魔法使いな従業員

祝いから数日後。
昼のピークが過ぎ、客がいなくなった頃にハルトが来店してきた。
それも酷く暗い表情で。
喫茶店側で遅めの昼食を食べて終わった直後の月音は驚き、汚れた皿をそのままに椅子から降りて彼に近づく。


「ハルトさん、どうしたんです?」


とりあえず自分の座ってた席の隣に案内し、皿を厨房に持っていって置いてからお冷やを持ってくる。
ハルトは少し躊躇ってから……口を開いた。


「その……就職の問題で…」

「あぁ…」


その言葉に月音は全てを悟った。
以前はファントムが多くいたことと彼と彼の妹、希導こよみが狙われていたこともあってハルトはなかなか就職が出来なかった。
彼だけならば狙われても撃退は出来るが、こよみを人質か……あるいはファントムにされるなどがあったらどうしようもない。
今の彼女は中にいたファントムの王の一人であったカーバンクルは倒され、ゲートでなくなったが…。


「こよみさんが人質として狙われたり、ゲートを狙ってたらハルトさんが動くしかないですからね…」

「ああ…」


最も穏和で、最も平和を愛していたがその力の強大さで様々なファントムを生み出したファントム、ドラゴン───ウィザードラゴンを宿したハルトは 未だに狙われていた。
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