ウィザードの世界

聖がわざわざリビングのテーブルから持ってきたコップにリンゴジュースを入れ、ハルトとこよみと同じ席に着く。
ちなみに自分の店だがジュースと、双子の紅茶の代金を支払っておくことにしたらしい。
最初、紅茶の代金は自分達で支払うとハルト達は言っていたが、色々聞きたいからその情報料と言ったらなんとも言えない表情をしていた。


「まず、聞きたいのは……「世界の崩壊者」って何ですか?」

「……知らないのか?」

「初めて聞きましたけど」


くぴくぴとリンゴジュースを飲みつつ答えると、あれ?というようにハルトが首を傾げる。
何度聞いてもまるでディケイドみたいな称号だと思ってしまう。


「といっても、俺も詳しくは分からないんだ。どこからか現れてその世界を崩壊させる…って、くらいしか」

「そうですか…その話とかを聞いたのは誰からです?」

「いや、気づいたら何故か知ってた……というか…」


崩壊者に関して期待は出来そうにないな。
早くもそう結論を出した月音は話題を切り替えることにした。


「ならばディリンクの名については?」

「それも気づいたら知ってた……何で知ってたんだ…?」


再びハルトが首を傾げる。
どうやらこちらのことも期待は出来そうにない。
だが、一つだけ分かったことがある、
鳴滝か、彼のような存在がいないかもしれないことだ。
十年ほど経っても謎の存在だ。
絶対にいないという保証はないが、なんとなくその可能性は高いと思われる。


「……この世界について教えてくれませんか?」


コップをテーブルに置いて二人を真っ直ぐに見つめる。
知識としてはファントムがどう生まれるのか、何で奴らが同族を増やすのか知っている。
だが、それらはの原典オリジナルものだ。
どう生まれてくるかは直接見たが、何故増やそうとするのかは分からない。

そう判断したのは、「仮面ライダーディケイド」でのライダー達の世界で原典オリジナルと違う部分があったからだ。
特に大きな違いがあったのはファイズとブレイドだろう。
「ファイズの世界」はSMARTBRAINが企業ではなく学校になっていて、理由も不明だがオルフェノクはそこに集まろうとしていた。
「ブレイドの世界」はBOARDが企業になっているのはそれほど変わらないが、人の階級分けがあり変身するにも要請が必要だった。
他の世界にも大なり小なり違いが存在している。

怪人側での違いもある。
「クウガの世界」では「聖なるゲゲル」を成功させ、“究極の闇”の存在であるン・ガミオ・ゼダを復活させようとした。
「ブレイドの世界」でもジョーカーアンデッドは人工的に生み出されたアンデッドだった。

故にこの「ウィザードの世界」でも何らかの違いがあるのではと推測した。
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