漆黒の戦士、来訪

Wの右半身……ソウルサイドの複眼が点滅する。


『カマキラス……あのゴジラシリーズの巨大カマキリだね』

「あー………お前が一回ハマったあれか。ネットで出てるDVDを全部買おうとしてカツミに叱られた」

『それは言わないでくれ。とにかく、色はゴジラの子であるミニラをいじめていた方だが、ファイナルウォーズのカマキラスと同じく高速飛行と擬態が出来るかもしれない。気をつけてくれ』

「ああ、分かった」


二つの声がWから放たれる。
それは直接の変身者とは別の者の精神がソウルサイドが宿っているためだ。
二人の人物が変身することで現れる、一人の戦士……それがWだ。

Wはカマキラスドーパントへと接近すると、風を纏わせた拳や蹴りによる素早く攻撃を浴びせる。
が、カマキラスドーパントは両腕の鎌で防ぎ、反撃を繰り出してくる。
動きや速さ自体は素人なのだが二つある鎌が大きく、さらには外側にも刃がある。


「厄介だな…」

『ならメモリチェンジといこう』


その言葉に同意したのか、左手でガイアメモリを取り出す。
そのガイアメモリは銀色で、ビスが打ち込まれた鉄板で「M」のイニシャルが描かれている。
Wは右手でベルトにある赤い、「W」字のバックル──ダブルドライバーから紫のガイアメモリ──ジョーカーメモリを引き抜きながら、メモリを起動させる。


『メタル!』


起動した銀色のガイアメモリ──メタルメモリをバックルに装填する。


『メタル!』

『サイクロン!メタル!』


Wの左半身は黒から銀へと変わり、背に銀色の棒のようなもの──メタルシャフトが現れる。
それを取ると両端が伸びた。
本来は素早い動きを得意とするサイクロンと、力はあるが鈍重となってしまうメタルでは相性が悪い。
が、Wは気にせずに向かってくるカマキラスドーパントを見据える。
カマキラスドーパントはその腕にある鎌で斬りかかるが、メタルシャフトで防ぐ。
そしてそのままメタルシャフトを回転させ、鎌の刃を横から叩き折った。
驚き、痛みに呻くカマキラスドーパント。
その隙を見逃さず、Wはメタルシャフトに備えられてるマキシマムスロットにメタルメモリを装填する。


「メモリブレイクだ」

『メタル!マキシマムドライブ!』


メタルの力に宿るエネルギーが、増幅されていく。
サイクロンメモリが使われているソウルサイドの右手によって、メタルシャフトからは暴風も起こされる。


「メタルツイスター!」


二つの声は重なり、回転しながらカマキラスドーパントにメタルシャフトを連打していく。
声も出せずにいる奴へと、最後の一撃が決まると爆破した。
少しするとその場に倒れて目の下に隈が出来た、どうやら一般人なのだろう男性と壊れた、ドーパントに変身するためのガイアメモリがあった。
8/9ページ