プロローグ

と、新しいポテトチップスの袋を開けながら肩につきそうな長さの黒髪に黒い瞳の少年──望月ゲンタロウが、口を開く。


「オレのところは今のところ、星雲学園以外には出ていないから大丈夫だけど……ゾディアーツに関する情報は念のため、如月達と交換したりしているな」

「おや、ゲンタロウもか」

「俺達も原典オリジナルと情報交換してるんだよな。ドーパントの姿は一緒でも、能力は使用者によって変わるからあっちとこっちで差がすごかったりするぞ」


反応したのは長めの前髪をヘアピンで留めた黒髪に緑がかった黒の瞳の少年──心咲みさきライトと、少し癖のある焦げ茶色の髪に紫がかった黒の瞳の青年──佐治さじショウタロウの二人。
どことなく似た顔立ちをした二人の探偵の言葉に何人かが、あぁ…と納得の声を漏らす。
ごくんっ、と自分が口の中に入れていたケーキを飲み込んでから短めの黒髪に赤みを帯びた黒の瞳の青年──焔月ほのづきエイジが、自分のところでの話をする。


「アンクはまだ大人しいからいいけど、他のグリードがなぁ……ヤミーがまだいるよ……」

「人の欲望はなかなか尽きないからね…」


寺住まいの武瑠が遠い目をして放った言葉に、思わず全員があぁ…と呟く。


「オレのところもかなぁ……スカイウォールやパンドラボックスは無くなったけど、どういうわけかネビュラガスとかはまだあるからさ。まだ、スマッシュが生み出されている…ッ」


押し込めた怒りを言葉の途中から滲ませてしまう肩までの黒髪は下ろされていて、黒い瞳の女性──白野しろのセントに月音から気遣わしげな視線が向けられる。
すぐにそれに気づいた彼女は少し無理をした笑みを浮かべ、だいじょぶだよーと声をかけた。
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