見渡した。センスがいいとは言えないけれど、大勢で過ごすパーティーにはこの雑多な雰囲気が返って良い。だが話をするには騒がし過ぎる。肩が触れるほど近づいても、声は途切れ途切れになってしまう。
「良いですよ」
「カラオケうるさいじゃん、声聞こえねーし」
藤真はカシスウーロンの入った菫のグラスを取り上げた。
「足元気をつけて」
藤真は再び菫の腰に手を回す。ちょうどいい高さに彼女の腰がある。低いヒールでカジュアルダウンした着こなしが菫らしくとても可愛い。ガラスの階段を降りれば彼女のワンピースがひらりと揺れた。
2人だけの時間が静かに流れ始める。
「藤真さん、お疲れ様です」
「おつかれ」
とグラスを近づける彼の乾杯に応える。低い位置でグラスを鳴らすと、藤真はグラスに残った泡のないビールを飲み干した。
ざわつくフロアの中は声が通りにくい。藤真は菫の仕草に合わせにこにこと微笑むが、たぶん何を言っているのか聞こえていないのだろう。そういう笑みでなく、彼の心から笑った顔が見たい。少し物足りない気分になる。
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立ちっぱなしで思ったよりも酔いが回っているのだはろうか。自分のすぐ側でふらりと菫がよろめいた。ごめんなさいと彼女は後ろ向いて藤真の腕に触れようとしたが、その手は触れることなく引っ込められた。菫が動くとふわりと空気が動く。清潔で柔らかい空気だ。その動いた空気が優しくたまらなく自分の心を撫でていく。すんでのところで手を引っ込められことで、より触れたという思いがより強くなってしまった。
「大丈夫だよ」
菫の腰のあたりに手を添えて藤真は言う。腰に手を伸ばしたのは無意識だった。彼女の柔らかな感触が爪の先に残る。
「少しだけ席はずさない?」
ブルーのライトが印象的なフロアを見渡した。センスがいいとは言えないけれど、大勢で過ごすパーティーにはこの雑多な雰囲気が返って良い。だが話をするには騒がし過ぎる。肩が触れるほど近づいても、声は途切れ途切れになってしまう。
「良いですよ」
「カラオケうるさいじゃん、声聞こえねーし」
藤真はカシスウーロンの入った菫のグラスを取り上げた。
「足元気をつけて」
藤真は再び菫の腰に手を回す。ちょうどいい高さに彼女の腰がある。低いヒールでカジュアルダウンした着こなしが菫らしくとても可愛い。ガラスの階段を降りれば彼女のワンピースがひらりと揺れた。
2人だけの時間が静かに流れ始める。
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