欲望と罪と世界

どこかの廃工場に、二つのオーロラが現れる。
そこに出された『士』は不敵な笑みを浮かべ、月音は強張った表情で己のドライバーを取り出し、腰に装着して展開させる。
クウガからキバ、Wからビルドまでのライダークレストが刻まれたマゼンタのドライバー──ネオディケイドライバー。
それを認識し、今は彼を『敵』だと判断する。
それぞれ、自身が変身するライダーカードを取り出し、バックルへと装填して閉じた。


「変身」

「変身…っ」

『カメンライド』


静かな声と緊張感に満ちた声の後に、機械的な音声が二重に響く。


『ディケイド!』

『ディリンク!』


『士』の体を黒の、月音の体を白のスーツが包んでいく。
互いの前に出現したカードのようなものがぶつかりあい、マスクへとセットされるとスーツにある装甲に色が浮かび上がる。

黒のスーツにマゼンタの装甲、胸元には外側は白、内側が黒の十字。
複眼は緑に光る。
長く戦ってきた者特有の余裕と、歴戦の戦士のオーラを放つ。

そこに立っていたのは、彼女にとってはあらゆる意味で
原典
オリジナル
の存在──仮面ライダーディケイド。
色の反転したライドブッカーをソードモードに変え……二人はぶつかりあった。
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