欲望と罪と世界

黄色と黒の影が、チーターヤミーとディリンクの間へと滑り込むと。


「あ"ぁっ!?」


チーターヤミーに向かって落下していたディリンクを、力強い一撃で弾いた。
横へと転がっていくディリンクの変身が強制解除され、生身に戻る。


「月音っ!?」

「させないよ、そんなこと」


滑り込んできたのは、トラコアメダルを取り込んだことで完全体に近づいたカザリだ。
強制解除されるほどのダメージにうつ伏せで上手く動けない月音を、カザリは冷たく見る。


「そっちの黒いのはヤミーを抑え込んでて動けないし……まずは厄介な力を持つ君から殺らせてもらうよ」


ゆったりと、カザリが月音へと近づく。
まるで猫などが獲物をいたぶるのを楽しむように。
少ししてたどり着くと、足先で転がして仰向けにさせた。
自分を睨み付けてくる彼女の姿に鼻を鳴らす。


「油断した自分を憎みなよ」


カザリの腕が掲げられた途端。


「お前がな」

《ヴァルツクロー!》


月音が不敵な笑みを浮かべた瞬間に電子音声が聞こえて。
背中から胸にかけて、衝撃が走った。
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