Snow Drop
ヒロインの名前
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空気が軽く風爽やかな5月。気温が上がれば夏のような天気にもなる。今日も暑くなりそうた。
湘北バスケ部OB、毎年恒例の部活のバーベキュー。
肉を焼くその端でいちご飴が作られている。焼けた肉と一緒にいちご飴を渡されたが自分はいらない。流川はそれを菖のところに持っていった。
ぼそりと掛けた小さな声にも菖はいつも気づいてくれる。いつもよりもカジュアルな装いの彼女が振り返る。いかにも女らしい装いよりも、カジュアルに寄せた格好が自分は好きなのだろう。流川はもう一度隣に並ぶ菖を見下ろした。
「流川くん、魚食べた?蒸したやつ」
「いや」
「美味しいよー、肉ばっかりだから特に。魚苦手じゃないでしょ?」
「菖、これ」
菖に新しいサワーが渡される。ありがとう、そう言って菖はプラカップを受け取った。それを出しぬけに流川は取り上げた。
「菖にあんまり飲ませなんな」
菖が普段より飲んでいることは明らかだった。流川の口から出た言葉に、文字通り『あたりは騒然』となった。
「流川、ちょっとその言い方、彼氏じゃん?」
「なんで流川がそんなこと言うの?」
「怪しいな、もしかして付き合ってたり?」
矢継ぎ早に質問が飛ぶ。
「いや」
菖が慌てて口ごもると、
「そう」
と流川は被せ気味に菖て、素っ気なく言った。
「えー、いつから?」
「高校んときから」
流川が平然と返した。
「なんで隠してんだよ?」
「全く分かんなかった」
「どうやって会ったりしてたんだよ?」
次々繰り出される質問にうんざりとした様子で、菖は流川に助を求めた。
「あー、もー。流川くんなんとかして」
「面倒臭い」
「自分だけ黙り込んで、ずるい」
「いつもどーりだ」
確かにな、と一斉に笑い声が沸いた。思い出してみたら、三井や宮城は流川と菖が付き合っていたのは知っていたと思う。映画館でばったり会ったことだってあった。相手が流川ということもあり、内緒にしてくれていたのだろう。今更ながら、ふたりの優しさを知った。
じわじわと気温が上がってくる。空は高く、バラの花は重く首を傾けている。噴水が踊るように吹き上がった。太陽が近い。
鉄板を囲むと額から汗が落ちる。そうなれば、脱ぎ出すのが男たち。それを見てももはや何も動じない女たち。流川も暑いのか、服の裾をパタパタとしている。
「流川くんは脱がないで」
「?」
「ほ、ほらっ、日焼けすると大変でしょ?白いから」
菖は念を押すように言った。
どこからともなく、フリースローしようぜーと声が上がる。ゴールのあるエリアへと移動が始まったので、菖と流川も後に続いた。日陰を探し歩いていく。
「流川くん。寝てるっていうかと思った」
菖が言う。
「そうすりゃ良かった」
「どうして?」
「そのほうが2人でいれる」
流川は誰もいないテントを指差した。こんなことを言われたらアルコールがより回ってしまう。菖は顔を赤らめた。さらっと言って去ってく流川に、実は彼も結構酔っているー菖はそう悟った。菖は冷たいボトルを自分の頬にあてた。水滴は熱を奪ってすぐに乾いていった。強い風が吹き、空気はますます熱気を増していく。
「すげーな、あんだけ酒飲んでても入るの」
予感は的中。顔には出ないが、やはり流川は相当飲んでいるようだ。
「両目とじても入るくらいだから、酔っ払ってもあんま状況変わんないじゃない」
菖はくしゃっと皺を寄せ笑った。
「帰るぞ」
突然流川が言う。苛立たし気な表情が見て取れる。何か気に触ることがあったのだろうか。
「え、まだ途中じゃん?片付けとか」
「業者、くる」
「そっか。あれ?そう言う問題…」
「ちょっと、流川く…」
引き摺るように手を引かれる。他の誰でもない自分が、こんなふうにドラマのヒロインのような扱いをされるのは、恥ずかしくてたまらない。周りから上がる冷やかしを含む声に菖は思わず顔を顰めた。流川の愛情表現は結構実行的だったりする。
