文化祭
「別に、ゲンタロウ先輩のフォーゼとナデシコ先輩のメテオ以外にもライダーがいたことがあって、どういう人なのか話しただけっすよー」
「……カイくんは「ハスキーボイス合法ロリ」とか、「童顔ちびっこ」とかってよく言ってなかった?」
「トモちゃんそれは言っちゃダメ、あ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい、無表情やめて!」
首を傾げる、金のメッシュが入った黒髪に碧の瞳の少女である
が、無表情になった月音を見てすぐに謝った。
「うんうん、この光景も久しぶりだね!」
ナデシコが嬉しそうにしていると、声をかけられた。
見れば少し長くどこか青みを帯びた黒髪に黒い瞳の男性教師、
その隣にはシンジもいる。
どうしたのかと首を傾げると。
「月音ちゃん、悪いんだけど……校舎内を案内してもらってもいい?パンフとかもらってるけど、分からない場所もあって…」
「どうやら校長や理事長に、生徒達の撮影を条件として取材を許可してもらっていたらしい」
申し訳なさそうなシンジと、なんとも言えない表情のケンゴ。
納得はしたものの、月音は気になることがある。
シンジに校舎内を案内するのはいい、むしろ自ら案内して疑似的なデート気分を味わいたいくらいだ。
「そういうのって専門の人に写真を撮ってもらうんじゃないですか?確かにシンジさんはカメラマンですが、雑誌編集社の人ですし…」
「それなんだが、元々予約していた方のカメラマンが少し色々あったみたいでな……それで辰巳さんに依頼というか条件を出されたというか…」
「まぁ、レンさんに記事に書く方の取材も長くなりそうだから先に行ってこいって言われたのもあるけど……月音ちゃんも、文化祭を楽しみたいでしょ?」
「まぁ、楽しみたいですね」
その問いかけには思わず頷き、気になってたことは分かって納得する。
高校の文化祭は人生で一度しか体験していないのだ。
完全に喫茶店の店長になってしまったため、どこかの世界で役割として与えられない限りは再び学生になることはない。
だからか分からないが余計に高校で行われる文化祭への興味が強い。
「だから月音ちゃんに案内してもらいたいなぁーって。ダメ?」
首を傾げるシンジの姿に。
「も、もちろんいいですよ!」
顔を少し赤くして、月音は頷いた。
ちなみに新入部員以外の仮面ライダー部は彼女の反応でなんとなく気づいたらしく。
生ぬるい視線を月音に送っていた。