漆黒の戦士、来訪

ムカデか肋骨のような白い骨の模様があるマスクに、スーツ姿のドーパント──マスカレイドドーパント。
そのドーパント達は数十体もいる。


「な、増えた!?」

「増援か……」


ヴァルツは驚き、月音は三度目の舌打ちをする。
マスカレイドドーパントの相手は自分がするしかないと考えた時。
聞きなれた音が聞こえてくる。


「…………ん?」

「どうした?」

「いや、ちょっと…」


その音は少しずつ大きくなっている。
聞こえてくるのはカマキラスドーパントがいる方向だ。
デジャビュを感じた月音は少しの間だけ無言になると、ライドブッカーをソードモードに変える。
近づいてきていたマスカレイドドーパントを斬りつけ、道を確保する。
そのままその道に避難し、ライドブッカーをブックモードに戻す。
彼女の行動を謎に思ったヴァルツが声をかける前に。


「ぐああぁっ!?」

「えっ!?ちょっ、えぇ!?」

「やっぱりな」


何者かのバイクにカマキラスドーパントは後ろから前へと吹っ飛ばされ、ヴァルツは予想外のことに驚く。
ざわめくマスカレイドドーパント達を後目に、小さくため息を吐き出した。
前部が黒、後部が緑のツートンカラーに施された、特徴的なバイクから乗り手が降りる。
右半身が緑、左半身が黒のアシンメトリーとなっていて右半身側の首にマフラーがあり、複眼が赤くアルファベットの「W」を模したアンテナのようなものがある戦士──仮面ライダーW。
とある事情からその姿を知るヴァルツは再び驚く。


「勇騎さん!?」

「は?って誰だ、お前?」

「……あ、違うのか」


明らかに別人の声なことと、Wの身に着けている赤くてバックルがW字に展開されたベルト──ダブルドライバーに気づいて別人だとヴァルツは気づく。
Wが首を傾げるが、右手はハードボイルダーに積まれていた荷物を取ると月音に投げ渡す。
受け止めた月音はすぐにそれを確認した。
Wからビルドまでの九つのライダークレストが時計回りで白く刻まれていて、真ん中の玉のようなものは翠色をした黒いカメラのようなもの──ディリンクドライバーだ。


『連絡したのになかなか来ないからどうしたのかと思ってたけど、ドーパントと戦ってたからか。納得だよ』

「ありがとうございます、ライトさん」


先ほどまで動揺からざわめくだけだったマスカレイドドーパント達は、まずい事態になったと気づいて月音に襲いかかる。
だが、ヴァルツからのエネルギー弾によってそれは防がれてしまう。
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