Snow Drop
ヒロインの名前
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バスケットの映画だと言うので、それに釣られ、映画を見に来た。菖は完全に下調べしてなかったようで。
「ぜんぜんじゃねーか」
「ごめん。あまりよく調べてなくて、ついバスケットへの情熱が人一倍強い主人公ってのに引っ張られて」
菖のしゅんとした表情に言いすぎたかと、柄にもなく流川は慌てた。
「これ三井さんと観たほうがいいんじゃね?」
ふふっと、目尻が下がり気の抜けた表情を浮かべて菖が笑う。
「ブラック流川出たね…。怒ってる?」
「怒ってねー。元からこの顔だ」
「流川くん時々面白いこと言うよね、しかも真顔で」
主演の俳優の演技力と映像の迫力が桁違いで、ドラッグに溺れ道を外れてゆくシーンでは、客席から息を飲む音が聞こえてくるようだった。同性間の売春、乱交とあまりに非現実的なシーンが、さも自分の身に起こったかのように鬼気迫る勢いでスクリーンに映る。菖は時にスクリーンから顔を背け、時に瞳に涙をため、時に笑みを漏らす。
映画のストーリーよりも菖のリアクションを見ているほうが圧倒的に面白い。
それに目を閉じても、菖の顔が浮かんでくるだけだ。流川は何度となく、スクリーンの光が落ちる菖の横顔を盗み見ていた。その間目が合えば、愛らしい表情で微笑み返してくれた。そうそうこの顔、この顔が流川が好きな菖の表情だ。流川はそんな菖をいっそう目を細めて見つめながら、窮屈な赤いシートに沈んだ。
「ぜんぜんじゃねーか」
「ごめん。あまりよく調べてなくて、ついバスケットへの情熱が人一倍強い主人公ってのに引っ張られて」
菖のしゅんとした表情に言いすぎたかと、柄にもなく流川は慌てた。
「これ三井さんと観たほうがいいんじゃね?」
ふふっと、目尻が下がり気の抜けた表情を浮かべて菖が笑う。
「ブラック流川出たね…。怒ってる?」
「怒ってねー。元からこの顔だ」
「流川くん時々面白いこと言うよね、しかも真顔で」
主演の俳優の演技力と映像の迫力が桁違いで、ドラッグに溺れ道を外れてゆくシーンでは、客席から息を飲む音が聞こえてくるようだった。同性間の売春、乱交とあまりに非現実的なシーンが、さも自分の身に起こったかのように鬼気迫る勢いでスクリーンに映る。菖は時にスクリーンから顔を背け、時に瞳に涙をため、時に笑みを漏らす。
映画のストーリーよりも菖のリアクションを見ているほうが圧倒的に面白い。
それに目を閉じても、菖の顔が浮かんでくるだけだ。流川は何度となく、スクリーンの光が落ちる菖の横顔を盗み見ていた。その間目が合えば、愛らしい表情で微笑み返してくれた。そうそうこの顔、この顔が流川が好きな菖の表情だ。流川はそんな菖をいっそう目を細めて見つめながら、窮屈な赤いシートに沈んだ。