仕事を終えた頃には朝日が昇っていた。

「んっ……」

シボレー・C/Kの窓ガラスごしから差した日が眩しく、思わず瞼をきつく閉じる。

「お疲れのようだなアマレット。コーヒーでも……いや、お嬢ちゃんには甘い紅茶のほうがお好みかな？」

「いらない」

カイリは間髪入れずに答えた。

「そうか、ならせめて少し休んだほうがいい。君には頼もしい仲間が付いているから俺は手出しすることができない」

ライは後部座席にいるヴァンとヴィオに微笑で視線を送ると、二頭はグルルッ・・・と唸り声を低く上げて威嚇する。


「心配せずとも、君たちの大事な子どもには手を出さない。約束しよう」

ライは二頭にウインクを送り、カイリのほうに向き直る。
カイリは未だに警戒しているのか見向きもしない。

「俺は後ろで監視をされているから、これで眠れるだろ？」
「・・・」
「なら、俺も眠るとしよう。これを預かっててくれるか？」

手渡されたのは車のキーと、ガバメント一丁だった。

「仮に君に手を出そうとしても、それで撃てばいい。この車も俺にとって大事な物だから、見捨てて逃げるのも嫌なんだ」


確かに、隣同士であるこの距離なら射撃が苦手な人でも狙える。
ライは目を閉じ、腕組みをして座席に深く腰掛ける。

「俺は寝る。好きなだけ中を調べるといい」

そういうと、ライは静かに寝始めた。