仕事と日常と、時々甘い
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桜がヒラヒラ舞っている。
別れも出会いもある季節。
大学を卒業し、本当は地元で就職するつもりだった…はずなのに。
「なんで…配属先が東京になっちゃうかなぁ…」
田舎者と思われたくないが、ついついビルを見上げてしまう。
就職活動はそれなりに内定は貰えていた方で、大学の友人にも選び放題だね〜なんて言われていた。
その中で《JKカンパニー》は不思議な会社で、少し気になっていた。
京都と東京に拠点があり、会社自体の設立は新しいものの、上場企業である。
会社のパンフレットでしかみたことないが、社長は五条さん。社長にしては若く、白髪でサングラスをかけているのもビックリだ。
本当に社長か…?と疑ってしまうぐらい。
しかも、これまたビックリなことに私はまだ社長とは会ったことがないのだ。
〜
「初めまして。○○大学から参りました、佐藤 夢と申します。」
「よろしくお願いします。私は七海と申します。どうぞおかけ下さい。」
七海さん…?社長は確か五条じゃなかったっけ…?
「本日は社長の五条が急遽出張となった為、私が代わりに面接をさせていただきます。」
「は、はい!よろしくお願いします!」
その後は志望動機、自己PRを聞かれよくある面接だった。
淡々と七海さんが質問をしてくるが、こちらは緊張もあってかあたふたしてしまう。
そんな私をよそに七海さんは顔色一つ変えることはない。
「はい、わかりました。今日の面接は以上になります……おや、電話ですね。すみませんが少々お待ちいただけますか?」
「はい、大丈夫です。」
「もしもし…社長…はい…今面接中なのですが……はい、わかりました…」
社長からの電話だったのか…
「…すみません佐藤さん。社長がお話ししたいとのことなので、お電話を代わっていただいていいでしょうか?」
「えっ!?私に…ですか…?」
「はい。社長、佐藤さんに代わります」
すぐに七海さんから携帯を渡される。
「あっ……あの、初めまして。」
「お疲れサマンサー!こちらこそ初めて。JKカンパニー代表取締役の五条だよ。」
「お、お疲れサマンサ…?」
「君の履歴書みたけど、本当に可愛いね!早く実物を見てみたいよ!経歴も申し分ないし、もう合格だよ。」
「えぇ…会ってもないのに合格ですか…?」
「会わなくたって僕がいいって言えば合格だよ♪一緒に働けるの楽しみだなぁ♪」
「あ、ありがとう…ございます…」
「あっちなみに、他社で内々定もらってたりする?」
「2社ほど内々定をいただいておりますが…」
「ふーん…じゃあその2社より良い条件で内定だすからさ♪僕の会社に決めてよ」
「えっ…そんな急に言われても…」
「そういうことだから♪よろしくねー!」
……切られた。
「はぁ…すみません佐藤さん、社長はこう言う人なんです。」
「そ、そうなんですか…」
「社長はああ言いましたが、これからの佐藤さんの人生を決めるのは佐藤さんなので、じっくり考えて決断して頂いて構いませんから。」
「ありがとうございます…少し考えさせて頂きます」
「よろしくお願いします。では、面接は以上になります」
「ありがとうございました!失礼します。」
〜
ということもあり、社長とはまだ直接お会いすることが出来ていない。
電話の感じだと、なんだか面白そうな人だった。その社長に会ってみたいと思ったから入社を決めたのは秘密だ。
「えっと…会社はこの辺だと思うけど…都会すぎてわかんないなぁ」
やばい…完全に迷った…
田舎者からすると丸の内オフィスビルはたくさんありすぎて分からない。
「あれ、ここを右かな…いや左か…?」
スマホを片手にウロウロしていると誰かにぶつかってしまった。
「きゃっ、ご、ごめんなさい!」
「全然大丈夫だよ、……おや?君は…」
「道に迷ってて…その周りが見えてなかったので…あの本当にごめんなさい!!」
「いいよいいよー。…で、どこに行こうとしてるの?」
「このビルを探しているんですけど…わかりますか?」
「わかるよ。付いておいで」
スタスタと歩くお兄さん。ぶつかって焦ってたからあんまり顔を見てなかったけど、後ろから見るとすごくスタイルが良い。
スーツをかっこよく着こなしてるけど、髪の色が白髪なのが気になる…まさかホストに捕まった!?
これはまずい…どうしようか…いっそ自分で探すって言おう「着いたよ」
「えっ…あ、本当だ…」
「せっかくなら中入っちゃおうか」
「ちょっ!お兄さんはここまでで大丈夫ですよ!!」
「いいのいいの」
「ま、待ってください!」
何このホストお兄さんやばい人じゃないの…!?
エレベーターにしれっと乗って最上階のボタンを押すお兄さん。
「あの…私のオフィス8階なんですが…」
「……」
何も言わないお兄さん。もしかして私ほんとうにやばい人を連れてきてしまったのかも。
もうまもなく最上階に着く。
「ちょっと、お兄さん!最上階は社長室ですよ…!?絶対行ったらいけないところ…」
「はい、着いた。入社おめでとう。佐藤 夢ちゃん♪」
「………はい?」
「ようこそ、KJカンパニーへ」
サングラスをくいっと下げると、見たことある顔だった。
「………まさか、五条社長ですか…?」
「ピンポーン♪僕だと気づかなかったでしょ?」
「…………えええぇ!?」
これからとんでもない社会人生活が始まる。