Mistletoe
ヒロインの名前
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石の階段を降り外に出ると、円錐の形をしたヒマラヤ杉がふたつ、アンバーカラーにライトアップされていた。窓から漏れる薄明かりも、今日は厳粛なものに感じる。守衛室のドアにはこの時期らしく宿り木のリースが飾られていた。枝からこぼれ落ちそうに膨らんだ宿り木の実とヒムロスギを丸く束ねたシンプルなリース。歪な形がかえってお洒落に見えた。
「リース、可愛い。見て」
菫は、繋いでいた手を離し、藤真のマフラーに触れた。些細な振る舞いではあるが、この仕草がさらなる引き金となり、深く藤真の心を奮い立たせた。
自分から仕掛けるのはいいのだが、先程の図書館でのことのように、同じことを菫にされるは結構困る。分かってやっているのか、誰もいない図書館であんな風にされては…。ある種戦いだ。
ちょっとした悪戯のつもりだったのになと、少し先を歩く菫の後ろ姿に視線をやった。
ガラス灯から光が漏れる。赤い屋根は下からのライト照らされ幻想的に輝く。漆黒の道路はニスで仕上げたように艶めいていて、まるで絵本の中に迷い込んでいるようだった。
クリスマスマーケットが開催されていることもあり、通りは混んでいた。喧騒の中、声は通りにくく、身を寄せて話をしなければならない。だがそれが互いに近づくいい口実になる。どちらからともなく、ふたりはまた手を繋ぎなおした。
「リース、可愛い。見て」
菫は、繋いでいた手を離し、藤真のマフラーに触れた。些細な振る舞いではあるが、この仕草がさらなる引き金となり、深く藤真の心を奮い立たせた。
自分から仕掛けるのはいいのだが、先程の図書館でのことのように、同じことを菫にされるは結構困る。分かってやっているのか、誰もいない図書館であんな風にされては…。ある種戦いだ。
ちょっとした悪戯のつもりだったのになと、少し先を歩く菫の後ろ姿に視線をやった。
ガラス灯から光が漏れる。赤い屋根は下からのライト照らされ幻想的に輝く。漆黒の道路はニスで仕上げたように艶めいていて、まるで絵本の中に迷い込んでいるようだった。
クリスマスマーケットが開催されていることもあり、通りは混んでいた。喧騒の中、声は通りにくく、身を寄せて話をしなければならない。だがそれが互いに近づくいい口実になる。どちらからともなく、ふたりはまた手を繋ぎなおした。