Motherland

夕飯を終えた二人は皿などを洗い終えると、話し合いを始めた。
その内容は明日のことについて。


「明日は椿の帰る方法を探さないとな…」

「……あれ、月音じゃないのか?」

「私じゃないな。それに、私はお前と会うまで存在すら知らなかったんだぞ?どうやれと」

「なるほど…」


そんな会話をしながら、月音はとある魔法世界のことを思い出す。
そこにいた二人の少女と一人の女性にどこか異質なものを感じさせる『繋がり』を思い出し、勝利を見つめる。
不自然じゃないように、自然に見えるように気をつけながら。
そして気づいたのは、あの三人にあった『繋がり』と同じものを感じ取れた。

もしかして彼は、あの三人から聞いた大きな戦いのあった世界の住人じゃないか?
仮面ライダーに変身していたということは、味方か敵かのどちらかだろう。
そして……おそらくは、自分が会った三人の時間軸より前の存在。

『世界を繋げる者』の力で確認した月音は頭の中で推測し、可能性をあげて考える。
あり得なくはないかもしれないと結論づけるのも早かった。
だが、すぐに蓋をして自分の中に押し込む。
彼を混乱させるようなことを言ってしまう必要は無いなと考えて。


「とりあえず、明日はうちの店は休みだから帰る方法を探すのは手伝う」

「え、休みなの?」

「「ささめゆき」は元は個人経営の喫茶店だったからな。今は従業員が一人いるが、定期的な休日もあるが諸事情で不定期に休むからな…理由が理由だし私も知ってて雇ってるから、解雇はしないが。まぁ、長く個人経営だったから突然の臨時休業も受け入れられてる」


敵が現れた時、「ささめゆき」で食事をしていた一般客がささっと食べ終え、会計をささっと済ませていたことを思い出す。
一般人が慣れてしまっている…と、思わず衝撃を受けたことは記憶に新しい。
思わず遠い目をする月音の姿に首を傾げながらも、勝利はとりあえず納得することにした。


「まぁ、月音がいいならいいけど…」

「なら、決まりだな」


勝利の言葉に月音は頷いた。
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