Snow Drop
ヒロインの名前
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他のものをすべて切り捨てることでバスケットへの情熱は純度を増していった。菖のこともそう。他のものと切り離して考えれば考えるほどに、菖への思いはますます強くなっていった。バスケットと菖、2つが邪魔し合うようなことはない。
大事なものが2つある。どちらも譲れない。ただそれだけだ。ことはとてもシンプル。空に星が2つ、綺麗に浮かんでいる。金星とあとひとつは何だろう。
「送っていく」
振り向いて時計を見上げ、流川は言った。
「いいよ、5分もない距離だから」
と菖は言う。
「5分もあれば十分」
菖の腕を掴み、体を向き直させて、流川はもう一度キスをした。そして菖の髪の毛先をとくように触った。自分にはない髪の柔らかさに、また何かが揺らぐような気がした。
「流川くん、顔みたい」
「やだ」
「あの、そろそろ離して」
「やだ」
流川は振り解けないほどの力で菖を抱きしめた。
「何気に甘えん坊だね、流川くんって」
「……」
「菖、行こう」
しばらくして流川が声を掛けると嬉しそうな顔で菖は流川を見上げた。
言葉はいらない。だからいいんだ。先を歩けば後ろからいつものように菖の足音が澄み切った空に広がった。流川は唇にほのかな笑みを浮かべた。
「流川くんってなんでわたしのこと呼び捨てなの?わたしのほうが年上なのにな」
不満そうにでも愛おしそうに、そんなことを言う菖の手に流川はそっと手を伸ばした。
陽はすっかり落ち、ブルーにライトアップされたアーチ型の橋梁が目に映った。水面にもブルーの線がいびつに映る。そのさらに遠くには摩天楼が見える。いつの間にこんなにたくさんのビルがそびえ立つようになったのだろう。
吐く息もすぐ闇に消える。零度の寒さが街を覆い、凍りつく道路に雪を降らした。
全てを包み込むような夜、今日も1日が終わる。
大事なものが2つある。どちらも譲れない。ただそれだけだ。ことはとてもシンプル。空に星が2つ、綺麗に浮かんでいる。金星とあとひとつは何だろう。
「送っていく」
振り向いて時計を見上げ、流川は言った。
「いいよ、5分もない距離だから」
と菖は言う。
「5分もあれば十分」
菖の腕を掴み、体を向き直させて、流川はもう一度キスをした。そして菖の髪の毛先をとくように触った。自分にはない髪の柔らかさに、また何かが揺らぐような気がした。
「流川くん、顔みたい」
「やだ」
「あの、そろそろ離して」
「やだ」
流川は振り解けないほどの力で菖を抱きしめた。
「何気に甘えん坊だね、流川くんって」
「……」
「菖、行こう」
しばらくして流川が声を掛けると嬉しそうな顔で菖は流川を見上げた。
言葉はいらない。だからいいんだ。先を歩けば後ろからいつものように菖の足音が澄み切った空に広がった。流川は唇にほのかな笑みを浮かべた。
「流川くんってなんでわたしのこと呼び捨てなの?わたしのほうが年上なのにな」
不満そうにでも愛おしそうに、そんなことを言う菖の手に流川はそっと手を伸ばした。
陽はすっかり落ち、ブルーにライトアップされたアーチ型の橋梁が目に映った。水面にもブルーの線がいびつに映る。そのさらに遠くには摩天楼が見える。いつの間にこんなにたくさんのビルがそびえ立つようになったのだろう。
吐く息もすぐ闇に消える。零度の寒さが街を覆い、凍りつく道路に雪を降らした。
全てを包み込むような夜、今日も1日が終わる。