文化祭

何でここにいるんだと驚いて固まってから、すぐに自分の服装を思い出して確認する。
変ではないか、おかしくはないか気になってしまう。

薄いベージュ色の、丸く膨らんだような袖────パフスリーブのYシャツ。
黒が濃いめなグレーで雪の結晶みたいな模様────ノルディック柄のショートパンツ。
左手首には豪奢な十字架模様が彫られてある金色のバングル。
仕事の時以外はいつも下ろしてある髪……その前髪には青い蝶の髪飾りと、脚にはふちの部分に細かなレースがついた薄青のオーバーニーソックス。

一応だが雑誌やテレビを見て、いつも以上に身なりを気にして服装を選んだが大丈夫だろうか?


「おはようございます、シンジさん。お久しぶりです、レンさん」

「久しぶりだな」

「おはよう!その格好、似合うよ。可愛いね」

「あ、ありがとうございます…」


可愛いと言われ、照れてしまう。
顔が少し熱いので、赤くなってるのを自覚した。

月音とレンはあの時……あまりにも強いショックと絶望で精神性の記憶喪失になり、「龍騎の世界」に逃げた彼女を拾ったシンジ繋がりで知り合っている。
が、彼には世界を渡る力は無いはずだ。
何でいるのだろうかと思うが、おそらくシンジが連れてきたのだろうと判断した。
仮面ライダー部が主催の、午後のイベントを手伝いをすることになってる。
その時に何人かのライダーが集まるので、雑誌を参考にして身なりに気を使ってきて良かったと安心した。


「何で二人がここに?」


が、二人がいることが疑問だったので首を傾げた。


「あぁ、取材だよ」

「最近、うちの世界では他の世界の仮面ライダーが話題でな。それで星雲学園の文化祭でライダー部がディリンクやWとか、仮面ライダー達について調べたことを展示すると聞いたからそれで、だ」

「なるほど…」


何回か見た仕事用のカメラを掲げ、簡素に教えてくれるシンジ。
仕事内容だというのに、ある意味で関係者とも言えるからなのかもう少し詳しく教えてくれるレン。
その姿に僅かに苦笑しながら納得した。

シンジとレンは「龍騎の世界」にある雑誌編集社、ATASHIジャーナル所属の編集者だ。
シンジがカメラマンで、レンが記事を書く。
そういう関係性である。
今回もシンジが写真を撮り、レンが取材するのだろう。
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