Motherland
銀のオーロラに反応したということは、おそらくはそれが原因なのだろう。
月音は自分以外にあのオーロラを操れる者達を経験と、視聴者や現実の両方の記憶から思い出す。
門矢士、海東大樹、鳴滝、キバーラ、黒を纏った剣崎一真、白を纏った紅渡。
だが、すぐに後者の四人を候補から排除する。
まず、あの剣崎一真と紅渡がライダー大戦なども無いのに、ヴァルツという仮面ライダーに変身する勝利を呼び寄せる理由がない。
融合しようとする世界を引き離すため、とも思えない。
この世界は融合しないと消滅してしまう 世界だからだ。
鳴滝は門矢 を敵視してるから、娘でありリ・イマジネーションであり……クローン の自分に会いに来る彼を狙っている可能性も考えた。
が、すぐに切り捨てた。
非効率的な上、いつ来るのか分からないのだ。
キバーラは彼の仲間として行動をしているから除外。
戦闘時の夏海の相方となっていることと、彼女の祖父の光栄次郎とやたら仲が良い。
初めて会った時に軽く血を吸われたのは記憶に新しい。
そうなると残りの二人が最有力候補となる。
海東は可能性は低いものの、あり得なくはない。
彼にとってその世界で“宝”と認識した何かのためなら、潜入などすることがある。
勝利がいると不利だからと適当な世界に送ったという可能性もある。
そして、可能性が高いのは門矢士。
しかし門矢士といっても、自分の父親の方みたいな年代の彼ではない。
視聴者としての記憶にある存在。
「仮面ライダージオウ」に出現した存在。
十年の時を経て、さらなる力を身につけて常盤ソウゴを未来へと送ることも出来た『門矢士』。
彼ならば、異世界に送ることも…。
「……ね!月音!」
「あ…」
勝利に声をかけられ、月音は我に返る。
手元を見れば指先すれすれに包丁があった。
「あー……すまん、考え事してた」
「いいけどよぉ…さすがにビビったからな?」
「すまん……ついでに黄色のパプリカも」
「はいはい」
ボウルに入ってる細切れの赤パプリカを確認してからざく切りの黄色パプリカも渡す。
茄子のヘタを切り落としながら、軽くため息を吐き出した。
料理してる時は気をつけなくては。
茄子と舞茸 も粉々になるまで刻んでもらい、ボウルに入れた後。
冷蔵庫から出した鶏 の挽き肉を加え、勝利に混ぜてもらう。
その間に月音は混ぜられているものに塩コショウを加えたり、使った道具を洗っていく。
「終わったけど……」
「あぁ、ありがとうな。手を洗ったらゆっくりしてていいから」
「おう」
手を洗った勝利が台所から出ていくのを見送ってから、作業に入った。
混ぜられたもの……ハンバーグのタネを、六つに分けて小判みたいな形に形成していく。
作業をしながら帰りの道中で勝利から僅かに聞けたことを思い出す。
彼の世界に存在する、怪人のアンゲロスのこと。
そのアンゲロスを倒す動画 で、仲間と生計を建てていること。
動画 がわりと人気なこと。
ヴァルツになった時に何があったのか。
そんなことを。
「………なぁ、椿。お前の仲間もそうだが、動画やネットってのは影響力や関心がやたら強いのは知ってるか?人の予想を遥かに超えるくらいに…。特に人気のあるものの影響力は、時として投稿者の想定を越えることを引き起こす。だから…」
最悪 、いや……極悪 な事態が起きた時の、お前らが心配だよ。
小さな声で囁かれたそれらは、リビングの方から聞こえるテレビの音が混じった空気に解けて消えた。
月音は自分以外にあのオーロラを操れる者達を経験と、視聴者や現実の両方の記憶から思い出す。
門矢士、海東大樹、鳴滝、キバーラ、黒を纏った剣崎一真、白を纏った紅渡。
だが、すぐに後者の四人を候補から排除する。
まず、あの剣崎一真と紅渡がライダー大戦なども無いのに、ヴァルツという仮面ライダーに変身する勝利を呼び寄せる理由がない。
融合しようとする世界を引き離すため、とも思えない。
この世界は
鳴滝は
が、すぐに切り捨てた。
非効率的な上、いつ来るのか分からないのだ。
キバーラは彼の仲間として行動をしているから除外。
戦闘時の夏海の相方となっていることと、彼女の祖父の光栄次郎とやたら仲が良い。
初めて会った時に軽く血を吸われたのは記憶に新しい。
そうなると残りの二人が最有力候補となる。
海東は可能性は低いものの、あり得なくはない。
彼にとってその世界で“宝”と認識した何かのためなら、潜入などすることがある。
勝利がいると不利だからと適当な世界に送ったという可能性もある。
そして、可能性が高いのは門矢士。
しかし門矢士といっても、自分の父親の方みたいな年代の彼ではない。
視聴者としての記憶にある存在。
「仮面ライダージオウ」に出現した存在。
十年の時を経て、さらなる力を身につけて常盤ソウゴを未来へと送ることも出来た『門矢士』。
彼ならば、異世界に送ることも…。
「……ね!月音!」
「あ…」
勝利に声をかけられ、月音は我に返る。
手元を見れば指先すれすれに包丁があった。
「あー……すまん、考え事してた」
「いいけどよぉ…さすがにビビったからな?」
「すまん……ついでに黄色のパプリカも」
「はいはい」
ボウルに入ってる細切れの赤パプリカを確認してからざく切りの黄色パプリカも渡す。
茄子のヘタを切り落としながら、軽くため息を吐き出した。
料理してる時は気をつけなくては。
茄子と
冷蔵庫から出した
その間に月音は混ぜられているものに塩コショウを加えたり、使った道具を洗っていく。
「終わったけど……」
「あぁ、ありがとうな。手を洗ったらゆっくりしてていいから」
「おう」
手を洗った勝利が台所から出ていくのを見送ってから、作業に入った。
混ぜられたもの……ハンバーグのタネを、六つに分けて小判みたいな形に形成していく。
作業をしながら帰りの道中で勝利から僅かに聞けたことを思い出す。
彼の世界に存在する、怪人のアンゲロスのこと。
そのアンゲロスを倒す
ヴァルツになった時に何があったのか。
そんなことを。
「………なぁ、椿。お前の仲間もそうだが、動画やネットってのは影響力や関心がやたら強いのは知ってるか?人の予想を遥かに超えるくらいに…。特に人気のあるものの影響力は、時として投稿者の想定を越えることを引き起こす。だから…」
小さな声で囁かれたそれらは、リビングの方から聞こえるテレビの音が混じった空気に解けて消えた。