プロローグ

とある採石場。
そこで、様々な……そして、同じ姿の戦士達が戦っている。
緑と黒という半身の戦士は同じ姿の戦士と、赤き鎧を纏う凄まじき戦士。
赤と黄と緑の三色の戦士は同じ姿の戦士と、黒に金の姿の戦士。
ロケットのような戦士は同じ姿の戦士と、赤のラインを持つ戦士。
宝石のように輝く魔法使いの戦士は同じ姿の戦士と、龍騎士のような戦士。
鎧武者のような戦士は同じ姿の戦士と、西洋の騎士のような戦士。
車のような戦士は同じ姿の戦士と、赤いカブトムシのような戦士。
幽霊のような戦士は同じ姿の戦士と、紫の鬼の戦士。
ゲームのキャラクターのような姿の戦士は同じ姿の戦士と、吸血鬼のような戦士。
兎と戦車を混ぜ合わせたような戦士は同じ姿の戦士と、電車のような戦士。

そして、マゼンタの戦士はイエローの戦士と戦っていた。

マゼンタの戦士とイエローの戦士は、姿と武器は同じだが色が違った。
マゼンタに緑の複眼、胸に描かれた白と黒の十字架という戦士の武器は剣にも銃にも変わる。
イエローに青の複眼、胸に描かれた黒と白の十字架という戦士の武器は剣にも銃にも変わる。

剣と剣の刃は交わり、火花を散らす。


『……っ』

『どうした!?もっと、本気を出せ!』


躊躇うようなイエローの戦士に、マゼンタの戦士が怒鳴る。
けれど、その声はどこか悲しみを帯びている。


『私、は……っ!』


仲間が傷つく姿を見たイエローの戦士は、剣を振るう。
払われたマゼンタの戦士は距離を取った。


『ああああああああっ!!』


自暴自棄のように叫び、距離を詰めてイエローの戦士がマゼンタの戦士を貫こうとする。
が、それは防がれ……剣は弾かれる。
同時に腹に蹴りを受けてしまい、吹っ飛ばされる。
地面に落ち、蹴られた威力が強かったのかイエローの戦士の武装が解けてしまった。


『──っ!!』


それに気づいた、仲間の一人がイエローの戦士の名前を叫ぶ。
すぐに立ち上がるが……その首に、いつの間にか接近していたマゼンタの戦士の剣が、添えられる。
動けなくなるのを見たマゼンタの戦士は、剣を振り上げ────、降ろす。
それを見たイエローの戦士は自分の終わりを悟り、目を閉じながら呟く。


『……────…』


そして……───。










▽▽▽▽▽









机に突っ伏して寝ていた少女は目を覚まし、ぼんやりとしてしまう。


「星宮さん、おはよー」

「……おはよう」


クラスメートからの挨拶に少女───星宮ほしみや月音つきねは、体勢を整えて微笑みながら返す。


「星宮さん、宿題やった?」

「やった。それに今日の小テストに宿題に出てた範囲があるらしいよ?」

「………マジ?」

「………見せないよ?」


お願いしますぅううう!と、すがる別のクラスメートを受け流しつつ、月音は授業の準備を始める。
あんな夢を見たので、こんな日常のワンシーンが癒しになるなと考えながら。


そんな日常が崩壊するまで、あと……。
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