翌日。
朝食を摂り、「ささめゆき」の出入り口の外側に「諸事情により本日は臨時休業となります」と書かれた紙を貼ってから、二人は外に出る。
家主の月音から、たまに泊まりに来る友達のものだという服を借りて着替えた勝利は、彼女を見る。


「で、俺はここら辺に詳しくないけど…」

「かといって二人揃って探すのも効率は悪いからな。昨夜のうちに私の友人の何人かに連絡し、椿の道案内役をしてもらうことになった」

「行動が早いな」

「まぁ、ほとんどが無理だったがな……来てくれるのは一人だけだが」


月音の行動に僅かに感心したが、軽いため息とともに告げられた言葉に少し考える。
カレンダーで確認したが、今日は平日。
社会人なら仕事、もしくは学生でも授業などがあるはずだ。
そんな勝利の疑問を感じ取ったかのようなタイミングで告げられる。


「その人の職場も喫茶店で、今日が定休日でな。働いてる彼も休みなんだ」

「なるほど…」


その言葉で納得する。
定休日だからこそこっちに来れるのか。
疑問が解消され、少しスッキリした気分になると一人の男性がこちらに歩いてくるのが見えた。
男性──エイジの姿を確認し、月音は挨拶する。


「おはようございます。エイジさん、彼が昨夜にお伝えした椿勝利です。椿、この人は焔月エイジさん、私の友人であり仲間だ」

「おはよう、月音ちゃん。よろしくね、椿くん」

「よろしくお願いします」


そうやって言葉を交わす二人を見ながら月音は考える。

エイジは欲望の王と呼ばれる仮面ライダーオーズの変身者であり、リ・イマジネーションの存在だ。
原典（オリジナル）ほどでもなく、恋人もいるために一応自重はしているが……お人好しなところが強い。
それは彼の過去と家柄が関係している。
今は家柄の方からは解放されているらしいが、月音からすれば油断は出来ない。

勝利に関しても、昨日の様子からして何かを隠している感じがする。
夕飯の時の涙に関しても未だに納得は出来ていない。
自分もあまり一般の人に言えない出生や過去があるため、聞き出す気は失せてしまっている。

二人の相性が悪くなければいいが。
そんな風に思い、不安になってしまう。