「どこいくの?」
「うち、俺の!」
相変わらず言葉の密度が濃い。風が揶揄うように吹き抜ける。
湘北バスケ部OB、毎年恒例の部活のバーベキュー。
肉を焼くその端でいちご飴が作られている。焼けた肉と一緒にいちご飴を渡されたが自分はいらない。流川はそれを菖のところに持っていった。
ぼそりと掛けた小さな声にも菖はいつも気づいてくれる。いつもよりもカジュアルな装いの彼女が振り返る。いかにも女らしい装いよりも、カジュアルに寄せた格好が自分は好きなのだろう。流川はもう一度隣に並ぶ菖を見下ろした。
「流川くん、魚食べた?蒸したやつ」
「いや」
「美味しいよー、肉ばっかりだから特に。魚苦手じゃないでしょ?」
「菖、これ」
菖に新しいサワーが渡される。ありがとう、そう言って菖はプラカップを受け取った。それを出しぬけに流川は取り上げた。
「菖にあんまり飲ませなんな」
菖が普段より飲んでいることは明らかだった。流川の口から出た言葉に、文字通り『あたりは騒然』となった。
「流川、ちょっとその言い方、彼氏じゃん?」
「なんで流川がそんなこと言うの?」
「怪しいな、もしかして付き合ってたり?」
矢継ぎ早に質問が飛ぶ。
「いや」
菖が慌てて口ごもると、
「そう」
と流川は被せ気味に菖て、素っ気なく言った。
「えー、いつから?」
「高校んときから」
流川が平然と返した。
「なんで隠してんだよ?」
「全く分かんなかった」
「どうやって会ったりしてたんだよ?」
次々繰り出される質問にうんざりとした様子で、菖は流川に助を求めた。
「あー、もー。流川くんなんとかして」
「面倒臭い」
「自分だけ黙り込んで、ずるい」
「いつもどーりだ」
確かにな、と一斉に笑い声が沸いた。思い出してみたら、三井や宮城は流川と菖が付き合っていたのは知っていたと思う。映画館でばったり会ったことだってあった。相手が流川ということもあり、内緒にしてくれていたのだろう。今更ながら、ふたりの優しさを知った。
じわじわと気温が上がってくる。空は高く、バラの花は重く首を傾けている。噴水が踊るように吹き上がった。太陽が近い。
鉄板を囲むと額から汗が落ちる。そうなれば、脱ぎ出すのが男たち。それを見てももはや何も動じない女たち。流川も暑いのか、服の裾をパタパタとしている。
「流川くんは脱がないで」
「?」
「ほ、ほらっ、日焼けすると大変でしょ?白いから」
菖は念を押すように言った。
どこからともなく、フリースローしようぜーと声が上がる。ゴールのあるエリアへと移動が始まったので、菖と流川も後に続いた。日陰を探し歩いていく。
「流川くん。寝てるっていうかと思った」
菖が言う。
「そうすりゃ良かった」
「どうして?」
「そのほうが2人でいれる」
流川は誰もいないテントを指差した。こんなことを言われたらアルコールがより回ってしまう。菖は顔を赤らめた。さらっと言って去ってく流川に、実は彼も結構酔っているー菖はそう悟った。菖は冷たいボトルを自分の頬にあてた。水滴は熱を奪ってすぐに乾いていった。強い風が吹き、空気はますます熱気を増していく。
「すげーな、あんだけ酒飲んでても入るの」
予感は的中。顔には出ないが、やはり流川は相当飲んでいるようだ。
「両目とじても入るくらいだから、酔っ払ってもあんま状況変わんないじゃない」
菖はくしゃっと皺を寄せ笑った。
「帰るぞ」
突然流川が言う。苛立たし気な表情が見て取れる。何か気に触ることがあったのだろうか。
「え、まだ途中じゃん?片付けとか」
「業者、くる」
「そっか。あれ?そう言う問題…」
「ちょっと、流川く…」
引き摺るように手を引かれる。他の誰でもない自分が、こんなふうにドラマのヒロインのような扱いをされるのは、恥ずかしくてたまらない。周りから上がる冷やかしを含む声に菖は思わず顔を顰めた。流川の愛情表現は結構実行的だったりする。
「どこいくの?」
「うち、俺の!」
相変わらず言葉の密度が濃い。風が揶揄うように吹き抜ける。