Protea
ヒロインの名前
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ーあの校舎のどこかですれ違ってたかもしれないですねー
薺が何気なく言った言葉を牧は度々思い出していた。薺のような子とすれ違っていたら、振り返るくらいしても良さそうなものだ。よっぽど自分はバスケのことしか頭になかったんだなと牧は過去の自分を呆れた。
最近は季節の進みが早い。晩夏の時期のダイナミックな夕焼けはもう見られなくなった。薄れがかっていた空は静かに暗くなり、秋の気配を感じる。窓ガラスは鏡のようにオフィス内を映す。そこには残業をしている薺の姿も映し出された。ここのところ毎日のような気がする。
牧は先週仕事のミスを指摘したことを思い出した。言い方が悪かったか…と考えては、言った本人である自分が落ち込んでしまう。特に自分みたいなタイプの人間が言うと威圧感を与えかねない。
引きずっていないかと心配になり、またコーヒーを薺のデスクに置いた。牧を見上げ、微笑んで礼を言う薺の表情は、疲れの色もなくいつも通り……
ではない。輝きがこぼれ落ちるように可愛かった。
可愛いは部下に対してない。でも、たぶんずっと薺を可愛いと思っていた。彼女のデスクにコーヒーを置くのが習慣化するもっと前から。。
「いつもコーヒーで、すまない。甘いやつが良かった?フラペチーノとか」
季節限定のフラペチーノが今週から変わったとか、そんな話を通りすがりに耳にしたのを牧は思い出した。
「牧さんがコーヒーくれる頻度でスタバ飲んだら太っちゃいますよ」
「そうか?」
牧が笑うと薺は釣られたように、うんと敬語を崩し微笑んだ。
「あとこれも!棗バター、お客さんに聞いたらおすすめだって!」
「ありがとうございます」
そう言って薺はハラハラと落ちる髪を耳に掛けた。こんなにも無邪気に笑うのになぜか色っぽい。牧もまた自分の耳元の髪に手を通す。薺のしぐさを無意識に真似ていた。
「そういえば、辻堂の居酒屋でいいとこない?」
「あまり行かないから、良くわからないんですけど、平屋建てのブルワリー、知ってますか?TSUJIDO BREWERYっていう」
これこれ、と薺はPC画面をこちらに向けくれた。メガネをデスクに置いてきてしまったので、PC牧はに寄った。モニターより薺の横顔に目が行く。正面から見る幼なげな表情とは違い横顔は大人っぽく綺麗だ。
「ビールか?IPAで喉を潤したくなってきた」
「ボディ感あるのが好きですか?10個もタップがあって、となりは醸造所になっているんです。行ったことないけど」
「ないのかよ?でも隣が醸造所ってことは出来たてが飲めるのか?そうなると鮮度重視の軽めのビールもいい!辻堂のどの辺?」
今にも触れそうな距離からもう一歩近づけば、確実にこの情動に逆らえなくなる。牧は意識的に薺のPCから離れた。
「海南の前です!道路挟んですぐです」
ここですよと薺が地図のページを開いた。
「すげぇ、気まずいくらい海南に近いな…OK、そこにする、サンキュ」
口コミブログでも探せばすぐたが、薺に聞いてみる。ブレイクタイムに薺と話す。それだけでもう一踏ん張りできる。牧はいつもそうやって無意識に会話の糸口を探していた。
薺が何気なく言った言葉を牧は度々思い出していた。薺のような子とすれ違っていたら、振り返るくらいしても良さそうなものだ。よっぽど自分はバスケのことしか頭になかったんだなと牧は過去の自分を呆れた。
最近は季節の進みが早い。晩夏の時期のダイナミックな夕焼けはもう見られなくなった。薄れがかっていた空は静かに暗くなり、秋の気配を感じる。窓ガラスは鏡のようにオフィス内を映す。そこには残業をしている薺の姿も映し出された。ここのところ毎日のような気がする。
牧は先週仕事のミスを指摘したことを思い出した。言い方が悪かったか…と考えては、言った本人である自分が落ち込んでしまう。特に自分みたいなタイプの人間が言うと威圧感を与えかねない。
引きずっていないかと心配になり、またコーヒーを薺のデスクに置いた。牧を見上げ、微笑んで礼を言う薺の表情は、疲れの色もなくいつも通り……
ではない。輝きがこぼれ落ちるように可愛かった。
可愛いは部下に対してない。でも、たぶんずっと薺を可愛いと思っていた。彼女のデスクにコーヒーを置くのが習慣化するもっと前から。。
「いつもコーヒーで、すまない。甘いやつが良かった?フラペチーノとか」
季節限定のフラペチーノが今週から変わったとか、そんな話を通りすがりに耳にしたのを牧は思い出した。
「牧さんがコーヒーくれる頻度でスタバ飲んだら太っちゃいますよ」
「そうか?」
牧が笑うと薺は釣られたように、うんと敬語を崩し微笑んだ。
「あとこれも!棗バター、お客さんに聞いたらおすすめだって!」
「ありがとうございます」
そう言って薺はハラハラと落ちる髪を耳に掛けた。こんなにも無邪気に笑うのになぜか色っぽい。牧もまた自分の耳元の髪に手を通す。薺のしぐさを無意識に真似ていた。
「そういえば、辻堂の居酒屋でいいとこない?」
「あまり行かないから、良くわからないんですけど、平屋建てのブルワリー、知ってますか?TSUJIDO BREWERYっていう」
これこれ、と薺はPC画面をこちらに向けくれた。メガネをデスクに置いてきてしまったので、PC牧はに寄った。モニターより薺の横顔に目が行く。正面から見る幼なげな表情とは違い横顔は大人っぽく綺麗だ。
「ビールか?IPAで喉を潤したくなってきた」
「ボディ感あるのが好きですか?10個もタップがあって、となりは醸造所になっているんです。行ったことないけど」
「ないのかよ?でも隣が醸造所ってことは出来たてが飲めるのか?そうなると鮮度重視の軽めのビールもいい!辻堂のどの辺?」
今にも触れそうな距離からもう一歩近づけば、確実にこの情動に逆らえなくなる。牧は意識的に薺のPCから離れた。
「海南の前です!道路挟んですぐです」
ここですよと薺が地図のページを開いた。
「すげぇ、気まずいくらい海南に近いな…OK、そこにする、サンキュ」
口コミブログでも探せばすぐたが、薺に聞いてみる。ブレイクタイムに薺と話す。それだけでもう一踏ん張りできる。牧はいつもそうやって無意識に会話の糸口を探していた。