ウィザードの世界
月音は壁にかけられた、大きな絵を見る。
先ほどまでそれは彼女が気に入って買ってきた、月が浮かぶ夜空に満開の桜が描かれた絵だった。
だが、今は違う。
「この絵……辿り着いた世界はウィザードか…てか、この絵がディケイド本編でのスクリーン代わりか…」
黒い背景の中に浮かぶ魔法陣の四隅に赤、青、緑、黄の宝石の絵。
どの世界か分かりながらも、気に入っていた絵が消えたことには落ち込む。
「そうなるね」
「…………で、強制的に九つの世界を巡らせられることになってますが、私は何をしろと?」
「巡る世界を一つに戻してほしい。元々はオリジナル達と同じくリ・イマジネーションのWからビルドまで、同じ世界だった。だが、今は九つに分かれてしまってね」
なるほど、と納得する。
それが自分に勝手に課せられた使命か…。
「……とりあえず分かりました。それで私の世界を救えるなら…」
「素直な子は好きだよ」
「私はあなたのこと、好きではないですがね。ところで…」
にこり、と月音が笑みを浮かべる。
聖はその笑みに嫌な予感を感じた。
何故なら目が笑っていないのだ。
「聖さんって料理は出来ます?出来てどのくらいです?」
「あ、ある程度は出来るが…」
「ならあとでこの喫茶店の料理の練習をみっっっっっっちりと、やりましょうね?今日はもう開店なんて出来ない時間なので開店はしませんが買い出しは必要……すみませんが今から行ってくれませんか?買い出しのリストは書いておきますので。途中で逃げてみなさい…………ライドブッカーで八つ裂きにしてやる」
途中で無表情になった月音に、聖は頷くしかなかった。
翌日。
朝食を終えるとすぐに月音はコーヒーや紅茶などの飲み物やセットメニューなどの食べ物の仕込みを、手慣れた様子で行っている。
買い出しから戻ると無理矢理に泊めさせられ、簡単な料理の練習をさせられていた聖はそれをぼんやりと見ていた。
「仕込みは完了……聖さん。私を導く者なら、喫茶店は手伝ってくださいね?仕事しないと生活が出来なかったりしますから」
「………分かったよ」
「私は喫茶店から出たら確実に、辿り着いた世界の役割を与えられてそれをこなさないといけなくなりますから………お願いしますよ?」
「イエス、マム!」
椅子をテーブルを濡れ布巾で拭きながら、何やら覇気のようなものを放つ月音に聖は敬礼する。
逆らったら殺られる。
本能的にそう理解する。
「では、私はそろそろ外に出ますね。この札のオープンって書かれてる方を見せるようにして、十時になったら出入り口にかけてください。飲み物や料理のレシピも念のために渡しておきます。やらかしたら殺す」
「君のその喫茶店に対する情熱はどうなってるんだい?いや、やるけどさ…」
本気の目をしている月音の姿に、もはや諦めたのか表に「open」、裏に「close」と書かれた木の札を受け取った。
先ほどまでそれは彼女が気に入って買ってきた、月が浮かぶ夜空に満開の桜が描かれた絵だった。
だが、今は違う。
「この絵……辿り着いた世界はウィザードか…てか、この絵がディケイド本編でのスクリーン代わりか…」
黒い背景の中に浮かぶ魔法陣の四隅に赤、青、緑、黄の宝石の絵。
どの世界か分かりながらも、気に入っていた絵が消えたことには落ち込む。
「そうなるね」
「…………で、強制的に九つの世界を巡らせられることになってますが、私は何をしろと?」
「巡る世界を一つに戻してほしい。元々はオリジナル達と同じくリ・イマジネーションのWからビルドまで、同じ世界だった。だが、今は九つに分かれてしまってね」
なるほど、と納得する。
それが自分に勝手に課せられた使命か…。
「……とりあえず分かりました。それで私の世界を救えるなら…」
「素直な子は好きだよ」
「私はあなたのこと、好きではないですがね。ところで…」
にこり、と月音が笑みを浮かべる。
聖はその笑みに嫌な予感を感じた。
何故なら目が笑っていないのだ。
「聖さんって料理は出来ます?出来てどのくらいです?」
「あ、ある程度は出来るが…」
「ならあとでこの喫茶店の料理の練習をみっっっっっっちりと、やりましょうね?今日はもう開店なんて出来ない時間なので開店はしませんが買い出しは必要……すみませんが今から行ってくれませんか?買い出しのリストは書いておきますので。途中で逃げてみなさい…………ライドブッカーで八つ裂きにしてやる」
途中で無表情になった月音に、聖は頷くしかなかった。
翌日。
朝食を終えるとすぐに月音はコーヒーや紅茶などの飲み物やセットメニューなどの食べ物の仕込みを、手慣れた様子で行っている。
買い出しから戻ると無理矢理に泊めさせられ、簡単な料理の練習をさせられていた聖はそれをぼんやりと見ていた。
「仕込みは完了……聖さん。私を導く者なら、喫茶店は手伝ってくださいね?仕事しないと生活が出来なかったりしますから」
「………分かったよ」
「私は喫茶店から出たら確実に、辿り着いた世界の役割を与えられてそれをこなさないといけなくなりますから………お願いしますよ?」
「イエス、マム!」
椅子をテーブルを濡れ布巾で拭きながら、何やら覇気のようなものを放つ月音に聖は敬礼する。
逆らったら殺られる。
本能的にそう理解する。
「では、私はそろそろ外に出ますね。この札のオープンって書かれてる方を見せるようにして、十時になったら出入り口にかけてください。飲み物や料理のレシピも念のために渡しておきます。やらかしたら殺す」
「君のその喫茶店に対する情熱はどうなってるんだい?いや、やるけどさ…」
本気の目をしている月音の姿に、もはや諦めたのか表に「open」、裏に「close」と書かれた木の札を受け取った。