「アマレット！」

車から出たところで、バーボンに呼び止められて小さいメモ用紙を手渡された。

「僕の連絡先だ、何かあった時は呼んでくれていいから」
「なんで？」
「心配することに理由なんてないさ」
「心配？」
「いくらラムが認めた人物だったとしても、僕やスコッチは君のことが心配なんだ。申し訳ないがこれだけでも受け取ってくれないかい？」

ブォォォンブオォン・・・・


近くでバイクのエンジン音が聞こえた
バーボンのしつこい頼みに根負けして、仕方なく無言で受け取ってその場を小走りで離れた
あの三人が尾行してくるのではないかと、冷や冷やしたがついて来る様子もなかったので安心した

「あら、随分と遅いじゃない」
「ちょっとあの三人と会話してた」
「ハリウッド女優の私をここまで待たせるなんて、いい度胸じゃない」

ハーレーに跨っているライダースーツ姿の美女はハリウッド女優のシャロン・ヴィンヤードでもあるベルモット

タバコを片手に口から煙を出していた彼女はため息をつきながら、こちらに目掛けてヘルメットを投げてきたのをキャッチした


「まぁいいわ。さっさと後ろに乗ってちょうだい。ラムから貴方を連れてくるよう言われているの」

ヘルメットを被って後ろに跨った

「しっかり掴まっていないと振り落とすわよ」
「うん」
ベルモットのウエスト部分に後ろから腕を通して掴まった


彼女の運転は、ヤバかった・・・
風圧が全身を圧迫してベルモットに掴まって呼吸するのがやっとだった
しかもこの女は何も言わずに急カーブをするので、内臓が浮遊感に襲われる
吐くにも吐けない状況で死にそうになる

その後の記憶は綺麗さっぱり消えていた