Snow Drop
ヒロインの名前
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あの時とはインターハイが終わった夏の終わりの出来事だ。少し前のことなのに懐かしい。
「あ、あれね。だってあのくらい長身で制服の人、あのマンションの辺りじゃ、三井さんくらいしかいないもん。それに流川くんがわざわざ来るなんて思ってなかったし」
夏の記憶が蘇る。
三井と菖は同じ敷地内の別の棟のマンションに住んでいる。そのため菖が三井に遭遇することは珍しいことではなかった。
後ろから大きな影が近づいてきた時、その気配に菖は振り返りもせず、「三井さん?」と反応してしまった。だが、返ってきた声は聞き覚えのある別の声。振り返った菖の瞳が捉えた先にあったのは、他ならぬ流川の姿だった。
流川にしたら、これから告白しようという相手が別の男の名を言ったことが面白くなかったのだろう。それは分かる。でも未だ言うか?と菖は少し呆れ気味に説明した。
「あの3人!なんだかんだ仲良いよね。歳も違うのに、みんなで映画なんて。でもこうやって外でみると三者三様かっこいいよね」
流川の表情が僅かに曇った。
‘かっこいい’なんて自分は散々言われている言葉で、それほど深い意味を持たないことなんて知ってるはずなのに。気に障ったかもしれないと菖は焦った。
ここで何を言っても言い訳にしか聞こえないだろう。菖は静かに流川の出方を待った。いつもは心地良いくらいの流川の沈黙が珍しく重たく感じた。
レコードの針を落とすような緊張感が数秒続いた後、そっと唇が落ちてきた。
信号の色がはるか先まで綺麗に揃っている風景を、遠い世界の出来事のようにぼんやりと眺めながら、ゆっくりと目を閉じた。胸に迫る愛おしさで苦しくなる。
「ねえ、流川くん。やっぱり流川くんがいちばんかっこいいと思うよ」
流川は顔を背けた。
ー照れているー
いつだって口数が少ない流川だが、照れるともっと話さない。それでも歩く時はペースを合わせてくれるし、映画館の階段では暗い足元を気にかけてくれた。代わりに流川は見事に低い天井に頭をぶつけていたが。
言葉よりも先に行動で示してくれる。結果に確信を持って行動をする。流川のそんなところが何より大好きだ。
「あ、あれね。だってあのくらい長身で制服の人、あのマンションの辺りじゃ、三井さんくらいしかいないもん。それに流川くんがわざわざ来るなんて思ってなかったし」
夏の記憶が蘇る。
三井と菖は同じ敷地内の別の棟のマンションに住んでいる。そのため菖が三井に遭遇することは珍しいことではなかった。
後ろから大きな影が近づいてきた時、その気配に菖は振り返りもせず、「三井さん?」と反応してしまった。だが、返ってきた声は聞き覚えのある別の声。振り返った菖の瞳が捉えた先にあったのは、他ならぬ流川の姿だった。
流川にしたら、これから告白しようという相手が別の男の名を言ったことが面白くなかったのだろう。それは分かる。でも未だ言うか?と菖は少し呆れ気味に説明した。
「あの3人!なんだかんだ仲良いよね。歳も違うのに、みんなで映画なんて。でもこうやって外でみると三者三様かっこいいよね」
流川の表情が僅かに曇った。
‘かっこいい’なんて自分は散々言われている言葉で、それほど深い意味を持たないことなんて知ってるはずなのに。気に障ったかもしれないと菖は焦った。
ここで何を言っても言い訳にしか聞こえないだろう。菖は静かに流川の出方を待った。いつもは心地良いくらいの流川の沈黙が珍しく重たく感じた。
レコードの針を落とすような緊張感が数秒続いた後、そっと唇が落ちてきた。
信号の色がはるか先まで綺麗に揃っている風景を、遠い世界の出来事のようにぼんやりと眺めながら、ゆっくりと目を閉じた。胸に迫る愛おしさで苦しくなる。
「ねえ、流川くん。やっぱり流川くんがいちばんかっこいいと思うよ」
流川は顔を背けた。
ー照れているー
いつだって口数が少ない流川だが、照れるともっと話さない。それでも歩く時はペースを合わせてくれるし、映画館の階段では暗い足元を気にかけてくれた。代わりに流川は見事に低い天井に頭をぶつけていたが。
言葉よりも先に行動で示してくれる。結果に確信を持って行動をする。流川のそんなところが何より大好きだ。