これはラムにしか知らない私の秘密

私の耳は一定の時間、外での行動していると耳鳴りが響いてくるのだ

その音は凄まじく重く頭に鳴り響く雑音

まるで大量の虫が脳内を蔓延り、飛び回っているような不快な音がする
酷い時は頭痛と吐き気が一緒にくるので、ラムに貰ったクスリを飲んで急いでアジトまで戻って自室で治るまで寝込んでいたこともある

「今日は少しだけだったけど、仕事には支障はなかったから大丈夫」

『そうか、ずっとカイリのことが心配だったんだ。本当に君を外に出して良かったのかと・・・』

「でもラムの言っていた通りだった・・・今日彼らと行動を共にしてて、外で長時間動いても苦しくはならなかったの」

『なら、これからも私の為に動いてくれるかい？』
「もちろんよ」

後ろのドアからノックする音が聞こえた

『話はまた今度にしよう。今日はよく眠るんだよ』
「うん、おやすみなさい」
『あぁ、おやすみ』

ドアを開けると、黒いロングコートが顔にかかりかけたとこを手で避けてその人物を見ると


長い銀髪を黒い帽子から垂らしている男

ジンだった


「・・・・チッ」

出会い頭に舌打ちされた

何事もなかったかのようにドアを閉めるとヴァンとヴィオが出迎えてくれた
多分キャンティたちがここまで連れてきてくれたのだろう

二頭の頭を撫でて、自室の反対方向に向かって進んだ

網膜認証、虹彩認証など様々なセキュリティをくぐり抜けると、白い部屋の研究室に到達した

赤みがかったウェーブ状の茶髪の少女が椅子に座っていた

「あら？初のお仕事は終わったの？」

「うん、ちょっと疲れちゃった。明美は？」

彼女のコードネームは「シェリー」。本名は宮野志保で、私たちとは幼馴染の関係になる。


「お姉ちゃんは・・・今日は外で食べてから帰るみたいだから夕ご飯は四人で食べてって言ってたわ」

四人、というのは志保たちなりにヴァンとヴィオを人数に入れているのだろう

今の間は一体なんだろうか。一瞬志保の顔が苛立った感じの表情をしていた。

「そっか、今日の晩御飯は何？」
「貴方の大好物のシチューよ。お姉ちゃんが作り置きしてたみたい」
「やった！」

そんな会話をしていると、ヴァンたちが志保の脚にすり寄ってきた

「もう・・・ちゃんと貴方たちの分のご飯もあるから、そんなにせかさなくても大丈夫よ」