団体客

にこにこと人懐こそうな笑みの青年──剣立カズマがメニュー表を見る。


「結構、種類があるんだな~………その、ワタルは?どれにする?」

「…あ、僕ですか?えっと……」


少し気まずそうに話しかけられた、少し高価そうな服の少年──ワタルは渡されたメニュー表を見る。
カメラを持ってきていた青年──辰巳シンジが月音に声をかける。


「一ヶ月前に魔法がある世界に行ってたって士から聞いたけど……大丈夫だった?」

「いつもみたいに戦いはありましたが、大丈夫でしたよ。あ、でもウィザードの使うものとは違う魔法はすごかったです。見たことあるライダーや見たことのないライダーもいましたね…」

「…………あれ?ファンタジーな世界なのにライダー?」


士からの情報で月音達が行った世界を推測していたシンジは、あれ…?と首を傾げる。

あの魔法世界は少々特殊な世界だ。
仮面ライダーだけではなくシンフォギア装者やガンダム関連、スーパー戦隊の機体もある。
だが、そのことは士と月音は誰にも言わずに「まぁ、世界が違うからな」と納得していた。
とある二人の原典オリジナルも一緒に行ったのだが、何も言わないことにしたらしい。
シンジがファンタジーとは何だったかを考える中、苦笑したハルトが人数分のお冷やを持ってくる。
配ってからそのまま流れるように未記入の伝票とペンを取り出す。


「俺も聞いた時は驚いたな…。ご注文は?」

「あ、えっと…とりあえず店長のオススメ、でいいか?」


ユウスケが慌ててメニュー表をざっと見るも思いつかず、さらには全員に聞く。
マイペースに士はメニューを選んでいたが、結局は周りと同じタイミングで頷いた。
それを見た月音はすぐに厨房に行き、ハルトは伝票に「店長のオススメ」と書いてから人数を数えて記入し…。


「月音、店長のオススメ……って、いない!?」

「月音ちゃんなら厨房だけど…」

「はやっ!?えっと、ごゆっくり!」


やっといないことに気づき、慌てて厨房に行った。
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